2023.04.11
チームづくり
目次
「メンター制度」は、主に若手社員に向けて精神面をサポートする制度です。
人材の育成はもちろん、離職を防ぎ、定着率の向上にもつながるため、現在多くの企業で広まりを見せています。
ただし、メンター制度の導入を考える場合、自社に適しているのかわからないという方も多いかもしれません。
メンター制度の概要やメリット・デメリットなどを知っておくことで見極めやすくなり、導入の検討がスムーズに進みます。
そこで今回の記事では、メンター制度が注目される背景や目的、また混同されやすいOJT制度との違いやメリット・デメリットについて紹介します。
「メンター制度」は、先輩社員が新入社員を中心とした部下や後輩、同僚などの不安や心の悩みを解消し、精神的な支援を行う人材育成制度です。
業務やビジネススキルだけでなく、仕事観や生き方まで全人格的にサポートすることが特徴です。
支援する側を「メンター(mentor)」、支援される側を「メンティ(mentee)」と呼び、一般的にメンターは、メンティと年齢の近い入社3〜5年目の社員が担当します。
メンターがメンティを支援することを「メンタリング」と言い、若手社員の定着率向上などさまざまな効果が期待できます。
メンター制度が注目されている背景として、近年問題になっている「若手社員の離職率の高さ」が挙げられます。
入社3年以内に離職する原因の多くが、職場環境や仕事への不適応です。
それには、時代とともに変化した組織風土が関係しています。
先輩・後輩の関係が築きやすかった終身雇用・年功序列制度から、実力主義・多様化の組織体制に移行したことで、若手社員が孤立しやすくなったと言えます。
従来日本の企業が持っていた、先輩が後輩を指導するという組織風土を新たに創出することがメンター制度の狙いの一つなのです。
メンター制度の主な目的は、若手社員が抱える不安や悩みを解消して孤立化を防ぎ、最終的に離職率を低下させることです。
また、自主性を大切にしながらビジネスパーソンとしての基礎知識を教えることで、自律を促す目的もあります。
加えて、メンターに育てられた若手社員はその後、同様のメンターになり、やり方が継承されていくため、人材の育成と生産性向上といった面からも重要です。
メンター制度と似ている制度として「OJT制度」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
「OJT(On-the-Job Training)」は、企業が若手社員に行う教育方法の一つです。
研修としてよく利用されており、上司や先輩などのOJT担当者がスキルや知識を実際の業務を通して指導します。
一方、メンター制度では、実務に必要なスキル・知識を教えるだけでなく、メンタル面のサポートも行います。
メンティを全体的に支援するという点がOJTとの違いです。
また、OJT制度では基本的に同じ部署の上司・先輩が教えますが、メンター制度では別の部署の先輩社員が担当します。
メンター制度にはさまざまなメリットがあります。
主なメリットとして挙げられるのは下記の4つです。
それぞれ解説します。
入社したての時期は職場の環境や人間関係に慣れないため、不安や孤独を感じがちです。
メンター制度を導入することで気軽に話せる先輩が存在し、職場になじむことが容易になります。
また、不安が取り除かれれば、仕事に対する意欲が向上するといったメリットもあります。
人に教えることで、メンター自身の成長にもつながります。
メンティの悩みを聞いて適切に支援するには、傾聴力や共感力、コミュニケーション力といったさまざまなスキルの向上が不可欠です。
さらに、先輩社員としての自覚が生まれて責任感が強まり、仕事への向き合い方が積極的になります。
組織の活性化に役立つ点も、メンター制度のメリットです。
他部署の先輩後輩同士で交流を行うため、社内の風通しが良くなるのはもちろん、社員全員が「若手社員の育成」という目的を共有できます。
コミュニケーションが活発になり、生産性の向上にもつながります。
メンター制度では、メンターとメンティの間で信頼関係が築けるため、自社に対する「愛社精神」が高まります。
加えて、他部署のことを知る機会にもなり、自社への理解も深まるものです。
メンター制度は、社員の離職を防ぐという大きなメリットをもたらします。
メリットが多い一方、デメリットもあります。
考えられるデメリットは、次の2つです。
それぞれ説明します。
メンターを担う先輩社員は、普段の業務に加えて後輩のフォローを行う必要があります。
そのため、個人にかかる負担が大きくなりがちです。
周囲がしっかりサポートする、評価基準に取り入れてメンターの評価を高くするといった工夫が大切になります。
メンター制度は、メンターとメンティの関係が良好でなければ成立しない制度です。
2人の相性が悪いとお互いにストレスを抱えてしまい、逆効果になりかねません。
あらかじめ相性を検討した上で開始し、場合によっては早めにメンターを変更するなどの仕組みを作っておくことが重要です。
メンター制度は、若手社員の離職率の高さを背景として注目されている人事育成制度です。
先輩社員がメンターとして若手社員の精神的なサポートを行うことで良好な社内環境を生み出し、孤立化を防いだり自律を促進したりする効果があります。
メリットが多い一方、デメリットもあるため、導入の際は確認しておくことが重要です。
ぜひ、今回の記事を参考にしながら検討してみてください。
この記事を書いた人
泉水 ちか
東京都在住のWEBライター。フリーランスで様々なジャンルのライティングをこなす。人のこころに興味があり、心理学・カウンセリングの資格を多数取得。マーケティングにも活かすべく奮闘中。趣味は映画鑑賞(ホラーやアクション!)と温泉・銭湯めぐり。長年、放送業界にいたため音楽に詳しい。運動嫌いのインドア派だが夏フェスは好き。ラーメンと寿司と焼肉があれば大丈夫。
2023.01.17
リスクマネジメントとは?企業を取り巻くリスクや必要性、類似用語を紹介!
チームづくり近年、社会環境の急速な変化に伴って、リスクマネジメントの重要性を認識する機会が増えています。 リスクを組織的に管理するため、リスクマネジメントにしっかり取り組みたいと考えている方も多いのではないでしょうか。 リスクマネジメントの基本を押さえておくことで、自社での活用を検討しやすくなるはずです。 今回の記事では、企業を取り巻くリスクについて紹介し、リスクマネジメントの必要性と類似用語との違いを解説します。 リスクマネジメントの概要と企業を取り巻くリスク 「リスクマネジメント」とは、経営を行う上で不利益になり得るリスクを組織的に管理し、損失の回避もしくは最小限に抑えることを指します。 もともとはアメリカの保険理論で、危険や危機を意味する「risk(リスク)」と、経営や管理、統御といった意味の「management(マネジメント)」を合わせた言葉です。 ただし、企業における「リスク」には、統計学的な「潜在的に起こり得る可能性」という意味合いが含まれます。 これは、国際標準化機構(ISO)で定められた国際的なガイドラインにおいて、リスクを「目的に対する不確実性の影響(Effect of uncertainty on objectives)」と定義していることからも明白です。 参考:「ISO31000:2009, Risk management」– Principles and guidelines 例えば、製造業の場合、商品を販売する市場や原料の市場は不確実性が高いものですが、事前に調査・分析を行っておくことである程度の影響予測ができます。 こういった事前の予測でリスクを回避したり低減したり、時にはリスクを取り、前に進む判断を行ったりすることが、企業におけるリスクマネジメントです。 企業を取り巻くリスクとしては他にも、売上減少やコンプライアンス違反、情報漏洩、製品不良による事故などがあり、さまざまな不確実性の影響検討が重要となります。 リスクマネジメントの必要性 従来より、企業が意思決定する際はリスクマネジメントを伴うケースがほとんどでした。 近年では多くの企業で業務のアウトソーシング化が進んでおり、外注先が営業停止した場合の連鎖的影響や品質問題といったリスクが顕在しています。 また、社会情勢や環境、価値観が変化したことでリスクが多様化しているため、それらに対応していかなければ最悪の場合、経営が悪化する可能性があります。 企業がリスクマネジメントの必要性をしっかり認識し、積極的に実施していくことが重要です。 リスクマネジメントの実施を認証するものとして、Pマーク(プライバシーマーク)やISMS(ISO27001)があるので、必要に応じて検討されることをおすすめします。 リスクマネジメントの類似用語 類似用語との違いを知っておくと、リスクマネジメントが理解しやすくなります。 リスクマネジメントと類似した言葉は、下記の3つです。 クライシスマネジメント リスクアセスメント リスクヘッジ それぞれについて解説していきます。 クライシスマネジメント 「クライシスマネジメント」とは、危機的状況は必ず発生するものという前提にもとづき、ある程度の機能不全が起こることを覚悟の上で行う対応を指します。 つまり、危機的状況を引き起こさないためにどう予防するか検討する「事前策」のリスクマネジメントに対し、クライシスマネジメントは危機が起きた後にどう対処するか検討する「事後策」です。 ただし、リスクマネジメントには事前策と事後策の両方の意味があり、クライシスマネジメントはリスクマネジメントの一部、という考え方もあります。 テロや自然災害、ウィルスといった想定を凌駕する事案の発生が相次ぎ、リスクを上回るより重大な対応という意味でもクライシスマネジメントは大きな注目を集めています。 リスクアセスメント 「リスクアセスメント」は、リスクマネジメントに類似した言葉の一つです。 「アセスメント」は、英語の「assessment」が語源で、「人やものごとを客観的に分析・評価すること」を意味します。 リスクマネジメントは、リスクの特定から分析・評価・対処までを含んだ全般的なリスク対応を指しますが、リスクアセスメントは特定から分析・評価までのプロセスを指しています。 つまり、リスクアセスメントのプロセスには、「対処」は入りません。 リスクマネジメントの中にリスクアセスメントがあると理解しておくとよいです。 リスクヘッジ 「リスクヘッジ」とは、主に金融取引で使われる言葉で、起こり得るリスクの程度を予測し、対応できる体制を取って備えることを指します。 ビジネスにおいて使われる場合、危険を予測し、それを避けるための対策を講じる、といった意味があり、リスクマネジメントとほぼ同義になりますが、リスクマネジメントは「企業における危機管理」のことです。 ビジネスシーン全般が背景の「リスクヘッジ」と、企業を背景とした「リスクマネジメント」との違いになります。 まとめ 企業を取り巻くリスクは年々多様化しており、リスクマネジメントの必要性も高まってきています。 あらかじめリスクマネジメントについて知っておくことで、リスクを組織的に管理することが可能になります。 ぜひ、今回の記事を参考にして、リスクマネジメントの本格的な取り組みを検討してみてください。
2022.05.31
なぜ教えたのにできないのか?〜教えるとできるの間にあるもの〜
チームづくり「え?この前…教えたよね?なんでできないの?」 って言いたくなる時ありますよね。 というか、よく言っていますよね。 「ウソでしょ???なんでこうなったの??」 って言いたくなる場面にたまに出くわしますよね。 さて、なぜ人は教えたのにできないのか。 ついつい 能力が低い意識が低い真剣じゃない本気じゃない覚悟が足りない など 相手の足りないものに目が向きがちです。 しかし、そこに焦点を当てても一向に状況は良くなりません。 今回は、本質的な問題解決を目指すために、 なぜ教えたのにできないのか?について鋭く優しくメスを入れていきます。 大学卒業後、ヘルスケア業界で1000名以上のトレーナーを育成。 セールス下手でも日本の隅々にまで展開することに成功。 好きで得意なことで役に立つと自分も周りも幸せだ。と確信する。 その後、独立起業。インナーブランディングの専門家として活動中。 趣味はトライアスロンだが走るのは嫌い。サウナとバスケ観戦が好き。 焼肉の部位はハラミ。フラップスプランの代表。 投稿一覧へ 教えたのにできないとイラッとくるのはなぜ? そもそも、教えたのにできない理由は何かというと、基本的には「忘れるから」です。 逆に質問ですが、あなたは3日前の夜ごはんはなんだったか覚えていますか? 私は、さっぱり思い出せません。 頭の中で探っても出てきません。 たまたま誰かとの食事会だったから、とかがないと絶対に無理です。 むしろそれですらカレンダーを見て、3日前は◯曜日だったからえーっと。。 っていう感じです。 人間の記憶なんてそんなものです。 どれぐらい人間が忘れるかというと、これぐらいです。 しかも、厄介なのは教える側は覚えているのですが教わる側が覚えていないことがよくあること。 なぜなら、教える側は記憶から引き出して伝えているので、記憶が強化されてます。 しかし、教わる側は新しい情報なのでとても定着が浮動的です。 いや、そうは言っても仕事のことなんだから、 「普通にちゃんとやっていれば忘れない!」 「そんなに難しいことはやらせてないはず!」 と言いたくなると思います。 そうなんです。そろそろお気づきでしょうか。 相手が忘れてしまったことにイラッときているのではないのです。 そもそも教えている時にメモを取ったりしていたのか? 分からないことがあった時、そこで質問していたのか? さらに今のご時世、業務によってはスマホで撮影すれば何度でも学べるのに、そういう工夫や努力はしたのか? と、忘れていることではなく、教えてもらった際の取り組む姿勢まで遡って、「ほらな、やっぱりあの時理解してなかったんやないか〜!」と、【教えた自分の労力が無にされた】とイラッとしてしまっていることが大半です。 なぜなら(あなたに普通の人間の感情があれば)相手がものすごく真剣に理解しようとして、一生懸命取り組んで、それでもできないのだったら、それはもう「経験が足りないね」とか「続けたらできるよ」とか「私も昔そうだった」とか、前向きな声かけをしたくなるはずですからね。 教えたのにできない理由 全6パターン ということで、まずは教えたのにできない理由を明らかにしていきます。 私が出会ってきた「あれ?教えたのにできてないの?」の全6種類のパターン。 おおよそのできない理由を網羅しているはずです。 こちらで冷静に「現象」を把握していきましょう。 1.教えてもらったこと自体を忘れている 状態:できない 「あれ?前に教えたよね?」の回答 →「あれ?習いましたっけ?」 解説 これはむしろ清々しいですね。 その時間全ての存在を忘れてしまっているわけですからね。 教えた上司の名前を覚えているかも怪しいですね。 ただし、教えてからあまりにも時間が経過するとあり得る状況です。 2.教えてもらったことは覚えてるけど内容を忘れている 状態:できない 「あれ?前に教えたよね?」の回答 →「あれ?どうやってやるんでしたっけ?」 解説 これは意外と多いパターンだと思います。 ただただ、記憶定着していないので繰り返して教えるしかありません。 やってみせ言って聞かせてやらせてみて、誉めてやらねば人は動かじ。 という山本五十六先生の教え通りに根気よく伝えましょう。 3.間違って覚えている 状態:正しくできない 「あれ?前に教えたよね?」の回答 →「あれ?違いましたっけ?」 解説 これは腹立たしいパターンですよね。いい感じで淀みなくやってるな。と思ったら全然違う結果になってるやつです。この状態で顧客とのやり取りをしていると非常に危険な状態と言えます。 4.おぼろげに覚えていて間違える 状態:正しくできない 「あれ?前に教えたよね?」の回答 →「あれ?何か違ってました?」 解説 これもまたちょっとリカバリーが大変なやつです。本人の中で8割ぐらいは自信があるわけですからね。だから指摘しても「あ、それか〜」など、実際はまあまあ違うのに、さも一部分であるかのように取り繕い、反省の弁が全く聞こえてこないパターンとも言えます。 5.正しく覚えているのにその通りやらない 状態:正しくできない 「あれ?前に教えたよね?」の回答 →「あれ?ちゃんとやったのになんでだろ?」 解説 これもまた、軌道修正が大変なパターンです。謎の自信がマニュアルを無視したり、オリジナリティを生み出したりします。パソコンを疑う前に自分を疑え!相手を疑う前に自分を疑え!と言いたくなります。 ⒍覚えてないし、できないのに「できる」と言ってしまう 状態:調べるけど結局できない 「あれ?前に教えたよね?」の回答 →「あれ?できると思ったんですけど」 解説 できないと言えない、弱いところを見せられない自分の問題だったり、その発言を許容しない周りの環境だったり。色々理由はあるけれど、Google先生がなんでも解決策を知っていると、盲信してしまっていると陥りがちな状況。 解決策はあるのか? イラッとしてしまう本質的な理由は相手が忘れるのではなくて、真摯に取り組んでいるか?という姿勢に対して。 そして、教えたのにできない全パターンも明らかになりました。 さあ、いよいよ抜本的解決です。 本当にそんな解決策はあるのか?とどれだけ調べても勉強しても考察しても最後に残るのは 根気 これしかありません。 どれだけ褒めようが叱責しようが、ご褒美や罰を作ろうが、本人がその気にならない限り変わりません。 どれだけわかりやすい手順書、マニュアルを作っても本人が見なければその通りにはいきません。 あらゆる、精神的、物理的アプローチを凌駕するのが根気なのです。 教育とはよく言ったもので。 教える+育む でできています。 私たちはつい、教える=できる。と思っていますし、信じています。 しかし、覚えて実行する。というのは実はなかなか難しいことをやっているのです。 繰り返しになりますが、できていて教える側には、習慣的なものであっても、初めての人には難しい可能性があるのです。 だからこそ、教えたのちに【育む】という期間を持つ必要があります。 育む期間は不安定な状態です。 つまり、この期間に質問したり確認したりうまくできなかったり、というのは想定内として指導していくのです。 うまくできない期間がある。 教える側がこのように認識することで、精神衛生上も良い環境で指導することが可能になります。 今、当たり前にできている自分にも、 うまくできなかった時期はなかっただろうか? そんな自問自答をすると、少しだけ優しく見守ることができるかもしれません。 まとめ 教えたのにできない。 は決して相手に何かが欠如しているだけとは限りません。 こんな考察ができたのも、恥ずかしながら時には私自身もイラっとしてしまうこともあるからです。 気づき、行動を変えていくしかありません。 私たちワンネス経営チームがサポートに入る際、大切にしている原理原則があります。 それは、私が変わるとチームが変わる。という言葉です。 この原則を真ん中に置いて、まずは自分に変えられることはないか?と考えてみることが大切です。 教育や指導の目的は、相手のできない部分を突きつけてあなたが勝利していい気分になることではありません。 より高い成果を出すことです。 感情的な対応ではなく、共に大きな成果を出すために、厳しくとも心は穏やかに、教え育んでいきましょう。 良い事知ったで終わらないために 継続するには、まず忘れない事が大切です。 なぜなら正しく覚えていないと使う事ができないからです。 その証拠に、わたしたちが九九を使って便利な生活が送れているのは、九九を正しく覚えているからです。 日々思い出すために、定期的に情報を受け取る事が効果的です。 是非ワンネス経営®︎公式ラインにご登録ください! 事務局:スズキヒラク ワンネス経営®︎公式LINEを追加!
2023.05.23
【価値協創ガイダンス】知っておきたい6つのフレームワーク
チームづくり「価値協創ガイダンス」は、企業と投資家をつなぐ「共通言語」として情報開示や対話の質を高めるため、さまざまな情報を体系的かつ統合的に整理するのに活用できる手引です。 2022年8月には、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けた経営の強化と、効果的な情報開示や建設的・実質的な対話を行うためのフレームワークとして、「価値協創ガイダンス2.0」に改訂されています。 自社の経営強化のために価値協創ガイダンスの活用を検討している場合、この中で取り上げられているフレームワークについて具体的に把握しておくことが重要です。 そこで今回は、価値協創ガイダンスの6つのフレームワークについて詳しく解説します。 これから積極的に価値協創ガイダンスに取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。 価値協創ガイダンスのフレームワークとは 「価値協創ガイダンス」では、どのように無形資産の投資やESGの取組が企業の競争優位性を持続的に向上させられるか、といった「価値創造ストーリー」を説明するため、次の6つのフレームワークを提示しています。 価値観 長期戦略 実行戦略(中期経営戦略など) 成果と重要な成果指標(パフォーマンスとKPI) ガバナンス 実質的な対話・エンゲージメント 参考:「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス 2.0(価値協創ガイダンス 2.0)」|経済産業省 それぞれ解説します。 1.価値観 「価値観」は、社会の課題解決に対して企業や社員一人ひとりが取るべき行動の判断軸、また判断の拠り所となるものです。 ここでは、企業は自社固有の価値観を示すとともに、どのような社会課題を「重要課題」として捉えるのかを検討することが重要とされています。 課題を検討し、価値観を対外的に示すことによって、企業は変化の激しい社会の中で従業員エンゲージメントの向上や長期的な価値創造につなげられます。 また、長期的な視野に立つ投資家にとっては、企業の価値観を知ることでビジネスモデルの実現可能性を判断できるようになるのです。 2.長期戦略 「長期戦略」は、企業の価値観に基づき、社会全体の動向を見定める長期ビジョンの策定や、その実現の柱となるビジネスモデルの構築・変革、リスクと機会の分析などを統合的に行うことによって構築できます。 ここでのポイントは、企業は、産業構造や事業環境の変化に対応した長期的・持続的な価値創造のあり方を示すべき、とされている点です。 そのためには、企業が目指す長期ビジョンやビジネスモデルからなる長期戦略を、リスクと機会の把握・分析をした上で統合的に構築することが推奨されています。 また、この場合の長期ビジョンは、価値観・重要課題と合わせ、自社で働く一人ひとりの目標ともなる内容が望まれます。 3.実行戦略(中期経営戦略など) 「実行戦略(中期経営戦略など)」は、長期戦略を実現するため、企業が持っている経営資源やステークホルダーとの関係を維持・強化しながら取り組む足下および中長期的戦略を指します。 企業には、足下の経営成績の分析・評価や長期的なリスクなどの分析を踏まえつつ、長期戦略の具体化に向けた戦略策定と実行が求められます。 ただし、ここでの戦略には、経営戦略だけではなく、人材戦略や知的財産・技術(知的資本)、研究開発、DX推進に対する投資戦略、ブランド戦略なども含まれ、実行戦略の中にESGやSDGsなどを組み込んで明確に提示していく点も重視されています。 4.成果と重要な成果指標(パフォーマンスとKPI) 「成果(パフォーマンス)と重要な成果指標(KPI)」は、企業の価値観を踏まえた戦略の実行により、どれだけ価値を創出してきたか、それを経営者がどのように分析・評価しているかを表す指標です。 企業は、KPIによる長期戦略などの進捗管理や成果評価を通じて、長期戦略などの精緻化や高度化、そして必要に応じた見直しを行うことが重要です。 投資家に対しては、KPIを設定した理由や長期戦略・実行戦略における位置づけ、今後の見通しなどを詳しく説明することが望ましいとされています。 5.ガバナンス 「ガバナンス」は、長期戦略・実行戦略の策定などを的確に行い、持続的に企業価値を向上させるための規律付けの仕組み・機能です。 そのため、企業には、長期戦略などの企業行動を規律するガバナンスを実効的かつ持続可能なものにするよう、しっかり整備することが求められます。 例えば、社長やCEOを始めとする各役員が持つ役割・機能分担を明確に公表し、それぞれ実効的に果たすことなどが挙げられます。 加えて近年においては、属性や能力などの多様性の確保、透明性・合理性の高い意思決定を行う仕組み作りが重視される場合も多いです。 投資家にとっては、ガバナンスの状況を確認することで、企業を信頼し安心して投資を行う根拠が得られます。 6.実質的な対話・エンゲージメント 「実質的な対話・エンゲージメント」は、企業の「価値創造ストーリー」について企業と投資家が双方向的に対話を行い、その内容を磨き上げていく共同作業です。 ここでは、企業と投資家は、実質的な対話を深めながら、長期的かつ持続的な企業価値を協同で作り上げていくことが重要だとされています。 具体的な行動として、企業側には投資家に対する実効的な情報の開示を、投資家側にはその情報をもとにした対話のアジェンダ設定が求められます。 また、対話後に企業が行うべきアクションとして、得られた示唆をもとに、自社の企業価値構成要素を見直し、必要に応じてそれらの改善に向けた取り組みの実施が挙げられます。 企業が取り組みの進捗状況や成果を公表し、投資家のさらなる助言や意見を求め、今後に反映させることで、価値創造ストーリーの一層の強化・発展につながるのです。 まとめ 経済産業省が作成した「価値協創ガイダンス」は、企業と投資家をつなぐ共通言語として情報開示や対話の質を高める手引です。 今回紹介した6つのフレームワークを把握しておくことで、価値協創ガイダンスについてより深く理解できるはずです。 投資家との関係を向上させるためにも、価値協創ガイダンスを積極的に取り入れて活用することをおすすめします。
ワンネス経営®プログラムは、インナーブランディング強化というアプローチを通して、 お客様企業が求める成果を達成していくという「新しいチームビルディングのプログラム」です。 イメージが持ちづらい点があるかもしれませんが、どうぞお気軽にご質問、ご相談ください。