価値協創ガイダンスとは?策定の背景・目的や改訂、活用方法について詳しく解説

自社の経営強化のため、「価値協創ガイダンス」の活用に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

価値協創ガイダンスは、経済産業省が作成した手引で、経営戦略やガバナンスなどを投資家に分かりやすく伝える場合に役立ちます。

ただし、効果的に活用するには詳細を把握しておくことが重要です。

今回の記事では、価値協創ガイダンスの概要や策定の背景・目的、活用方法などについて詳しく解説します。

価値協創ガイダンスとは

「価値協創ガイダンス」とは、投資に必要な情報開示や投資家との対話の質を高めるために経済産業省が作成した手引のことです。

企業と投資家間をつなぐ「共通言語」として、企業から投資家に伝えるべき情報が体系的・統合的に整理されている内容となっています。

企業は、価値協創ガイダンスの各項目から必要なものを選択し、自社のビジネスモデルや戦略に活用することが可能です。

価値協創ガイダンスは、2014年に公表された「伊藤レポート1.0」に始まる日本経済活性化に向けた研究や提言の取り組みの中で作成され、2017年5月に公表されました。

参考:価値協創ガイダンス | 経済産業省

作成の背景・目的

価値協創ガイダンスが作成された背景として、日本企業が長期にわたって業績低迷している状況が挙げられます。

経済産業省は、2014年、この状況を問題視し、打破するため「伊藤レポート1.0」で提言を行いました。

この中では、従来の慣習に捉われない企業収益体質の改善と、それを促進する企業と投資家との対話が重視されています。

また、2016年8月には「持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会」が発足され、企業は重要な無形資産(人材・知的財産・ブランド等)への投資を、また投資家は非財務情報をもとにしたESG投資を行うことの重要性が示されました。

こういった流れの中で、企業と投資家が価値を協創し、お互いの共通認識を作ることを目的に、「質の高い情報開示」「質の高い対話」を実現するためのフレームワーク「価値協創ガイダンス」が策定されたのです。

2.0に改訂された理由

価値協創ガイダンスは、企業を取り巻くビジネス環境や世界市場などの大きな変化に伴い、2022年8月に「価値協創ガイダンス2.0」へと改訂されています。

改訂の大きな理由として、世界的に注目されている「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」の必要性が挙げられます。

サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)とは、社会のサステナビリティ(持続可能性)と企業のサステナビリティを「同期化」させ、そのために必要な経営・事業を変革(トランスフォーメーション)することです。

つまり、収益の安定と、持続可能な社会実現に向けた「ESG(環境、社会、ガバナンス)投資」を両立する企業経営への変革を意味しています。

SXが注目されたのは、経済産業省による「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」が2020年8月に公表した「中間取りまとめ~サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けて~」がきっかけです。

この中において「稼ぐ力を維持しながら持続的に企業価値を向上させるには、経営のあり方や投資家との関係を変革する必要がある」とされており、SXの重要性が強調されています。

参考:「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会 中間取りまとめ~サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に向けて~」 | 経済産業省

価値創ガイダンスの活用方法

価値協創ガイダンスは、さまざまな方法で活用することが可能です。

企業側の活用方法として挙げられるのは、主に下記の3つです。

  • 情報開示している項目の確認
  • 情報開示していない項目を利用した経営方針の検討
  • 社内での対話利用

また、投資家側が活用できる方法は次の通りです。

  • 企業との対話に向けた大まかな認識の共有
  • 自身の投資スタンスの明確化

企業側・投資家側それぞれが活用することで、相乗効果が得られます。

まとめ

「価値協創ガイダンス」は、投資に必要な情報開示や投資家との対話の質を向上させる手引です。

日本企業の長期にわたる業績低迷を背景に、企業と投資家が価値を協創し、お互いの共通認識を作ることを目的として作成されました。

現在、「価値協創ガイダンス2.0」へと改訂されており、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)が重視されている点が特徴です。

企業で効果的に活用する場合、情報開示している項目を確認したり、情報開示していない項目をもとに経営方針を検討したりといった方法があります。

今回の記事を参考に、「価値協創ガイダンス」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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