「学習性無力感」は、当人だけでなく職場全体の生産性低下にもつながりやすく、注意が必要な心理状態です。
そのため、学習性無力感に陥る原因と克服方法について理解し、対策しておくことが重要です。
今回は、学習性無力感の原因と克服方法、対処法を紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。
学習性無力感に陥る原因とは
学習性無力感に陥る原因にはさまざまなものがありますが、真面目で完璧を求めすぎる性格の人は特になりやすい傾向があります。
このような人は自分を厳しく評価しがちなので自己肯定感が下がりやすく、いったん自信がなくなると仕事への意欲を失い、消極的になってしまうのです。
また、性格に関わらず、自分の貢献が認められない、望んでいた成果が得られないといった状況が続くと、どの従業員も学習性無力感に陥る可能性があります。
例えば、次のような職場環境は学習性無力感を引き起こしやすく、注意が必要です。
- アイデアや提案が却下される、上下関係が厳しいなど、意見が尊重されにくい環境
- 失敗ばかりを責められて努力や成果が認められず、達成感を味わえない環境
- 日常的に行われる言葉の暴力や不適切な扱いなど、ハラスメントが横行している職場
これらの特徴が当てはまる場合、早急に改善する必要があります。
学習性無力感を克服するには
学習性無力感を克服するには、次の3つの方法を取り入れるのがおすすめです。
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 肯定的なフィードバックを増やす
- 完璧主義から脱却する
それぞれ解説します。
小さな成功体験を積み重ねる
達成可能な小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねることで自信を回復させます。
本人が「失敗するかもしれないからやりたくない」と言う場合もありますが、周囲がさりげなくサポートして進めてあげると良いです。
小さな成功を積み重ねて、徐々に挑戦の範囲を広げさせることが重要です。
肯定的なフィードバックを増やす
日常的な努力や小さな成果を積極的に認め、褒めることで自己肯定感を高めます。
特に上司からの肯定的なフィードバックは、従業員の意欲向上に効果があります。
また、積極的なコミュニケーションを取り合うことで「見てくれている」「認めてもらっている」といった意識が高まりやすいです。
完璧主義から脱却する
「100%でなくても70%できていれば十分」という考え方を職場に浸透させることも大切です。
会社全体の考え方として、完璧を求めすぎず、適度に力を抜くことの重要さを伝えるように心がけましょう。
学習性無力感への対処法
学習性無力感への対処法として、会社ができることは次の3つです。
- 組織文化の改革
- オープンなコミュニケーション環境の構築
- 行動と結果の明確な関連付け
それぞれ解説します。
組織文化の改革
新しいアイデアや提案を歓迎し、失敗を学びの機会と捉える組織文化を育成します。
挑戦しやすい環境を整え、従業員が学習性無力感に陥ることを防ぎます。
オープンなコミュニケーション環境の構築
すべての階層の従業員が自由に意見を述べられる、オープンなコミュニケーション環境を構築するのもおすすめです。
定期的なミーティングや匿名フィードバックシステムの導入など、多様な意見交換の場を設けることで、自己肯定感が高まりやすくなります。
行動と結果の明確な関連付け
従業員の行動が組織にもたらす影響を可視化し、フィードバックすることも対策の一つです。
具体的な成果や改善点を示し、個人の努力が無駄ではないことを実感してもらうと効果的です。
まとめ
学習性無力感は、完璧主義や自己肯定感の低さといった個人の性格特性や、意見が尊重されない、成功体験の機会がないといった否定的な職場環境によって引き起こされる深刻な問題です。
この状態は個人と組織の生産性を著しく低下させるため、対策が必要となります。
克服するには、小さな成功体験の積み重ね、ポジティブなフィードバックの増加、完璧主義からの脱却が効果的です。
また会社としては、挑戦しやすい環境づくり、オープンなコミュニケーション環境の構築、個人の貢献を明確に示すことが重要です。
これらの対策を通じて従業員の自己肯定感を高め、より健全で生産的な職場環境を作り出していきましょう。