「自走するチームのつくり方」岡田優介氏

(※この記事は2019年6月のインタビューを再掲載しています。)

一人一人が自分の頭で考え、
行動するチームをつくるために、
リーダーはどんな振る舞いをすべきなのか?

今回は現役プロバスケ選手として活躍する傍ら、
・日本バスケットボール選手会創設
・飲食店経営
・3人制バスケチームオーナーなど
多方面で組織のリーダーとして活躍する岡田優介選手に、特別インタビューをさせていただきました!

テーマは【自走するチームのつくり方】
岡田さん流のチームづくりについてお伺いしました!

岡田優介さんのプロフィール

 

 

岡田 優介(おかだ ゆうすけ)氏
◯プロバスケットボール選手
アルティーリ千葉所属
◯3人制プロバスケチーム
TOKYO DIMEオーナー
◯一般社団法人日本バスケットボール選手会 初代会長
◯2010年公認会計士試験合格

TOKYO DIME HP:https://dime-3×3.com/

 

プロフィール
1984年生まれ。東京都出身。小学5年生からバスケットボールを始め、青山学院大学を卒業後、2007年にトヨタ自動車アルバルクに加入。その後、2016年シーズンより京都ハンナリーズに移籍。2009年に日本代表初選出、2013年には一般社団法人日本バスケットボール選手会を立ち上げ、初代会長に就任。プロ選手として活動する傍ら、2010年に公認会計士試験に合格。監査法人にて非常勤で勤務するなど、二足のわらじをはく。それに加え、私塾岡田優介会計塾の講師、3人制プロバスケットボールチームTOKYO DIMEのオーナー、バスケットボールスクールや渋谷の飲食店「Pizza & Sports DIME(2012年10月〜2019年5月)」の経営を行うなど、幅広く多方面で活躍している。

 


共通の課題が、チームを1つにする

 

インタビュアー:岡田さんといえば、現役のプロ選手として活躍しながら公認会計士の資格を取得したことが注目されますが、なぜ公認会計士の資格を取ろうと思ったんですか?

岡田さん:今と違って当時のバスケ界はすごく暗い時代だったんです。リーグが分裂してしまったり、協会の不祥事が起こったり。そんな時代の中で、自分もバスケ界に何かできることがあるんじゃないか?と考えたのが1つのきっかけです。

やっぱり何か物事を変えたいと思ったら、力が必要だと思ったので。口だけではなく、自分で何かを学んで結果を示すことで、周りの人もついてきてくれますしね。自分の武器を増やすという意味でも(公認会計士の)資格を取ろうと思いました。

イ:なるほど!「バスケ界をなんとかしたい!」という想いが、その後の日本バスケットボール選手会の立ち上げにも繋がっているんですね?

岡:そうですね。2010年に公認会計士に合格して、選手会を立ち上げたのが3年後の2013年でした。

イ:選手会の立ち上げで、大変だったのはどんなことでしたか?

岡:一番大変だったのは「選手たちの足並みを揃えること」ですね。それぞれがアスリートとして色々な経験を積んできた人たちなのでとにかく個性が強くて。一筋縄ではいかなかったです。

イ:プロバスケ選手の個性、、すごそうですね。(笑)
そんな個性の強い人たちを、どうやって1つにまとめ上げたんですか?

岡:選手会に限っていうと、必要だったのは「大義名分」です。何か課題があって初めて、足並みが揃うんですよね。わかりやすくいえば「打倒!〇〇!」みたいな。

そういう意味で、先ほど言ったバスケ界が暗い時代だったというのはいいことでした。業界全体に共通の課題があったからこそ、1つになることができたんだと思います。

イ:なるほど。バラバラな組織をまとめるには、全員で共通の課題に立ち向かうことが重要と言うことですね!

岡:特に立ち上げ期には、それが重要だと思います。

「余計な口出しをしない」

 

 

イ:立ち上げ期を越えてから、組織として成長し続けるために意識していることはありますか?

岡:選手会ではなくて、もう1つの自分が持っている会社の方では、「自分でやらない」ということを意識しています。

「なんでも自分がやる」ということは、「下が育たない」ということなので。

立ち上げ期は全部自分主導で引っ張ってやっていきますが、その後は自分でやらない。人にやらせるということを大事にしてます。

やらせるというか、“言わない”。

気になっても余計に口を出さない。そうしないと本人に“当事者意識”が生まれないので。これは実際にリーダーとして組織を回していく中で学んだことですね。

イ:どうしても我慢できなくて、つい口を出してしまうことはありませんか?

岡:放っとくことで組織がダメになってしまうようなら、それはまだ放っておく時期ではないということだと思います。「放っといて多少うまくいかなくても大丈夫」というところまで引き上げておくこと、その見極めが重要です。

イ:なるほど。ただ放っておけばいいという訳でもないんですね。。

岡:そうですそうです。「自分がやらないとしたら、この人がやってくれるだろうな」という目星をつけてから引くというか。全体を見た上で一歩引くことが大事ですね。

イ:その引くタイミングの見極めは、どこで判断されていますか?

岡:組織が回り出したときですかね。クリエイティブなことができ始めたときというか。組織に入ると、最初は“言われたことをとにかくやる”という状態だと思うんですけど、そこから自分の頭で考えて何か新しいことをやろうとするようになってきたら、組織が自走する予兆かなと捉えてます。

やっぱりただ言われて通りやるよりも、自分で考えてやった方が楽しいじゃないですか。

もちろん業種にもよると思いますけど、自分が考えてなかったことを現場で考えついたときが、放っておくべき時期の始まりなのかなと思っています。

どう伝えたら腑に落ちるか?が一番重要

 

イ:経営者として組織を回していく中で、大切にしていることはありますか?

岡:何かしらの区切りというか、目安は大事にしています。

そうすると周りにもスイッチが入るというか、ここからやらなきゃ!という思いになってくれるんですよね。

イ:ここでも“大義名分”が必要ということですね?

岡:そうなんですよ。組織にいるのは人間なので、モチベーション・心の部分というのは絶対に考えなきゃいけない部分だと思っています。

たとえ同じ結果、同じプロセスだとしても、みんながやる気を出して取り組むにはどうしたらいいかとか、どんな風に伝えたら腑に落ちるかなとかはすごく意識していますね。

イ:スタッフさんや選手への言葉がけで気をつけていることはありますか?

岡:「2つのレイヤーで伝える」ことを意識してます。

指摘することは小さなことなんですけど、その大元にある大きな目的も伝えるというか。

たとえば、ファンからの問い合わせへの返信が遅かったりしたら、「もっと早く返信しようよ。なんでそれが大事かっていうと、ファン満足度の向上に繋がるよね。」みたいな。

ただ小さなことだけを指摘されるとイラっとするじゃないですか、僕がそうなんですけど。笑

でも大きな目的があった上で、目の前の小さなことを言われると腑に落ちるというか。納得できますよね。

そして組織が成長してくるほど、大きな目的だけ伝えれば良くなってきて、小さなことは自分たちで考えて動けるようになってくるんですよね。

これはプロバスケ選手でもまったく同じことが言えるんです。大きな目標は優勝じゃないですか。でそれを細かく見ていくとオフェンスとディフェンスがあって、1つ1つのプレーがあって。

その大きな目標と目の前の小さなことが両方あって初めて優勝に近づけるんですよね。だから、あれやれこれやれって小言ばかり言ってたら、成長していくのは難しいですよ。

スポーツ選手のチームづくりも会社組織としてのチームづくりも、そういう部分は同じだと思いますね。

イ:なるほど。ただ作業の指示を出すだけでは成長できないんですね。
他には何か意識していることはありますか?

メリハリが仕事のクオリティを上げる

 

岡:他の部分だと「メリハリをつける」のも大事にしていますね。

普段は割とゆるい感じなんですけど、やっぱり“締めなきゃいけないとき”はあると思うんですよ。

バスケの現場では、よく練習に入る前に「締めていこう!」と声掛けをするんですけど、緊張感のある締まった空気の中でやる練習はクオリティが高くなるというのも経験則としてあります。

これは会社でも一緒で、ミーティングをするときとかは、空気を締めるようにしてますね。

イ:そうやってメリハリを大事にすることで、仕事のクオリティも上がっていくということですね?

岡:そうですね。毎日ピリピリしてたら疲れちゃいますから。(笑)

たまにでいいと思うんです。人はモチベーションの中で生きてるので、365日120%で働くことは
できないですからね。そういう意味でもメリハリを大切にしてます。

ただし、唯一社長だけは常に120%でいるべきだと思ってます。

いつどんな時でもフルパワーで対応できるように考え続けるのが社長の役目なんじゃないかと。僕自身のスタイルですね。

それがスタッフの安心にもつながったり、僕の姿を見て協力してくれる人が現れたり、いい連鎖に繋がると思っているので。

イ:さすが現役アスリートですね!

でもそこまでストイックになると「自分はこれだけ頑張ってるのに!」とスタッフさんに対してイライラが溜まったりすることはありませんか?

岡:それは思わないですね。社長が一番働くのは当たり前だと思ってるので。当たり前だからフラストレーションはないです。

けど、自分とスタッフの間に“認識の違い”があることは最近すごく学んでいます。

たとえば、自分の中では30分で終わるだろうと思ってた仕事が2時間かかったりとか。そういう違いは自分が認識しなきゃいけないなと。

もちろん30分でできるように頑張ることは大事なんですけど、それを「できて当たり前じゃん」とか「なんでできないんだよ」みたいなマインドになると、どうしても組織に溝ができてしまいますよね。

アスリートであることの強み

 

岡:経営者になりたての20代の頃は、スタッフとの「頑張る」の基準の違いに驚きました。自分では「こんなん普通だろ」と思っても、相手にしてみればそうじゃなかったり。周りの頑張るの基準が低いのがすごく気になったりはしていました。

でも年齢を重ねるにつれて、だんだんそういう違いを認められるようになってきましたね。

僕もまだまだ経営者としては若造なんですけど、ここでアスリートである強みが生かされてるのかなと思います。

イ:アスリートの強みですか?

岡:普通の会社だと30代ってまだ若い方じゃないですか。でも、アスリートは30歳でベテランて呼ばれるので、全体を見てチームをまとめなきゃいけない立場になるんですよ。責任ある立場を早く経験すること。これがアスリートの強みだと思っています。

あとはその経験を社会にスライドして活かしていけばいいだけなので。

終わりが近づくのが早いのもポイントですね。

選手として活躍できる時間はそんなに長くないので、それまでに1つのキャリアを完結させて、次どうするかもすごく考えますし。

そういう環境にすごく成長させてもらっている気がします。

イ:たしかに。そう考えると納得ですね。
“次のキャリア”というお話が出ましたが、今後の岡田さんのビジョンについて教えていただけますか?

岡:やっぱり世界を目指したいですね。3×3バスケ事業の創業当初からある「渋谷から世界へ」
というコンセプトはすごくいいなと思っていて。

「バスケ界を少しでもメジャーにしよう」という気持ち始めて、本当に世界に挑戦できる機会が得られ始めています。これからも常に世界を視野に入れて展開していきたいです。

今、大阪・八戸と地方展開ができてますが、日本の外にもチームを作りたいですし、自分がまだ知らないところまで、どんどん広がっていきたいですね。

“応援は力になる”

 

イ:ありがとうございます。
最後に、この記事を読んでくださっている経営者に向けて一言アドバイスをお願いします!

岡:アドバイスとはちょっと違うかもしれませんが、1つ大切にしていることがあります。

チーム・会社を運営する上で「アスリートファースト」という言葉をずっと心がけています。

もちろん選手たちだけじゃなくて、事務局スタッフや関わってくれる全ての人に対してなんですけど「本当にその人のためになることは何か?」という問いを大事にしています。

これは究極的には「選手・スタッフの夢を応援すること」だと思うんです。今の時代、死ぬまでに一緒に働けるわけじゃない。でも、せっかく関わってくれたのなら何か1つでも夢に近づく、人生を充実させるきっかけにしてほしいと思っています。

なので、面接ではその人の夢や頑張りたいことを聞くようにしています。

なぜそれを大事にしているかというと、自分がそうだったから。

資格を取ろうとした時も、選手会立ち上げの時も、批判の声はやっぱりあるんですよ。

でもそんな中で応援してもらえた時はすごく嬉しくて、頑張る活力になったんです。だから、その原体験をみんなにも体験してほしい。

「応援は力になる」それを自分が一番感じているので、関わってくれる選手やスタッフを応援できる会社でありたいと常に思っています。

より良いチームづくりを行うために

マネジメントやチームづくりは、いきなりできるものではありません。

チームメンバーに仕事を楽しみながら成果を出してもらうコツは何か?主体的に取り組んでもらう為のポイントはどんなものか?さまざまな事を学んでいく必要があります。

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