メンター制度とは?背景や目的、メリット・デメリットについて解説

「メンター制度」は、主に若手社員に向けて精神面をサポートする制度です。

人材の育成はもちろん、離職を防ぎ、定着率の向上にもつながるため、現在多くの企業で広まりを見せています。

ただし、メンター制度の導入を考える場合、自社に適しているのかわからないという方も多いかもしれません。

メンター制度の概要やメリット・デメリットなどを知っておくことで見極めやすくなり、導入の検討がスムーズに進みます。

そこで今回の記事では、メンター制度が注目される背景や目的、また混同されやすいOJT制度との違いやメリット・デメリットについて紹介します。

メンター制度とは

「メンター制度」は、先輩社員が新入社員を中心とした部下や後輩、同僚などの不安や心の悩みを解消し、精神的な支援を行う人材育成制度です。

業務やビジネススキルだけでなく、仕事観や生き方まで全人格的にサポートすることが特徴です。

支援する側を「メンター(mentor)」、支援される側を「メンティ(mentee)」と呼び、一般的にメンターは、メンティと年齢の近い入社3〜5年目の社員が担当します。

メンターがメンティを支援することを「メンタリング」と言い、若手社員の定着率向上などさまざまな効果が期待できます。

メンター制度が注目される背景

メンター制度が注目されている背景として、近年問題になっている「若手社員の離職率の高さ」が挙げられます。

入社3年以内に離職する原因の多くが、職場環境や仕事への不適応です。

それには、時代とともに変化した組織風土が関係しています。

先輩・後輩の関係が築きやすかった終身雇用・年功序列制度から、実力主義・多様化の組織体制に移行したことで、若手社員が孤立しやすくなったと言えます。

従来日本の企業が持っていた、先輩が後輩を指導するという組織風土を新たに創出することがメンター制度の狙いの一つなのです。

メンター制度の目的

メンター制度の主な目的は、若手社員が抱える不安や悩みを解消して孤立化を防ぎ、最終的に離職率を低下させることです。

また、自主性を大切にしながらビジネスパーソンとしての基礎知識を教えることで、自律を促す目的もあります。

加えて、メンターに育てられた若手社員はその後、同様のメンターになり、やり方が継承されていくため、人材の育成と生産性向上といった面からも重要です。

OJT制度との違い

メンター制度と似ている制度として「OJT制度」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

「OJT(On-the-Job Training)」は、企業が若手社員に行う教育方法の一つです。

研修としてよく利用されており、上司や先輩などのOJT担当者がスキルや知識を実際の業務を通して指導します。

一方、メンター制度では、実務に必要なスキル・知識を教えるだけでなく、メンタル面のサポートも行います。

メンティを全体的に支援するという点がOJTとの違いです。

また、OJT制度では基本的に同じ部署の上司・先輩が教えますが、メンター制度では別の部署の先輩社員が担当します。

メンター制度のメリット

メンター制度にはさまざまなメリットがあります。

主なメリットとして挙げられるのは下記の4つです。

  • 若手社員の不安解消
  • メンター自身の成長
  • 組織の活性化
  • 離職の防止

それぞれ解説します。

若手社員の不安解消

入社したての時期は職場の環境や人間関係に慣れないため、不安や孤独を感じがちです。

メンター制度を導入することで気軽に話せる先輩が存在し、職場になじむことが容易になります

また、不安が取り除かれれば、仕事に対する意欲が向上するといったメリットもあります。

メンター自身の成長

人に教えることで、メンター自身の成長にもつながります

メンティの悩みを聞いて適切に支援するには、傾聴力や共感力、コミュニケーション力といったさまざまなスキルの向上が不可欠です。

さらに、先輩社員としての自覚が生まれて責任感が強まり、仕事への向き合い方が積極的になります。

組織の活性化

組織の活性化に役立つ点も、メンター制度のメリットです。

他部署の先輩後輩同士で交流を行うため、社内の風通しが良くなるのはもちろん、社員全員が「若手社員の育成」という目的を共有できます。

コミュニケーションが活発になり、生産性の向上にもつながります。

離職の防止

メンター制度では、メンターとメンティの間で信頼関係が築けるため、自社に対する「愛社精神」が高まります。

加えて、他部署のことを知る機会にもなり、自社への理解も深まるものです。

メンター制度は、社員の離職を防ぐという大きなメリットをもたらします

メンター制度のデメリット

メリットが多い一方、デメリットもあります。

考えられるデメリットは、次の2つです。

  • メンターの負担
  • 相性の問題

それぞれ説明します。

メンターの負担

メンターを担う先輩社員は、普段の業務に加えて後輩のフォローを行う必要があります。

そのため、個人にかかる負担が大きくなりがちです。

周囲がしっかりサポートする、評価基準に取り入れてメンターの評価を高くするといった工夫が大切になります。

相性の問題

メンター制度は、メンターとメンティの関係が良好でなければ成立しない制度です。

2人の相性が悪いとお互いにストレスを抱えてしまい、逆効果になりかねません。

あらかじめ相性を検討した上で開始し、場合によっては早めにメンターを変更するなどの仕組みを作っておくことが重要です。

まとめ

メンター制度は、若手社員の離職率の高さを背景として注目されている人事育成制度です。

先輩社員がメンターとして若手社員の精神的なサポートを行うことで良好な社内環境を生み出し、孤立化を防いだり自律を促進したりする効果があります。

メリットが多い一方、デメリットもあるため、導入の際は確認しておくことが重要です。

ぜひ、今回の記事を参考にしながら検討してみてください。

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