エンパワメントとインナーブランディング#1

  • 2021年11月9日
  • 特集
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生き生きと働く姿は周りを元気にする。
なんとも響きがいいし、想像すると気持ちがいい場面だ。

こんな理想ともいえる働き方を日々実践するのがあらゆる接遇に従事する方々だろう。

飲食業やホテル業などはその代表格だ。

間違いなく顧客はただ食事をしにいくだけではないし、ただベッドのある場所に泊まりに行くわけではない。

機能面と同時にサービスやホスピタリティ、つまりはそこで働く人たちとの「感じの良い体験」を購入しているはずだ。

感じの良い体験を提供する人々は間違いなく、仕事にやらされ感を持ち込むことができない。やらされ感は顧客に伝わるからだ。

顧客を幸せにするような素晴らしい接遇に従事するみなさんはどのようなインナーブランディングを形成しているのだろうか。

今回は、その顧客としての達人、おもてなし研究家の井上富紀子さんにお話を伺った。

井上富紀子(いのうえふきこ)さん
◯ザ・リッツ・カールトンホテルLLC公認親善大使
◯テイクオフ株式会社 代表取締役

■著書

◯『リッツ・カールトン20の秘密
(オータパブリケイションズ)
◯『関心力
(ビジネス社)

1981年ラブリークイーンに入社。1985年に独立、テイクオフを設立。エアロビクスとジムのフィットネスクラブを運営、レオタードを中心としたスポーツウエアを企画・生産・販売などを手がける。
ザ・リッツ・カールトンホテルカンパニーLLC公認親善大使も務めている。

井上富紀子オフィシャルサイト

エンパワメントってなんだ?

インタビュアー福永:お久しぶりです。

富紀子さん:お久しぶりです~。

福:今日はインナーブランディングについて教えてほしいんです。

富:福永さんのいうインナーブランディングってどういう意味で使ってます?

福:私のいうインナーブランディングとは「働く人たちが自分の仕事や会社を好きで誇りに思える状態」を作ること。と定義しています。

富:なるほど。確かにそれでいうとラグジュアリー系のホテルで働く人たちはその状態に近いこと多いですね。

福:ですよね。富紀子さんがおもてなし研究家として多くのホテルに宿泊されているので、ぜひその中での気づきや体験を教えてもらおうと思いまして。

富:はい。わかりました。

福:その中でも特に有名なのが親善大使も務められているリッツカールトンホテルだと思うのですが、やはりリッツの取り組みはすごいですか?

富:そうですね。取り組みというか、そもそもの文化や風土がそうなっている。という方が正しいかもしれません。特に有名なのが「エンパワメント」という考え方ですね。

福:あ、例の20万円まで現場の決済権があるというやつですね。

富:どうしてもそこの部分が一人歩きしてしまうけど、本質的な部分で言うと「権限移譲」のことですね。

福:すみません。(笑)ついつい表面的なインパクトのある施策に目が行きがちでした。

富:現場スタッフからすると「こんなにも信頼されているんだ」という感覚が持てるかどうかということです。

福:なるほど。確かに信頼されていると逆に「無駄遣いしよう」とか「損する使い方をしよう」とは絶対に思えないですもんね。

富:そうなんです。それだけ信頼されているんだから「期待に応えよう!」「がんばろう!」という気持ちも湧いてきます。

あくまで現場が主役であるということを、会社の取り組みとして本気で取り組んでいるわけです。

福:エンパワメントが上辺だけ、言葉だけの信頼ではなく、本当に明文化されて実行しているわけですね。

富:そうなんです。「あなたを信頼してますよ」という会社の方針がスタッフに浸透すると彼らのモチベーションが上がり、それは強いチーム作りには欠かせないと思います。

福永さんの言われるインナーブランディングの強化にも効果的なんだと思います。

福:間違いないですね。私もよく信頼関係がとても大事だと研修の中で伝えるのですが、実際の施策や行動として行うことがとても大事だということに改めて気付かせていただきました。

教育について

福:次にスタッフ教育についてはいかがでしょうか?

富:確かに教育は最も重要なんですが、ザ・リッツ・カールトンでは教育する前に自社の方針に合うスタッフを選び抜くところからスタートするんです。

採用時の面接にものすごく時間をかけます。欠員を埋めるための雇用ではなく時間をかけて適した人材を「選出」するんですね。

ここで選出の基準になるのは学歴や職歴ではなく、人をもてなす気持ちを持っているかです。そして、その人たちを「信頼して権限を与える」のです。

そのようにしてチームになった人たちですから、たとえミスが発生しても上司は頭ごなしに叱ることがありません。

例えば、お客さまに喜んでいただこうと先回りして関わっていった結果、オーバークオリティになってしまったり、お客様から「そっとしといて」と少しお叱りを受けたりすることもあります。

もちろん現場スタッフが責任を持ってお詫びをして、それでもお許しいただけない場合はマネージャーがお詫びをしにいきます。

福:これはどこの会社でも同じですよね。

富:お客さまとホテル側との考え方の違い、些細な言葉の受け取り方の違いなどでお客様が怒り出すということは起きることです。

スタッフがお客様のためを思ってしたことでクレド(行動指針)に合った行動であるならば、マネージャーはまずスタッフがしたことを褒めます。

決して最初から頭ごなしに叱らないんです。

「よくやった・・・でもどうしてこうなったと思う?」と状況をまず把握します。

その行動については承認し「ただ結果が良くなかったね。次は結果を良くするために何ができるかな?」と導いていきます。

福:コーチング的なアプローチなんですね。

富:そうです。このアプローチだと現場スタッフが行動に対しての恐れがなくなります。これをやったら叱られるんじゃないか。とか、萎縮する要素がなくなるので積極的にお客様に関わることができるのです。

福:現場スタッフの前向きな姿勢で業績につながっていくわけですね。まさにインナーブランディングの効果そのものですね。

富:その分、管理職と現場スタッフの関係性が問われていきますよね。

福:確かに。具体的にどんな取り組みがあるんでしょうか?

次回に続く

エンパワメントとインナーブランディング#2
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