2022.02.15
チームづくり
「採用の間違いは教育では取り返せない」とは師匠:榎本計介氏の言葉。
研修を提供する身からすると、「いや!どんな人材も可能性は無限大です!」と答えたくなりますが、残念ながらそんなことはありません。
だからと言って「使えないやつばっかりだ」と言っているのは経営者としての能力の低さの証明です。「いろんな才能があって、たまたま自社では発揮できない」が真実。そして、面接では見えないことが採用した後から分かってくるというのもあるあるです。
とにかく正解がない世界。だからこそ不正解の排除をすれば確率が上がるのではないかと考え、今回は、「どんな採用をするべきか」ではなく「どんな採用をしてはいけないか」についてお伝えします。

大学卒業後、ヘルスケア業界で1000名以上のトレーナーを育成。 セールス下手でも日本の隅々にまで展開することに成功。 好きで得意なことで役に立つと自分も周りも幸せだ。と確信する。 その後、独立起業。インナーブランディングの専門家として活動中。 趣味はトライアスロンだが走るのは嫌い。サウナとバスケ観戦が好き。 焼肉の部位はハラミ。フラップスプランの代表。
サポートさせていただいている企業様で人材の悩みについて経営者から相談されます。
その中でも多いのが「人が定着しない」という悩み。
そしてこの悩みを抱えるサポート先を分析していくと大体2パターンに分かれます。
1. については理由が明確なので今回は2. の会社のお話です。
2.待遇はいいのに定着しない「謎の退職」が連続する企業にかなりの確率で共通していることは
・業績が伸びている
・決して過酷な環境なわけではない
・社長が勉強熱心
ということです。
そして、定着しなくなったきっかけを遡ってみると
・主軸だったキーマンが退職した
という事象が起きていることが多くあります。
このキーマンの退職というは、決してネガティブな理由ではなく、独立起業や本人の夢が叶うようなキャリアアップ、結婚退職などこちらが応援したくなるような理由です。
その穴を埋めるように早急に採用に動くわけですが、ここが運命の分かれ道となります。
とある大箱の美容院の話です。
起業から5年いろんな困難はあったものの順調に拡大し、スタッフは15名ほど。さらに多店舗展開を目指そうと息巻く経営者。
しかし、ここで創業2年目から入社し主軸を担っていたリーダー格の女性スタッフが結婚退職することになりました。
結婚後も働いて欲しいと話し合いましたし、本人も働きたいと思っていたのですが、旦那さんの仕事の関係上、引っ越すことが前提だったためそれも不可能ということで、惜しまれつつ退職しました。
もちろん、社長はすぐにそのキーマンが抜ける穴を埋めるべく二番手のスタッフをリーダーに任命します。そしてその人員補充のために採用活動を行いました。
ここまでは何ら問題のない動きのように感じます。
しかし、この採用によってどんどん状況は悪化していったのです。
私は「穴埋め採用クライシス」と呼んでいますが、起きたのは大体以下のこと。
一つずつ解説していきます。
新たにリーダーになった人材が、以前のキーマンの幻影と戦ってしまうと多くの場合がプレッシャーで自己嫌悪に向かっていきます。また、経営者側もなんともそのキーマンが抜けた穴が大きいために、いつまでも以前のクオリティを期待してしまい無意識に「以前はこうだった」みたいなことを口走ってしまいます。すると徐々にその新リーダーのエネルギーは降下していき、より負のスパイラルに落ち込んでいきます。
業績は好調なので人員補充が必要です。正直、猫の手も借りたいという状況のため、とにかく自社で働きたい!と言ってくれるなら、相当変な人でない限り、とりあえず採用する。という動きになってきます。しかし、まだ猫の方が可愛げがあって良かったということがよく起こります。現実問題として人材の質の低下が起きる瞬間です。
しかし、この会社の社長は優秀なので評価制度や社内規則を整えることで、なんとかこの人材の質の低下によるサービスの低下を防ぎ、顧客満足を維持するための努力をしました。今まではお互いの配慮や思いやりの気持ちで動いていた部分がルール化されていきました。徐々に会社の文化が変化していったのです。
私たちが好きだった会社ではなくなってしまった。初期メンバー数人がその変化を敏感に感じとります。なんだか人が入れ替わってきたし、そろそろ私も転職しようかな。そんな雰囲気になり会社としてとても重要な「理念体現者」が数人やめてしまいます。
数人の理念体現者の退職により、今まで圧倒的多数派であった仕事楽しい!がんばろう派閥の影響力が下がり、新たな労働力として採用された新人の働く人の権利だけをやたら主張する派閥が台頭し始め、内紛が起き始めます。社長はもちろんがんばろう派なんですが「やめられたら困る」という恐れから反対派閥に強くアプローチできなくなっていきます。
この内紛状態にある職場で採用活動を行うわけですが、求職者も馬鹿じゃないので、というか、優秀な人ほど職場の雰囲気を感じ取って辞退します。逆に気づく力の弱い人だけが入社してきて「思ったのと違う」って言って早期に退職するわけです。
人がすぐやめて現場が困るため補充人員をすぐに採用。しかし、猫の方がまだマシ。
以下無限ループとなります。
この「穴埋め採用クライシス」いかがでしょうか?怖いですよね。
でも実際によく起きています。業種業態関係なく、実は目立たないけど要石のような動きをしていたまさに、文字通り「キーマン」が退職することによって、綻(ほころ)びが生じ始めます。
このキーマンの特徴は実務レベルが非常に高いというよりは、理念の体現者であったり、まとめ役という業務の表面上にあまり出てこない役割だったりします。
非公式のNo.2や精神的支柱と呼んでいいかも知れません。
なので、経営者側の見解は「やめるのは寂しいけど業務に支障は出ないだろう」というレベルの認識です。そのために穴埋め採用で何とかなると考えてしまうのかも知れません。
ではどのようにしたらこの無限ループから抜けられるのでしょうか。
穴埋め採用クライシスの発端はどこにあるのか?
そして、どこで食い止めることができるのか?
以下のことに気をつける必要があります。
そもそもで言うと、キーマンが辞めて二番手が比較されてしまう状況を作らない。そして、新しい人が入ってきても個の能力に頼ることなく等しくできる状態を準備しておく。ということ。つまり属人的な仕事にならないように、業務に人をつけるという状態を平時から構築していくことが重要です。
と、机上の理論ではこうなりますが、ほとんどの中小企業では無理だと思います。その人だからここまでやれた。というのが真実だし、その人の退職に備えて準備するほど余裕がないことの方が大半です。とはいえ、属人的にならない状態づくりは「理想を求めて準備する」と理解して進めていく必要があると思います。
「なんで近くで見てたはずなのにできないんだろう?」
いまいち動きの悪い新リーダーに対してつい思っていませんか?
この問題は過去が美化されがちであることが理由の一つ。
そしてもう一つが、一番手と二番手の総合力の違いがいかに大きいのか?について正しく理解できている人が少ないことです。
高校野球の投手がなぜあんなに連投させられるのか?と疑問に思いませんか?
二番手投手に変わればいいのに。どこの高校も変えられないのです。
それは、あまりに一番手との総合力が違いすぎるから。
スキルの違いが最大の理由ではありません。メンタルも含めた総合力が圧倒的に違います。それは「本番」に立った回数が圧倒的に違うからです。
エースが1人しか存在し得ない理由。
それは「本当に責任を持ったリーダーは常に1人」だからです。
エースは登板回数が圧倒的に多く、失敗と成功を重ね、さらに真のエース、リーダーになっていきます。しかし、二番手はあくまでエースの控え、副リーダーであり、エースの有事に備えている存在です。その存在にエースと同等の心持ちで常に居なさい。というのは不可能に近い話です。
責任を背負った「時間」と「回数」
それだけが真のリーダーを育てます。
なので、いきなり同等の動きができるという期待は手放しましょう。じっくり育てるしかありません。
「前の人はできてた、前が良かった」って彼氏、彼女に言われたら嫌でしょう?
従業員はもっと嫌ですよ。
これが定着しない職場問題のボトルネックだと思います。
もちろん採用にあたっては慎重に実施されている経営者がほとんど。
しかし、現場の過負荷をなんとか解消したいという思いから、つい採用基準が甘くなったりすることがあります。
また、そもそも応募数の少ない業界だったりすると採用費分は採用しなきゃもったいない。来てくれるだけでありがたい!となって、来るもの拒まず去るものは必死で引き止める。となってしまっているのも現実です。
苦しい状況から逃れたいという欲求は、目を曇らせます。
この現象を「認知の変容」と言います。
高層ビル火災において、絶対に助からない高さから飛び降りてしまう人が多くいるそうです。従来は、ここにいても煙や火に撒かれて死んでしまうから覚悟を決めて飛び降りるのだと考えられていました。
しかし、とあるホテル火災から救出された女性宿泊客の証言は、飛び降りの背景に認知の変容が絡んでいることを明らかにしました。
この女性は数人ではしご車による救助を待ちながら、5階の窓から交代で首を突き出して新鮮な空気を呼吸していました。すると、首を突き出す度に、眼下に見えるホテルの庭が近付いて見えてきたといいます。そのうち「この近さなら何とか飛び降りられるのではないか」という気がしてきて、理性ではそれを否定しながらも、その気持ちを抑えることが難しかったそうです。これは、脱出したい、助かりたいという強い欲求によって、地面までの距離感が歪められた例であるといえます。
このように、私たちは危機が迫ると現実を歪めて「良く」みてしまうということが起きます。その良く見たいという思い込みに、確証バイアスという、自分に都合の良い情報ばかりを集める。という機能が拍車をかけて、本当はイマイチな人材を「ものすごくいい」と思い込んでしまうのです。
とにかく採用というか、人が人を判断するということはどこまでいっても難しいということです。
期待度×合否の結果の掛け算は以下の通り。
・ダメだと思って不採用にしたら本当にダメな人だった
・ダメだと思って不採用にしたら実はいい人でもったいなかった
・あまり良くないと思ったけど採用したら、やっぱりダメだった
・あまり良くないと思ったけど採用したら、実は良かった
・いいと思って採用したのに、ダメだった
・いいと思って採用したら、やっぱり良かった
とどのつまり。結果は雇ってみなけりゃわからない。というのも真実です。
しかし、この6つの目のサイコロの中で
・あまり良くないと思ったけど採用したら、実は良かった
の目が出る確率はどれぐらいでしょうか。
雇用側も被雇用側も双方がハッピーになる採用方法はわかりません。
しかし、双方が不幸にならないために雇用側ができることがあるとするなら、自社で働きたい人ではなく、自社で働いてほしい人を獲る。ということに尽きます。
「そうは言っても、現場が回らない」
経営者から2万回ぐらい聞きましたが、結局ほとんどの会社がその時期に採った人材はほぼ辞めていて、入れ替わっています。
自社が自信を持って雇用した人しか本気で関わることができません。
穴埋め採用はグッと堪えて、自社に必要な人を採用しましょう。
強いチームづくりのヒントになれば幸いです。
人材育成や採用・離職に関する課題は簡単に解決できるものではありません。正しい知識を身につけて、日々継続していく事が必要です。
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事務局:スズキヒラク
この記事を書いた人
福永寿徳
大学卒業後、ヘルスケア業界で1000名以上のトレーナーを育成。 セールス下手でも日本の隅々にまで展開することに成功。 好きで得意なことで役に立つと自分も周りも幸せだ。と確信する。 その後、独立起業。インナーブランディングの専門家として活動中。 趣味はトライアスロンだが走るのは嫌い。サウナとバスケ観戦が好き。 焼肉の部位はハラミ。フラップスプランの代表。
2025.04.30
マトリクス組織のメリット・デメリットを解説!成功させるポイントも紹介
チームづくり「マトリクス組織」は、複数の組織軸を組み合わせて専門性と連携を両立させる組織形態です。 自社へのマトリクス組織の導入を検討する場合、メリット・デメリットやポイントを知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。 概要や種類を紹介した前回に続き、今回の記事ではマトリクス組織のメリット・デメリット、取り入れた際に成功させるポイントについて解説します。 ぜひ、参考にしてみてください。 マトリクス組織のメリット マトリクス組織のメリットは、次の3点です。 業務効率化が図れる 管理者の負担が軽減される 新たな事業に取り組みやすい それぞれ解説します。 業務効率化が図れる マトリクス組織では部門間の壁を越えたコミュニケーションが促進し、組織全体の視点から業務を進められるのがメリットです。 また、各部署の専門知識やノウハウが共有されることで重複業務が削減されるため、工程の最適化が実現します。 人材を柔軟に配置できるので業務の繁閑に応じた人員調整が容易になり、組織全体の生産性向上にも役立ちます。 管理者の負担が軽減される 権限と責任がプロジェクトや機能ごとに分散されるため、トップ管理者への業務集中が緩和される点もメリットの一つです。 現場に近いマネージャーに意思決定権が委譲されることで迅速な判断が可能になり、各管理者は自分の専門分野に集中できます。 これにより管理の質が向上すると同時に、管理者のストレスや疲労も軽減されます。 新たな事業に取り組みやすい 各部門から必要な専門知識や技術を持つ人材を集めてチームを編成するため、新規事業や市場変化への対応がスムーズに進みます。 多様な視点を持つメンバーが集まることで創造的なアイデアが生まれやすく、既存リソースを新たな形で組み合わせてコスト効率の良い事業展開が可能になります。 マトリクス組織のデメリット メリットがある一方で、マトリクス組織には特有の課題も存在します。 主なデメリットは次の3つです。 パワーバランスが維持しにくい 従業員の負担が増える 人事評価が難しくなる それぞれ解説します。 パワーバランスが維持しにくい 各部門の管理者とプロジェクトマネージャーという複数の指揮系統が存在するため、権限のバランス維持が難しくなる傾向があります。 管理者間で方針や優先順位の食い違いが生じると、メンバーは相反する指示に板挟みになり業務が停滞します。 この問題を防ぐには、明確なルール設定と定期的な調整会議が欠かせません。 従業員の負担が増える 複数の管理者から指示を受けることで、従業員の心理的負担が増大するのもデメリットの一つです。 異なる期待に応えようとするストレスや複数プロジェクトの同時進行による時間管理の難しさによって、バーンアウトを招くおそれがあります。 また、報告や会議の増加により実務時間が減少するリスクもあります。 適切な業務量調整と優先順位付けが重要です。 人事評価が難しくなる 部門管理者とプロジェクトマネージャーでは評価基準が異なることが多く、評価の不一致が生じやすくなります。 また、プロジェクト期間と評価期間の不一致や貢献度の可視化の難しさも課題です。 複数評価者による総合的な評価システムと明確な評価指標が必要になります。 マトリクス組織を取り入れて成功させるポイント マトリクス組織を取り入れて成功させるには、次の2つのポイントを押さえておくとよいです。 管理者・マネージャーの連携を強化する 従業員のストレスケアに努める それぞれ解説します。 管理者・マネージャーの連携を強化する マトリクス組織では複数の管理者・マネージャーから指示が出るため、指示の不一致や矛盾が生じやすくなります。 これを防ぐには、お互いの定期的な情報共有と意思疎通が必要です。 また、プロジェクトごとに役割と責任を明確にし、指示系統の混乱を未然に防ぐことが重要です。 共通の目標設定や評価基準の統一を図り、協力体制を構築することで、マトリクス組織の強みを発揮できます。 従業員のストレスケアに努める マトリクス組織の従業員は複数のプロジェクトに所属することで、多方面への気遣いやタスク管理の複雑さから大きなストレスを抱えがちです。 業務量の偏りも生じやすいため、各従業員の業務状況を定期的に把握し、過度な負担がかからないよう調整することが重要です。 ストレスチェックやセルフケア研修の実施も効果的です。 また、コーピングなどのストレス対処法を教育し、従業員自身がストレスを軽減できる環境づくりをサポートすることで、マトリクス組織の持続可能な運営が可能になります。 まとめ マトリクス組織には業務効率化や新規事業への柔軟な対応などのメリットがある一方、パワーバランスの維持の難しさや従業員の負担増加といった課題もあります。 導入する際は、管理者間の連携強化と従業員のストレスケアがポイントになります。 今回の記事を参考に、マトリクス組織の強みを生かした柔軟な組織づくりを目指していきましょう。
2024.10.22
スモールステップの使い方とは?ビジネスに取り入れる際の注意点や具体例も紹介
チームづくりスモールステップは、目標を細かなステップに分けて達成していく方法です。 人材育成や部下育成にスモールステップを取り入れる場合、具体的な使い方などを把握しておくとスムーズに進みます。 今回は、スモールステップの使い方について解説し、注意点や具体例も紹介します。 スモールステップをビジネスとして自社に取り入れたい担当の方は、ぜひ参考にしてみてください。 スモールステップの使い方 スモールステップの使い方は、下記の通りです。 目標の設定 やるべきことの細分化 ステップの実践 それぞれ解説します。 目標の設定 まず、明確な最終目標を定めることから始めます。 この目標は、達成したい成果を具体的に表現したものです。 たとえば、「1年以内に月間売上を10%増加させる」や「半年で新規顧客を20社獲得する」といった形で、数値や期限を含めて設定します。 目標は少し高めに設定しても構いません。 これにより、チーム全体の方向性が定まります。 やるべきことの細分化 次に、設定した目標を達成するために必要な作業を細かく分解します。 この過程では、チームメンバーの能力や経験を考慮しながら、各ステップを無理なく実行できる大きさに調整するのがポイントです。 たとえば、「新規顧客獲得」という目標であれば、「見込み客リストの作成」「営業資料の準備」「電話でのアポイント取得」など、具体的で管理しやすい作業に分けていきます。 スモールステップでは、各ステップの難易度を徐々に上げていくことが重要です。 そのため、一つのステップの難易度が高い場合、さらに細分化して達成しやすくするのがおすすめです。 ステップの実践 最後に、細分化したステップを一つずつ着実に実行していきます。 初期のステップは比較的容易に達成できるはずです。 これによりチームに成功体験を積ませ、自信をつけさせることができます。 また、各ステップの達成時に小さな報酬を用意したり、進捗状況を可視化してチーム内で共有し、全員の意識を高めたりするのも良い方法です。 さらに、定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を調整することも重要です。 過程を記録に残しておけば、将来の計画立案や改善に活用できます。 スモールステップを取り入れる際の注意点 ここでは、スモールステップを取り入れる際の2つの注意点を取り上げて解説します。 目標の細分化には注意が必要 目標を細分化する際は、慎重に行う必要があります。 大きな目標を小さな達成可能なステップに分解する場合、過度に細かく分けすぎると達成までのプロセスが増えてしまったり、全体がつかみにくくなったりします。 そのため、適切な粒度で目標を分割するのがポイントです。 たとえば、「新製品の開発」という目標を細分化する場合、「アイデア出し」「市場調査」「設計」「プロトタイプ作成」などの段階に分けるのは効果的ですが、細かく分割しすぎると全体の見通しが失われるおそれがあります。 また、各ステップが具体的で実行可能な行動を示していることを確認する必要があります。 曖昧な表現や抽象的な目標では、チームメンバーが何をすべきか理解できず、進捗が滞る可能性があるためです。 目標の細分化は、全体の目的を見失わず、かつ実践的な行動指針となるバランスを保つことが重要です。 目標達成には時間がかかりやすい スモールステップを取り入れると、目標達成までの道のりが長くなる傾向があります。 大きな目標を多くの小さなステップに分割することで、全体のプロセスが増えるためです。 そのため、十分な時間的余裕を持って計画を立て、定期的に目標の妥当性を見直すことが重要です。 同時に、長期的な視点で成果を評価し、短期的な結果にとらわれすぎないよう注意する必要があります。 スモールステップの具体例 スモールステップの具体例を2つ取り上げて解説します。 売上目標の達成 売上目標の達成にスモールステップを活用することができます。 たとえば、「年間売上1億円」という目標があるとします。 これを直接達成しようとすると圧倒されてしまう可能性があるため、まず月単位の目標に分割し、月間850万円の売上目標を設定します。 さらに、この月間目標を達成するための具体的なアクションに落とし込みます。 「週に5件の新規顧客訪問」「毎日3回のSNS投稿によるブランド認知度向上」「月に1回の既存顧客向けセミナー開催」などです。 これらの小さな目標を一つずつ達成していくことで、徐々に大きな目標に近づいていきます。 スケジュール管理の指導 スケジュール管理が苦手な社員を指導する場合も、スモールステップが効果的です。 まず、デジタルカレンダーの使用を勧め、毎朝15分間、スケジュールを確認する習慣をつけさせます。 次に、タスクの優先順位付けを教え、重要度と緊急度に基づいて仕事を分類する練習をします。 各タスクにかかる時間を予測し、実際の時間と比べる習慣も身につけさせるとよいです。 また、週に一度、短い振り返りの時間を設けて改善点を見つけます。 これらの小さな段階を順に実践することで、徐々にスケジュール管理能力が向上します。 まとめ スモールステップは、大きな目標を小さな達成可能なタスクに分解し、段階的に実行していく効果的な方法です。 ビジネスに取り入れる際は、適切な目標設定と細分化、着実な実践が重要です。 ただし、過度な細分化や時間管理には注意する必要があります。 売上目標の達成や社員のスキル向上など、スモールステップはさまざまな場面で活用できます。 ぜひ、自社にスモールステップを取り入れてみてはいかがでしょうか。
2025.04.22
マトリクス組織とは?他の組織形態との違いや3つの種類について解説
チームづくり企業組織のあり方を考える上で注目を集めているのが、異なる業務遂行要素を組み合わせた「マトリクス組織」です。 網の目のように複数の軸で構成されるこの組織体系は、現代のビジネス環境に対応するための選択肢の一つです。 人事担当者の中には、「マトリクス組織とは何か知っておきたい」「自社に取り入れてみたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、マトリクス組織とは何かを解説し、プロジェクト型組織・機能型組織との違い、3つの種類についても紹介します。 ぜひ、参考にしてみてください。 マトリクス組織とは マトリクス組織とは、「職能」「事業」「エリア」といった異なる組織軸を複数組み合わせて構成される組織形態のことです。 この組織構造の特徴は、一人の従業員が二つの所属先を持ち、それぞれから指示を受けながら業務を遂行する点にあります。 たとえば、エンジニアが技術部門に所属しながら特定のプロジェクトチームにも所属するような形態です。 従来のピラミッド型組織では指示系統が「上から下へ」の一方向のみでしたが、マトリクス組織では「上から下へ」と「横へ」という二つの方向から指示が飛ぶことになります。 マトリクス組織は1960年代、NASAのアポロ計画をきっかけに普及しました。 アポロ計画では、月面着陸という難しいプロジェクトを成功させるため、縦軸に機能別組織、横軸にプロジェクトチームを配置する組織形態が採用されたのです。 プロジェクトごとにマネージャーを置き、限られたリソースを効率的に活用しながら複数の目標を同時追求できる利点が認められ、その後航空宇宙産業から一般企業へと広がっていきました。 ビジネス環境の複雑化に対応し、柔軟性を持ちながら複数の目標を同時達成できる組織形態として現在も多くの企業で採用されています。 プロジェクト型組織・機能型組織との違い マトリクス組織と似ている組織形態として、「プロジェクト型組織」と「機能型組織」があります。 ここでは、それぞれについて解説します。 プロジェクト型組織とは 「プロジェクト型組織」は、特定の目標達成のために一時的に編成される組織形態です。 プロジェクトごとにチームを構成してプロジェクトマネージャーを配置し、メンバーは明確な指揮命令系統のもとで活動します。 マトリクス組織との最大の違いは、組織の継続性にあります。 マトリクス組織では従業員が複数の所属先を持ち、その状態を継続するのに対し、プロジェクト型組織はプロジェクト完了後に解散することが前提です。 また、指揮命令系統においても、マトリクス組織が複数の上司から指示を受ける二重構造であるのに対し、プロジェクト型組織では一本化されています。 プロジェクト型組織のメリットは、メンバー同士の意思疎通が円滑で、特定目標に集中できる点です。 責任の所在も明確で、環境変化に柔軟に対応できます。 一方で、プロジェクト完了後に組織が解散するため長期的なノウハウ蓄積が難しく、プロジェクト間の連携不足や、重要な意思決定における判断ミスのリスクといったデメリットも存在します。 機能型組織とは 「機能型組織」は、企業のトップの下に「開発」「製造」「営業」「人事」など専門機能ごとに部署を設ける組織形態です。 マトリクス組織との主な違いは構造の軸にあり、機能型組織が「機能のみ」の単一軸で構成されるのに対し、マトリクス組織は「機能とエリア」など複数軸で構成されます。 また、機能型組織では従業員は一つの部署にのみ所属しますが、マトリクス組織では複数の所属先を持ちます。 機能型組織のメリットは、部門の役割が明確で専門性を活かした業務遂行が可能な点と、部門内での情報共有がスムーズな点です。 一方、デメリットとしては部門間の壁が生じやすく、他部署との連携が困難になりがちな点が挙げられます。 上司からの指示を待つ「指示待ち」状態が生まれやすく、作業スピードが低下するリスクや、新規プロジェクトでの責任所在の不明確さといった課題もあります。 マトリクス組織の3つの種類 マトリクス組織は組織内での責任者の選出方法や権限配分によって、次の3つのタイプに分類されます。 ウィーク型 バランス型 ストロング型 それぞれ解説します。 ウィーク型 「ウィーク型」は、プロジェクトの責任者を特に設けない組織形態です。 一人ひとりのメンバーに高い裁量権を与え、各自が責任を持って自らの判断で業務を遂行する形式をとります。 そのため、メンバーの自律性が重視され、フットワークが軽く、スピード感のある組織運営が可能になります。 環境変化やトラブルに対しても柔軟かつ迅速に対応できる点が強みです。 しかし、責任者不在のため指揮命令系統が曖昧になりやすく、プロジェクト全体を把握する人物がいないことで意思決定に時間がかかるケースもあります。 急速な対応が求められる小規模プロジェクトに適していますが、プロジェクトが大きくなると統制が難しくなる傾向があります。 バランス型 「バランス型」は、プロジェクトメンバーの中から責任者を選出する形態です。 責任者はプロジェクト全体を把握し、メンバーの業務調整を行いながら、必要に応じて的確な指示を出すことができます。 現場の状況を熟知した責任者が統率するため、実情に即した運営が可能になります。 一方で、プロジェクトの責任者とは別に部門全体のマネージャーも存在するため、メンバーは複数の上司から指示を受ける状況に置かれます。 これにより指示系統の混乱が生じたり、責任者の業務負担が過大になったりする課題も発生しやすいです。 中規模のプロジェクトや、現場の状況に応じた柔軟な対応が求められる場合に効果的だといえます。 ストロング型 「ストロング型」は、専門部署に所属するプロジェクトマネージャーを各プロジェクトの責任者として配置する形態です。 マネジメントのプロフェッショナルがリードすることで、明確かつ効率的な業務遂行が実現し、メンバーの負担軽減にもつながります。 専門的知識や経験を活かした質の高いプロジェクト運営が期待できる点が強みです。 ただし、この形態を導入するにはマネージャーの専門部門を新設する必要があり、中小企業にとっては設立コストやランニングコストの負担が大きくなります。 大規模で複雑なプロジェクトや、多くの人員を抱える大企業のプロジェクト運営に適しています。 まとめ マトリクス組織は複数の組織軸を組み合わせることで、専門性と連携を両立させる組織形態です。 従業員が複数の所属先を持つことで、多様な視点から課題に取り組み、複数の目標を同時に追求できる柔軟性があります。 マトリクス組織を理解する際は、プロジェクト型組織や機能型組織と比較した際の特徴や、ウィーク型、バランス型、ストロング型という3つのタイプがあることを把握しておくとよいでしょう。
ワンネス経営®プログラムは、インナーブランディング強化というアプローチを通して、 お客様企業が求める成果を達成していくという「新しいチームビルディングのプログラム」です。 イメージが持ちづらい点があるかもしれませんが、どうぞお気軽にご質問、ご相談ください。