変化が激しい近年のビジネス環境において、会社の今後を託せるような「経営幹部」を育成することが重要課題となっています。
経営幹部の育成を検討する場合、気をつけることやどのような人材を選ぶべきかについて知りたいという方も多いのではないでしょうか。
また、スムーズに進めるには、経営幹部育成に関する概要をあらかじめ把握しておくことが重要です。
そこで今回は、経営幹部候補となる次世代リーダーを育成する理由や考えられる課題、経営幹部に必要なスキルなどを詳しく解説します。
経営幹部を育成するべき理由
経営幹部育成とは一般的に、会社の将来を支える経営人材を早いうちから計画的に育成する取り組みのことを指します。
それでは、経営幹部を育成するべき理由としてはどのようなものがあるのでしょうか。
主な理由として挙げられるのは下記の3つです。
- ビジネス環境の急激な変化
- 後継者の不足
- 意思決定・実行の必要性
それぞれ解説していきます。
ビジネス環境の急激な変化
近年、ビジネス周辺の環境は急激に変化しており、「VUCA」(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代と言われています。
このような時代の中、経営に関するさまざまな判断を経営者1人で行うことは非常に困難です。
よって、経営者の判断をサポートする役割として、経験や知識をもとにした適切な意見を伝えられる経営幹部の存在が欠かせないと言えます。
また、環境の変化に適応するには、これまでの踏襲から脱却することが重要です。
経営者視点を持ちながら変革を牽引できる経営幹部を育成し、会社のさらなる成長につなげる必要があります。
後継者の不足
会社の後継者がいないことも、経営幹部を育成する理由の一つです。
帝国データバンクが自社データベースをもとに行った後継者の決定状況と事業承継動向についての分析によると、2022年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%となり、5年連続で不在率が低下しています。
また、調査を開始した2011年以降、後継者不在率は初めて60%を下回ったとのことです。
このような結果からも後継者不足は深刻であり、後継者となる経営幹部の育成は急務だと言えます。
参考:全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)|景気・経済動向調査:帝国データバンク
意思決定・実行の必要性
会社経営の意思決定の際は、経営幹部からのさまざまな意見を取り入れることで成功に近づきます。
また、決定したことの実行は、経営幹部が先頭に立って担うケースがほとんどです。
そのため、意思決定とその実行の必要性も、経営幹部を育成するために重要な要素になります。
経営幹部を育成する際の課題
経営幹部を育成する場合、次のような課題が出てくるケースが多いです。
- 育成研修の効果がない
- プレイヤーになってしまう
- マネジメントのみ行ってしまう
それぞれについて説明します。
育成研修の効果がない
経営幹部を育成するために研修を実施しても、知識が身についたり意識が高まったりしただけ、という結果では意味がありません。
研修では経営幹部としての意識や行動の変化を促すことが大切です。
終了後には継続的にPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回す必要があります。
プレイヤーになってしまう
経営幹部として期待される社員のほとんどは、現場において功績や結果を出した優秀な人材です。
自身の成功体験をもとにした部下育成を行う傾向があるため、似ているタイプの社員の成長にはつながりますが、それ以外の社員の育成がうまくいかない可能性も高まります。
任せるべき仕事が任せられなくなることで自分がプレイヤーとして動かざるを得なくなってしまい、経営幹部として存分に働けないという状況に陥りやすくなるのです。
マネジメントのみ行ってしまう
経営幹部が現場のマネジメントに集中しすぎることで、経営側の意志や目的が現場に伝わらないという点も課題の一つです。
この場合、現場のマネジメントは成功しているものの、経営と現場をつなげる幹部としての役割が果たせなくなっていると言えます。
現場だけでなく、経営の立場からも考えられる経営幹部を育成しなくてはいけません。
経営幹部に求められるスキルとは
それでは、経営幹部に必要とされるスキルにはどのようなものがあるでしょうか。
主なものとして下記の3つがあります。
- ビジョンを設定するスキル
- 幅広い管理スキル
- 人間力を発揮するスキル
それぞれについて説明します。
ビジョンを設定するスキル
ビジョンを掲げるスキルは、経営や事業をするために大変重要な力です。
近年では、自社の強みだけでなく、SDGsなど世界の課題やニーズを考慮した上で社会に貢献できる方向性も見つけ出す必要があります。
正解が見えない中でも成果を出す次世代リーダーを生み出すことが大切です。
幅広い管理スキル
経営幹部には、目標に沿って人材や業務の配置・評価などを行う管理スキルが欠かせません。
また、本質的な課題を把握しながら、労務・財務なども幅広く管理する力が必要です。
このような管理スキルを活用することで、会社のパフォーマンスや競争力が向上します。
人間力を発揮するスキル
経営幹部には、人を引きつける力が必要となり、その姿勢は会社に反映されるものです。
そのため、経営幹部は経営に関する専門的な知識はもちろん、総合的な人間力を発揮することが重要になります。
具体的には、高い倫理観や確固とした判断軸、柔軟な社会性などが挙げられ、身につけるには一般教養や経営学の習得が効果的です。
まとめ
ビジネス環境の変化や後継者不在といった理由により、今や会社にとって経営幹部の育成は必要不可欠です。
経営幹部育成に関しては、考えられる課題や必要なスキルを把握しておくことで検討がスムーズに進みます。
ぜひ、今回の記事を参考にして、経営幹部となるべき次世代リーダーの育成を図っていきましょう。