2023.05.30
チームづくり
価値協創ガイダンスは、投資家との良好な関係や自社の経営のあり方を整理するのに有効な手引です。
ただし、価値協創ガイダンスの活用を検討している場合、具体的にどのように導入すればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
今回は、あらためて価値協創ガイダンスについて解説し、3つの企業事例を紹介します。
「価値協創ガイダンス」は、企業と投資家をつなぐ「共通言語」として位置付けられており、情報開示や投資家との対話の質を高めるために活用できる手引です。
2017年に公表された「価値協創ガイダンス」は、2022年8月に「価値協創ガイダンス2.0」として改訂され、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX) の意義が明示されています。
価値協創ガイダンスをもとに、企業は、統合思考に基づいた経営理念やビジネスモデル、戦略、ガバナンスなどを一連の「価値創造ストーリー」として投資家に伝え、投資家は中長期的な観点から企業を評価し、投資判断などに役立てることが可能です。
飲料メーカーのキリンホールディングス株式会社は、グループ会社も含め、2019年からスタートした長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(KV2027)」において、『食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる』ことをめざしています。
キリンでは、双方向のコミュニケーションを大変重要なものと考えており、投資家との対話のきっかけとなり、相互理解が深まることを目標に、「統合レポート」を毎年作成しています。
統合レポートでは、「価値協創ガイダンス」を参考とし、価値創造モデル図や無形資産の強化など、価値創造の流れの全体像が伝わるよう体系的なストーリーづくりを心がけている点が特徴です。
Webにも掲載されているため、誰でも見られるようになっており、経営陣からのメッセージやコーポレートガバナンスなどに加え、「Input」「Business」「Output」「Outcome」の4つの価値創造モデルについてもわかりやすく書かれています。
CSV経営を根幹に据え、事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいるキリンを理解する一助として、この統合レポートの活用が推奨されています。
多くの不動産を手掛ける東急不動産ホールディングス株式会社では、社会課題と向き合いながら独自性のあるビジネスモデルを創造し、ステークホルダーにさまざまな価値を提供することで、サステナブルな社会づくりと成長をめざしています。
そのため、2030年代の社会変化を見据えて「個人」「社会」「環境」それぞれの実現したい姿を抽出した長期ビジョン、「GROUP VISION 2030」を策定しました。
また、ありたい姿を実現するため、事業活動を通じて「多彩なライフスタイルをつくる」「ウェルビーイングな街と暮らしをつくる」「サステナブルな環境をつくる」「デジタル時代の価値をつくる」「多様な人財が活きる組織風土をつくる」「成長を加速するガバナンスをつくる」という価値創造への6つのテーマ(マテリアリティ)に取り組んでいます。
これらを中心に、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組む東急不動産の強みと独自性を解説したのが「統合報告書」です。
統合報告書はWebでもPDFのダウンロードができ、誰でも「価値を創造し続ける企業グループ」をめざす東急不動産の価値創造ストーリーについて理解することができます。
参考:価値創造ストーリー|2022統合報告書|東急不動産ホールディングス
横河電機株式会社は、YOKOGAWAグループ会社とともに、計測・制御・情報の技術を軸に最先端の製品やソリューションを提供し、豊かな人間社会の実現に貢献している企業です。
横河電機では、「YOKOGAWAレポート」と名付けた統合報告書を毎年作成しており、ステークホルダーに向けた情報発信に努めています。
YOKOGAWAレポートでは、持続的な成長ストーリーの大局観(トップメッセージ)をはじめ、価値創造プロセスやコーポレート成長戦略、経営資本、事業戦略、コーポレートガバナンス、リスクマネジメント/内部統制についてまで詳細に掲載されており、さまざまな面からの理解が可能です。
YOKOGAWAレポートは社外からも高い評価を得ており、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内株式運用委託先機関が選定した2022年度の「優れた統合報告書」に選定されています。
また、2017年度~2019年度、2021年度、2022年度にも選定されているほか、2017年度~2018年度、2021年度には、「改善度が高い統合報告書」にも選定されました。
価値協創ガイダンスを活用する場合、経営理念やビジネスモデル、戦略、ガバナンスなどを価値創造ストーリーとしてまとめ、報告書・レポートとして毎年公表する方法が一般的です。
今回紹介したのは大企業の事例ですが、どのような企業でも参考にしやすいはずです。
ぜひ、自社においても価値協創ガイダンスの活用を検討してみましょう。
この記事を書いた人
泉水 ちか
東京都在住のWEBライター。フリーランスで様々なジャンルのライティングをこなす。人のこころに興味があり、心理学・カウンセリングの資格を多数取得。マーケティングにも活かすべく奮闘中。趣味は映画鑑賞(ホラーやアクション!)と温泉・銭湯めぐり。長年、放送業界にいたため音楽に詳しい。運動嫌いのインドア派だが夏フェスは好き。ラーメンと寿司と焼肉があれば大丈夫。
2024.02.27
「フォロワーシップ」の5分類とは?それぞれのタイプを詳しく解説
チームづくりフォロワーシップは、メンバー一人ひとりが主体的に考え行動することを意味します。 一般的に5つに分類されると言われており、本記事ではそれぞれのタイプについて紹介します。 フォロワーシップのおさらい フォロワーシップとは、リーダーからの指示に従うだけでなく、メンバー一人ひとりが自律的かつ主体的に考え、積極的に行動することです。 目標達成に貢献する能動的な姿勢は、組織の効率性と生産性を高め、成果を出しやすくします。 そのため、主体性のある社員を増やし、組織の成長につなげるには、フォロワーシップの考え方が欠かせないと言えます。 フォロワーシップの5分類 フォロワーシップには主に5つのタイプがあり、特徴について理解しておくことが重要です。 フォロワーシップの5分類は、次の通りです。 模範型フォロワー 孤立型フォロワー 順応型フォロワー 消極的フォロワー 実務型フォロワー それぞれの特徴を解説します。 模範型フォロワー 「模範型フォロワー」は、リーダーの「右腕」とも言われ、いわゆる模範的かつ理想的なフォロワーです。 深い思考能力や組織への高い関与度を持ち合わせているのが特徴で、リーダーのビジョンに賛同し、目標達成のために積極的に行動する傾向があります。 また、必要に応じて建設的なフィードバックや提案を行い、組織の成長に貢献します。 プレイヤーとしてだけでなく、場合によっては他のメンバーに働きかけたりまとめたりすることも多いです。 孤立型フォロワー 「孤立型フォロワー」は、組織の中でも評論家のような位置付けのフォロワーです。 意見を述べたり、批判したりすることには積極的ですが、組織への貢献は限定的で、目標達成のための行動はしにくい傾向にあります。 そのため、非協力的でチームワークには向いていない、または組織の秩序を乱す存在と見なされる場合が多いです。 このタイプは提案力の高さが特徴なので、組織への貢献の必要性を理解してもらうことで、模範型フォロワーに変わる可能性があります。 順応型フォロワー 「順応型フォロワー」は、もっとも協力的で従順なタイプのフォロワーです。 素直な性格で、リーダーの指示に忠実に従い、与えられたタスクを確実にこなしますが、状況を自ら評価し、改善策を提案することは少ないです。 批判的思考が低く、リーダーの方向性や指示が間違っていても意見を出さないため、単なる「イエスマン」と見なされがちです。 また、リーダーから具体的な指示がなければ動かない「指示待ち人間」の傾向が高いタイプでもあります。 消極的フォロワー 「消極的フォロワー」は、組織への貢献度も批判的思考能力も低いタイプのフォロワーです。 最小限の努力で仕事をこなすため、極端なマイナス評価を受けることは少ないものの、リーダーや組織の目標に対してあまり関心を示しません。 このタイプのフォロワーは、主体性も積極性も低く、目立たないのが特徴です。 組織や業務への不満から消極的になっている可能性があることから、しっかり原因を聞き出して改善する必要があります。 実務型フォロワー 「実務型フォロワー」は、タスクの遂行に優れており、中立的な立場をとることが多いフォロワーです。 組織への貢献度は比較的高いものの、大局的なビジョンや目標達成にはそれほど関心がなく、チャレンジ精神に乏しいタイプと言えます。 指示された仕事を効率的にこなし、日々の業務でチームを支えますが、変革や革新の主体となることは少ないです。 高めの目標を設定すれば、本来の能力を発揮するきっかけになるかもしれません。 まとめ フォロワーシップのフォロワーは大きく5つのタイプに分けられます。 一般的な解釈としてメンバーの特徴を知るきっかけとなれば幸いです。 ワンネス経営的リーダーシップについては下記で詳しく解説しています。 ぜひこちらもご覧ください。 https://flapsplan.co.jp/blog0081/
2025.07.02
「レディネス」とは?意味や注目される背景、取り入れるメリットについて解説
チームづくり現代のビジネス環境において、人材育成の効果を最大化するために注目されているのが「レディネス」という概念です。 多くの企業が研修や教育に注力しているにもかかわらず、期待した成果が得られないという課題を抱えています。 その原因の一つが、受講者のレディネスが十分に形成されていないことにあります。 今回の記事では、レディネスの意味から、なぜ現在注目されているのか、そして企業が取り入れることで得られる具体的なメリットまで解説します。 ぜひ、参考にしてみてください。 レディネスの意味 レディネス(Readiness)とは、心理学用語で学習を効果的に行うために必要な「準備が整った状態」を指します。 具体的には、新しい学習の前提となる知識や経験、そして学習に向かう心身の準備性が備わっていることを意味し、この状態が整っていなければ新しい内容を習得することは困難になります。 身近な例として、子どもが文字を書けるようになるには、まず話し言葉が十分に発達していることが必要です。 この場合、話し言葉の能力が書き言葉を学ぶためのレディネスとなります。 レディネスが備わっている学習者は積極的に学習を進められる一方、不足している場合は学習効果を上げることが困難とされています。 この概念の重要性は、アメリカの心理学者ゲゼルの一卵性双生児を用いた階段登り実験で実証されました。 早期から訓練した双子より、適切な時期から始めた双子の方が短時間で習得できたという結果は、早期教育よりもレディネス形成の重要性を示しています。 ビジネス研修においても、事前学習の提供やオリエンテーションでの目的説明など、受講者のレディネス作りが重要な取り組みとして行われています。 レディネスが注目される背景 現代の教育現場やビジネス環境でレディネスへの関心が高まっている背景には、次のようなものが挙げられます。 基礎的な能力の必要性 人材の定着率改善 変化する社会への対応力強化 それぞれ解説します。 基礎的な能力の必要性 社会人には、職場や地域で多様な人々と協働するための基礎的な能力が求められています。 経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」では、この能力を「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの要素で構成しています。 基礎力の重要性はますます増大しており、個人が自らのキャリアを主体的に築いていくためには、継続的な自己振り返りを通じてレディネスを形成していくことが必要です。 人材の定着率改善 早期離職増加の背景には、長期的で安定した雇用システムが整備されていない業界の存在が指摘されています。 従業員が企業内の変化に適応できない状況が続くと、仕事に対するレディネスが低下し、結果として早期離職のリスクが高まります。 転職が一般化した現代の労働市場において、優秀な人材の流出を防ぐためには、従業員一人ひとりのレディネスを継続的に高める取り組みが重要です。 変化する社会への対応力強化 経済社会の活性化と産業競争力の向上には、既存の枠組みにとらわれない革新的なアイデアやビジネスモデルを生み出せる「競争力人材」の確保が必要です。 このような人材を育成・活用するためには、現在の社会情勢の変化を正確に把握し、一人ひとりのレディネスの状況に応じて適切な関係性を構築しなければいけません。 レディネスを取り入れるメリット レディネスを取り入れるメリットとして挙げられるのは、主に次の3点です。 優秀な人材の定着促進 労働生産性の大幅改善 企業ブランド価値の向上 それぞれ解説します。 優秀な人材の定着促進 効果的な研修プログラムを通じたレディネス向上で、従業員の離職を大幅に減少させることが可能です。 特に若手従業員の早期退職は多くの企業が直面している深刻な問題であり、持続可能な人材定着策の構築が急務となっています。 業務に必要な基礎知識や経験を習得できる環境を整備することで、レディネスが従業員の内的なモチベーション向上の原動力となり、結果的に長期的な雇用関係の構築につながります。 労働生産性の大幅改善 企業の経営資源である「人材」「設備」「資金」の中でも、IT技術の進歩とともに「人材」の価値がより一層重要視されています。 従来は入社時点での個人の能力や資質が生産性向上の主要因と考えられていました。 しかし現在では、体系的な人材育成を受けた後の従業員の成長と発展こそが、全体の生産性向上に決定的な影響を与えると認識されています。 企業ブランド価値の向上 これまで中小企業には、厳しい労働環境を連想させる否定的なイメージが存在していました。 高度な専門知識や技術力が要求される業務であっても、低賃金や過重労働といった先入観が人材採用の障壁となっていたのです。 しかし、人材育成に積極的に投資し、従業員のレディネス形成を組織的に支援する取り組みを継続することで、優秀な人材を獲得しやすくなります。 さらに業界内外における企業の評判と信頼性も大幅に向上させることが可能です。 まとめ レディネスは、企業の人材育成における重要な概念の一つです。 学習者の「準備状態」を整えることで、教育投資の効果を劇的に向上させることができます。 人材の定着率向上、生産性の改善、企業ブランド価値の向上という3つのメリットは、多くの企業が直面している課題解決につながります。 ぜひ、レディネスの重要性を理解し、人材育成に取り込むことを検討してみてはいかがでしょうか。
2024.01.23
アシミレーションを実施する際に意識しておきたい点とは?5つのポイントを解説
チームづくりアシミレーションは、上司と部下のスムーズな相互関係が期待できる手法です。 アシミレーションを検討する場合、「アシミレーションの実施ポイントは何だろうか」「実施する上で意識しておくとよいことを知りたい」という方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、アシミレーションを実施する際に気をつけるべきポイントを、実施前と実施中に分けて解説します。 ぜひ、参考にしてみてください。 実施前に押さえておくべきポイント アシミレーションの実施前に押さえておくべきポイントは、次の3つです。 実施の検討を十分に行う タイミングを図って実施する ファシリテーターに適した人を選ぶ それぞれ解説します。 実施の検討を十分に行う 部下が上司に対して率直に意見を伝えるアシミレーションは、割り切った社風の企業や外資系企業で高い効果が見込めます。 一方、他のタイプの企業では、導入に際して十分な検討を行う必要があります。 特に、ふだんから仲の良いアットホームな企業では、実施することで雰囲気が悪くなる恐れがあるため、注意が必要です。 タイミングを図って実施する アシミレーションは、適切なタイミングで行うことが重要です。 実施する適切なタイミングとして、チームの新設時やリーダーの変更時、チームの活性化が必要な時、企業のビジョンを浸透させたい時などがあります。 これらのタイミングでは変化や問題が起こりがちなため、これらに対処するためにアシミレーションが役立ちます。 また、アシミレーションをチームの新設時に実施する際は、一定の期間が経過してから行うことが重要です。 チームが新設されたばかりではメンバー間の関係が十分に築かれておらず、有効な意見が集まらない可能性があるからです。 一定の期間が経過すると、チーム内でのメンバーの役割や業務内容に対する理解が深まるため、その時点での問題点に対してアシミレーションを実施すると効果的です。 ファシリテーターに適した人を選ぶ アシミレーションに欠かせない重要な役割を持つのが、ファシリテーターです。 ファシリテーターの役割にふさわしい人は、チーム内で中立の立場を保ち、部下の真意を引き出すための質問技術を持っている必要があります。 また、部下からの意見を聞き出すだけでなく、上司に対して助言を提供するアドバイザーとしての能力も求められます。 適切なファシリテーターを選ぶことは、アシミレーションが成功するかどうかを左右するため、その選定は非常に重要です。 実施中に注意すべきポイント 実施中に注意すべきポイントは、下記の2つです。 建設的な意見交換を行う 部下の意見は匿名にする それぞれ解説します。 建設的な意見交換を行う アシミレーションを行う際、目的を理解せずに単なる上司への不満や愚痴の場になってしまうことがあります。 部下が上司に対して不満を持っている場合、アシミレーションでその不満が表面化することは避けられないかもしれません。 ファシリテーターは、愚痴を聞くだけでなく、「なぜ不満を感じているのか」「どのように改善されたいのか」「実際にどんな行動を取ったか」といった具体的な情報を引き出す必要があります。 また、ポジティブな意見や期待も同様に集めることが大切です。 ファシリテーターにはあらゆる面で舵取りが求められますが、参加メンバーも目的を意識して建設的な意見交換を行うことが重要です。 部下の意見は匿名にする 部下の意見を上司に伝える際は、匿名性を保つ必要があります。 意見を述べた人物を上司が知ることで、業務やメンバー間の関係に悪影響を及ぼす可能性があるためです。 部下が自分の本当の考えを率直に言えるかどうかは、この匿名性の維持に大きく依存します。 ネガティブな意見も安心して表現できる環境を作り上げることが、ファシリテーターにとって重要な役割となります。 まとめ 今回はアシミレーションを実施する際のポイントと注意点を紹介しました。 アシミレーションを実施する前は、実施の検討を十分に行う、タイミングを図って実施する、ファシリテーターに適した人を選ぶ、といった点を意識しておくとよいです。 また、実施中は、建設的な意見交換を行う、部下の意見は匿名にすることなどに注意しておく必要があるでしょう。 アシミレーションを取り入れる際は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
ワンネス経営®プログラムは、インナーブランディング強化というアプローチを通して、 お客様企業が求める成果を達成していくという「新しいチームビルディングのプログラム」です。 イメージが持ちづらい点があるかもしれませんが、どうぞお気軽にご質問、ご相談ください。