2023.12.05
越境学習とは?注目されている理由やメリットについて解説
チームづくり近年、環境の変化や技術の進化に伴い、「越境学習」が注目を集めています。 中高年層のさらなる活躍と次世代リーダーの育成が目的で、越境学習に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。 今回は、越境学習とは何か、なぜ注目されているのか、またどのようなメリットがあるのかについて解説します。 越境学習について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。 越境学習とは 越境学習とは、自分の所属する企業や部署の枠を越え、異なる環境で新たな学び・経験を得ることです。 短期あるいは長期にわたり別の業務やプロジェクトに参加しますが、あくまで一時的な活動です。 そのため、社員の籍は現在在籍している企業・部署のままで、異動などは伴いません。 越境学習が注目されている理由 越境学習が注目されている理由には、次の3つがあります。 VUCA時代への対応 社員のキャリア形成 中高年層の活性化 それぞれ解説します。 VUCA時代への対応 VUCAとは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取ったもので、現代社会の特徴を表す言葉です。 VUCA時代においては、変化が激しく、先の見通しが難しい状況が続いており、企業には変化に対応できる人材を育成することが求められています。 越境学習では、新たな学びや経験を得て視野を広げ、多様な価値観やスキルを身につけることができます。 社員に越境学習をさせることは、企業がVUCA時代に対応するためにも有効な手段の一つです。 社員のキャリア形成 越境学習では、社員が自分の興味・関心に合わせ、幅広い分野で学びや経験を得られます。 そのため、キャリア形成にも大いに役立ちます。 企業は、社員のキャリア形成を支援して一人ひとりの仕事への意欲を高め、定着率や生産性の向上につなげることが可能です。 中高年層の活性化 少子高齢化が進む日本においては、社員の高齢化が進んでいる企業も多いのではないでしょうか。 若手社員の採用が難しい中、これまで以上に中高年層の活躍を促す必要があると言えます。 越境学習を受けることで、中高年層は新たな学びや経験を得られて刺激を受け、さらなる成長に向けた努力ができるようになります。 越境学習の3つのメリット 越境学習のメリットは、下記の3つです。 社員の自己理解と成長が期待できる 社内のイノベーションにつながる 次世代リーダーの育成が可能 それぞれ解説します。 社員の自己理解と成長が期待できる 異なる環境での学びや経験によって、自らの強みや弱み、興味・関心に気づき、それを充実させる機会となるのが越境学習のメリットです。 また、新たな価値観やスキルを身につけることで、一人ひとりの成長にもつながります。 社内のイノベーションにつながる 越境学習における異なる文化やビジネス環境での経験によって、社員の視野が広がり、新たなアイデアや発想が生まれることが期待できます。 イノベーションが起こりやすくなり、企業の体質改善や新規事業創出が図れます。 次世代リーダーの育成が可能 越境学習は、次世代を担うリーダーの育成にも効果的です。 異なる環境での経験はリーダーシップスキルを向上させ、柔軟性や問題解決能力を養います。 また、越境学習によってグローバルな視野を身につけたリーダーは、国際的なビジネス環境においても的確な対応が可能です。 まとめ 越境学習とは、自分の所属する企業や部署の枠を越え、異なる環境で新たな学びを得ることです。 VUCA時代への対応や社員のキャリア形成、中高年層の活性化などを背景として注目されており、取り組むことで企業や社員にさまざまなメリットをもたらします。 例えば、社員の自己理解と成長、社内のイノベーション創成、次世代リーダーが育成できるといった点に期待ができるでしょう。 ぜひ、越境学習の導入を検討してみることをおすすめします。
2023.11.29
サーバントリーダーシップを取り入れている4つの企業事例を紹介!
チームづくりサーバントリーダーシップは、「奉仕の精神で部下に接し、導く」という考えをもとにした、従来のリーダーシップとは全く異なる理論です。 そのため、サーバントリーダーシップの導入を検討する際、どのように取り入れればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、サーバントリーダーシップを効果的に活用している企業事例を4つ取り上げて解説します。 実際の事例にはどのようなものがあるのか知りたい場合、ぜひ参考にしてみてください。 資生堂 化粧品メーカーである「資生堂」は、経営改革においてサーバントリーダーシップの理念を取り入れ、これによって業績向上や組織の変革を達成しています。 このサーバントリーダーシップの実践者として知られるのが、「資生堂の再生」をミッションとして抜擢された池田守男氏です。 彼は社長在任中、顧客をピラミッドの頂点に据え、顧客に接する機会が多いビューティーコンサルタントや営業職の従業員の声に重点を置きました。 社長をはじめとするリーダーの使命はそのサポートを行うこととし、結果として売上向上と満足度の高いサービスの提供が実現しました。 良品計画 無印良品で知られる「良品計画」は、業績急落時にサーバントリーダーシップを導入し、その成果として業績の回復と拡大を達成しています。 当時の社長である松井忠三氏は、業績低下が著しかった際、全国の店舗に自ら足を運び、現場の声に耳を傾けました。 この傾聴の結果、課題が浮かび上がり、解決に向けて「MUJIGRAM」と呼ばれる業務可視化のためのマニュアルとシステムが開発されました。 「MUJIGRAM」の特徴は、初めての人でもわかるような具体的な内容から明確な作業目的までが網羅されており、絶えず更新が行われている点です。 従業員の声を大切にしつつ、業務の透明性を確保する手段を講じたことで、サーバントリーダーシップの要素である「傾聴」「概念化」「先見力」が具現化されています。 ダイエー 全国でスーパーを展開する「ダイエー」は、トップダウン経営で成長を続けてきましたが、業績不振の際にサーバントリーダーシップの導入を図りました。 特に生鮮食品の鮮度に関する課題があったことから、当時の社長、樋口泰行氏のもとで結成されたのが、「鮮度向上プロジェクトチーム」です。 樋口氏が全ミーティングに参加し、従業員の意見を積極的に取り入れるなどの取り組みを行い、結果として顧客からの信頼を回復することに成功しました。 また、ダイエーは赤字店舗の売上低下に対処するため、50店舗の閉鎖を決断しています。 樋口氏はこれらの店舗すべてに出向き、従業員に閉鎖の理由と感謝の気持ちを伝えました。 この働きかけにより従業員のモチベーションが向上し、「閉店売りつくしセール」は成功を収めたということです。 同時に異動先の従業員にも働きかけを行い、前年比プラスの売上を達成するなど、積極的な経営戦略が業績向上に寄与しました。 スターバックスコーヒー 有名な世界的コーヒーチェーン、「スターバックスコーヒー」もサーバントリーダーシップの手法を採用しています。 例えば、「人々の心に活力と栄養を与えるブランドとして、世界で最も知られ、尊敬される企業になる」という企業目標は、組織の上層部から一方的に決められたものではありません。 従業員の考えが次第に洗練され、全世界の店舗で共有されるプロセスを経て生まれたものです。 このボトムアップ型のビジョンがあってこそ、世界的なコーヒーチェーンに成長したということができます。 まとめ 今回紹介したサーバントリーダーシップの4つの事例は、企業の経営において経営者が現場の声を尊重し、積極的に活用する重要性を示しています。 従来のトップダウン型思考を変えることで、業績向上につながるといえるでしょう。 ぜひ、事例を参考にして、サーバントリーダーシップを効果的に取り入れてみることをおすすめします。
2023.11.21
サーバントリーダーシップでリーダーに求められるものとは?必要な10の特性について解説
チームづくりリーダー育成への取り組みを前向きに検討する際、サーバントリーダーシップの導入を考える方も多いのではないでしょうか。 サーバントリーダーシップを取り入れる際は、リーダーに求められる特性を把握しておく必要があります。 今回は、サーバントリーダーシップでリーダーに求められる10の特性について紹介します。 ぜひ、参考にしてみてください。 サーバントリーダーシップのおさらい サーバントリーダーシップは、部下のニーズを最優先に考え、それに基づいて行動するリーダーシップ理論です。 リーダーからのトップダウンによる従来の支配型リーダーシップとは異なり、リーダーが部下の話を聞いて理解し、ともに協力して目標を達成するのがサーバントリーダーシップの特徴です。 一人ひとりの強みや主体性を引き出すことで、部下は自分が大切にされていると感じ、より良いパフォーマンスを上げられます。 ただし、サーバントリーダーシップを発揮するには、必要とされる特性をリーダーが持っておかなければいけません。 この理論を提唱したロバート・K・グリーンリーフ氏は、サーバントリーダーシップにおいてリーダーに求められる10の特性を挙げて定義付けています。 サーバントリーダーシップでリーダーに求められる10の特性 サーバントリーダーシップでリーダーに必要な10の特性は次のとおりです。 傾聴(Listening) 共感(Empathy) 癒し(Healing) 気づき(Awareness) 説得(Persuasion) 概念化(Conceptualization) 先見力(Foresight) 執事役(Stewardship) 人々の成長への関与(Commitment to the Growth of people) コミュニティづくり(Building community) それぞれについて解説します。 1.傾聴(Listening) リーダーには、部下の意見や考えを真剣に聞き、理解しようとする傾聴力が求められます。 話に耳を傾けるだけでなく、相手の話を否定せず、柔軟に受けとめる姿勢が大切です。 2.共感(Empathy) 部下の立場に立ち、気持ちや感情に寄り添うこともリーダーには欠かせない特性です。 リーダーの共感の姿勢が見えることで、部下は自分が理解され、尊重されていると感じることができます。 3.癒し(Healing) リーダーは、部下に安心感を与え、場合によっては心を癒す役割も持ちます。 チームをまとめて成果を上げるには、部下への精神的なフォローやサポートが必要です。 4.気づき(Awareness) 客観的な視点を持って自己を認識し、周りの状況について偏見なく見極めることも重要です。 これにより、リーダーはより効果的な意思決定を行うことができます。 5.説得(Persuasion) リーダーには、信頼関係を維持しながら部下を説得する能力も欠かせません。 サーバントリーダーシップに基づき、自主的な行動を促すような説得スキルが必要になります。 6.概念化(Conceptualization) 部下に対してわかりやすく伝える、つまり概念化する力も求められます。 リーダー自身のビジョンはもちろん、組織全体の目標なども概念化して部下に伝え、理解してもらうことが大切です。 7.先見力(Foresight) リーダーには、現在の状況を把握して未来を予測し、その結果に基づいて意思決定を行う能力が必要です。 先見力によってさまざまな対策を講じることができ、危機管理にも役立ちます。 8.執事役(Stewardship) 部下に対して適切な指導を行う、執事的な役割も求められます。 これにより、リーダーは部下に対して信頼性と信用性を示すことが可能です。 9.人々の成長への関与(Commitment to the Growth of people) リーダーは、部下の成長を支援する必要があります。 一人ひとりの長所を理解して引き出すことで、成長につなげられます。 10.コミュニティづくり(Building community) チームや組織内でのコミュニティを構築し、一体感を高めることも必要です。 最適なコミュニティでは、部下は自分が大切な一部であると感じ、自主的に行動するようになります。 まとめ サーバントリーダーシップは、部下のニーズを最優先に考え、それに基づいて行動するリーダーシップスタイルです。 今回紹介した10の特性は、リーダーが部下を尊重し、支援し、成長させるために重要な要素です。 これを踏まえてサーバントリーダーシップを発揮することで、組織の目標達成につながります。 サーバントリーダーシップに取り組む際は、リーダーに求められる特性を理解しておくとよいでしょう。
2023.11.14
サーバントリーダーシップのメリット・デメリットとは?導入する際のポイントも解説
チームづくり近年、「奉仕の精神で部下に接し、導く」という考え方をもとにした「サーバントリーダーシップ」に注目が集まっています。 サーバントリーダーシップの導入を検討する場合、メリット・デメリットや効果的なポイントについて把握しておきたいという方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、サーバントリーダーシップのメリットとデメリットを解説し、導入する際のポイントも紹介します。 ぜひ、参考にしてみてください。 サーバントリーダーシップのメリット サーバントリーダーシップのメリットとして挙げられるのは、下記の3つです。 顧客満足度の向上につながる コミュニケーションが活発になる メンバー間の信頼関係が深まる それぞれ解説します。 顧客満足度の向上につながる サーバントリーダーシップが効果的に発揮されることで、メンバーは自分が尊重されていると感じ、チームへの貢献度や意欲が上がります。 また、リーダーの理解と支援のもと、自らが主体的に行動できるようになるため、仕事のパフォーマンス向上にも効果的です。 その結果、組織全体の生産性がアップし、顧客満足度の向上につながります。 コミュニケーションが活発になる メンバーの自主性を尊重し、さまざまな考え方や意見を受け入れようとするのがサーバントリーダーシップの特徴です。 チームの中で意見交換しやすい雰囲気が生まれるため、コミュニケーションが活発化します。 メンバー間の信頼関係が深まる 一人ひとりが安心して発言できる環境になることで、メンバー間の信頼関係が深まるのもメリットの一つです。 コミュニケーションの活発化に加え、お互いの能力や長所が引き出されやすくなるといった効果があります。 また、それぞれが当事者意識を持つようになるため、エンゲージメントの向上も期待できます。 サーバントリーダーシップのデメリット サーバントリーダーシップのデメリットは、次の2つです。 決定に時間がかかる 合わないメンバーもいる それぞれ解説します。 決定に時間がかかる 従来型のトップダウン型のリーダーは決定権を持っていますが、サーバントリーダーシップでは各メンバーの意見をしっかり聞き取り、まとめた上で決めることになります。 そのため、チームの方向性などの決定に時間がかかるのがデメリットです。 迅速に対応しなければいけない場合、業務に支障をきたす可能性があるので注意が必要です。 特に、メンバーの数が多いほど時間がかかると言えます。 合わないメンバーもいる サーバントリーダーシップは、十分な知識や経験のある積極的なメンバーに対して大変効果的です。 一方、知識や経験が少なかったり、自ら行動することが苦手だったりするメンバーには合わない傾向があります。 合わないメンバーへのフォローが必要となり、リーダーや他のメンバーの負担増につながるかもしれません。 サーバントリーダーシップを導入する際のポイント サーバントリーダーシップを導入する際は、次の3つのポイントを押さえておくと良いです。 目標を明確にする 自ら率先して行動する 自分のケアを行う それぞれについて解説します。 目標を明確にする サーバントリーダーシップでは一人ひとりの意見を尊重しますが、リーダーが決定権を持たないため、方向性が定まらないことも多いです。 そのため、あらかじめ明確に大きな目標を提示して、共有しておく必要があります。 メンバー全員がゴールを共有することで、まとまりのあるチームが実現します。 加えて、あえて高い目標を設定し、目標達成への努力を後押しすることも重要です。 自ら率先して行動する サーバントリーダーシップを取り入れる際、リーダーは、自らの役割を把握し率先して行動する必要があります。 メンバーの自主性を尊重し育むのをはき違えてすべてを任せきりにしてしまうと、サーバントリーダーシップの効果を発揮できません。 リーダーが積極的に行動する姿を見せることで、チームの結束力が高まると言えます。 そのためには、随時自分自身を振り返り、自己認識を深めておくことが重要です。 また、好奇心を持って行動することで、リーダーシップがメンバーにどのような影響を与えるか理解しやすくなります。 自分のケアを行う 一人ひとりを尊重するサーバントリーダーシップでは、リーダーは自分よりメンバーへのケアに傾倒しすぎる場合があります。 身体や精神が消耗しないよう、セルフケアを意識的に行うことが重要です。 リーダーはメンバーへの貢献だけでなく、自分を優先する時間をとるよう工夫すると良いです。 まとめ サーバントリーダーシップのメリットとして、顧客満足度の向上やコミュニケーションの活発化、信頼関係の深まりなどが挙げられます。 一方、決定に時間がかかる、合わないメンバーもいるといったデメリットもあるため、両方について理解しておくと良いでしょう。 また、目標を明確にするのはもちろん、自ら率先して行動したり、自分のケアを行ったりすることがサーバントリーダーシップを導入する際のポイントです。 これらを押さえておくことでスムーズな導入が可能です。 ぜひ、今回の記事を参考に検討してみてください。
2023.11.07
サーバントリーダーシップとは?概要や注目されている背景について紹介
チームづくり近年、リーダーとメンバーとの信頼関係を構築するための手法として、「サーバントリーダーシップ」に注目が集まっています。 メンバーの自主性をより促すためトップダウン型からの変革を考えた場合、サーバントリーダーシップの導入は大変有効です。 また、シェアドリーダシップとの関連で興味を持っているという方も多いのではないでしょうか。 今回は、サーバントリーダーシップの概要や従来の支配型リーダーシップとの違いを解説し、今注目されている背景をご紹介します。 サーバントリーダーシップの概要 「サーバントリーダーシップ」は、「奉仕の精神で部下に接し、導く」という考え方をもとにしたリーダーシップ理論です。 1970年、ベトナム戦争の泥沼化やウォーターゲート事件などを時代背景に、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ氏がヘルマン・ヘッセの短編小説「東方巡礼」から着想を得て提唱しました。 「サーバント(servant)」という言葉には、召使いや奉仕する人という意味があり、サーバントリーダーシップは「奉仕型」のリーダーシップと言うことができます。 リーダーが部下に対する傾聴の姿勢を持ち、自主性を認めながらそれぞれの能力の最大化を図ることで、目的を達成するというスタイルが特徴と言えます。 そのため、組織において協力し合う関係が生まれやすい点がメリットです。 従来の支配型リーダーシップとの違い 従来の「支配型リーダーシップ」は、明確な上下関係と強い統率力に基づくリーダーシップで、リーダーがトップダウンで指示や命令を出し、それに部下が従うことで目標を達成してきました。 一方、サーバントリーダーシップでは、リーダーが部下の話をしっかり傾聴することで関係を築き、ともに協力し合いながら目標を達成します。 また、リーダーが部下に対して支援を行うことで信頼が得られる点もサーバントリーダーシップの特徴です。 サーバントリーダーシップの発揮によって、部下の強みや自主性を引き出し、積極的な行動へ導くことが可能です。 従来の支配型リーダーシップは恐怖心や義務感で部下を行動させるという点が大きな特徴ですが、サーバントリーダーシップでは部下との信頼関係を大事にすることで部下自身が考えて行動するようになります。 このように、サーバントリーダーシップは、これまでの支配型リーダーシップとは正反対の考え方と言えます。 注目されている背景とは? 経済成長が著しかった時代では、リーダーが強い意志や価値観を貫くことで部下を強力にけん引していくスタイルが主流でした。 しかし、現在は、不確実で予測が困難な「VUCA時代」に突入しており、ビジネス環境が大きく変化し、顧客ニーズも多様化しています。 このような時代の中で企業が成長していくためには、不測の事態に柔軟に対応できる組織づくりが欠かせません。 リーダーがすべてを管理して意思決定していく従来のスタイルでは対応が遅れてしまうため、メンバー一人ひとりが主体性を持った組織にしていく必要があります。 また、必ずしも一人のリーダーの意見が正しいとも言えないことから、さまざまな経験や知識を持った人材の活用が求められます。 そのため、サーバントリーダーシップによって、個性を発揮しながら行動できる人材を育成することが重要です。 まとめ サーバントリーダーシップは、「奉仕の精神で部下に接し、導く」という考え方をもとにした「奉仕型」のリーダーシップ理論です。 傾聴などを行って部下との信頼関係を築き、部下自身が考えて行動するように促すのが特徴で、リーダーが部下に命令や指示を出して統率する、従来の支配型リーダーシップとは大きく異なります。 不確実で先が読みにくいVUCA時代において、サーバントリーダーシップは企業の成長に不可欠な考え方だと言えます。 ぜひ、自社へのサーバントリーダーシップの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
2023.10.31
シェアドリーダーシップを導入している3つの企業事例を紹介!実際に取り入れるには?
チームづくり近年、多くの企業が「シェアドリーダーシップ」に注目し、導入を図っています。 しかし、シェアドリーダーシップの導入を検討する場合、どのように活用すればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、シェアドリーダーシップを取り入れることで成果を上げた企業事例を3つご紹介します。 実際の事例を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。 シェアドリーダーシップのおさらい 「シェアドリーダーシップ」とは、チームのメンバー全員がリーダーの役割を担い、影響力を持ってリーダーシップを発揮することです。 一人ひとりがリーダーシップを持つことでチーム全体のパフォーマンスが高まり、生産性や業績の向上につながるのがシェアドリーダーシップの特徴です。 また、新たなアイデアが生まれやすかったり、次世代リーダーの育成に役立ったりといったメリットもあります。 キヤノンマーケティングジャパン株式会社 キヤノンマーケティングジャパン株式会社では、キヤノンマーケティングジャパングループ初の案件に対応する際、シェアドリーダーシップを活用したプロジェクトチームを発足しています。 このプロジェクトチームでは、「営業」や「企画」、「ITソリューションスペシャリスト」、「市場品質」など各組織の専門スキルを持ったメンバー10人が主体的にそれぞれの役割を持ってお客さま対応に注力しました。 一つのチームとして連携し、相手のスキルや立場を考えながら巻き込んだり、時には課題解決のため新たな人材を入れたりなど、メンバー全員が同じ方向を向いて進むことで成功に導いています。 株式会社JR東日本テクノハートTESSEI 株式会社JR東日本テクノハートTESSEIは、新幹線車両清掃の専門会社です。 「現場ファースト」の姿勢をとっている当社では、シェアドリーダーシップを取り入れ、現場メンバーが顧客のために動いたり、改善提案を行ったりすることでサービス向上を図っています。 また、リーダーシップの発揮を促すには、社員の自己効力感を高めることが重要です。 そのため、自主的なインフォーマル活動のフォーマル化や表彰制度の採用、エンジェルレポートなど、個人の成果を可視化することで自己効力感の向上に努めています。 カルビー株式会社 カルビー株式会社では、社員一人ひとりの持ち味や個性を尊重し、全員が活躍できる組織づくりに注力しています。 シェアドリーダーシップを活用するには評価制度の見直す必要があったことから、従来の年齢ベースの基本給からバリュー評価へと制度を一新しました。 500の社員案から策定した「Calbee 5values」をもとに、上司と部下が話し合って行動目標を立て、実践度合いを評価しているのが大きな特徴です。 さらに、2020年7月には「Calbee New Workstyle」を導入し、「圧倒的当事者意識」を重視した働き方の刷新を行っています。 具体的には、次のような内容を盛り込み、多様なライフスタイルに応じた働き方の選択を可能としました。 オフィス勤務の社員を対象としたモバイルワークの標準化 フルフレックスタイム制の導入 業務上支障がない場合の単身赴任の解除 また、「部署異動の自己申告制度」や「Calbee Learning Café」というオンライン学習会の実施、副業の解禁など、「全員活躍」を確実にするさまざまな施策も実践中です。 まとめ シェアドリーダーシップを取り入れて成果を得ている3つの企業事例を紹介しました。 新プロジェクトのためのチームや現場対応、評価制度の一新など、社員全員が活躍できる仕組みづくりとして大いに役立つのではないでしょうか。 今回紹介した事例をもとに、自社に合わせたシェアドリーダーシップの導入を検討することをおすすめします。
2023.10.24
シェアドリーダーシップに取り組む際の5つのポイントと注意点を解説
チームづくりメンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮する組織づくりを目的に、シェアドリーダーシップの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。 シェアドリーダーシップに取り組む場合、効果的なポイントや注意点を押さえておくことが重要です。 今回は、シェアドリーダーシップを導入する際のポイントと注意点を解説します。 シェアドリーダーシップを導入する際の5つのポイント シェアドリーダーシップを導入する場合のポイントは、下記の5つです。 公式リーダーの選出 シェアドリーダーシップへの理解とリーダーシップの定義 全社的な理解の促進 エンパワーメントの推進 適切な振り返り それぞれ解説します。 公式リーダーの選出 メンバー各自がリーダーとなるシェアドリーダーシップの状況下でも、メンバーを取りまとめる公式なリーダーは必要です。 その場合、まとめ役にふさわしいのはもちろん、チームのパフォーマンスを最大化することができる人材の選出が欠かせません。 選ばれた公式リーダーは、研修の受講などによって、会議をスムーズに進めたりメンバーの成長や変化を促したりといったスキルを身につけておく必要があります。 シェアドリーダーシップへの理解とリーダーシップの定義 「シェアドリーダーシップ」とは何か、チームメンバー全員で把握し、理解を深めることが大切です。 また、シェアドリーダーシップでは一人ひとりの主体的な姿勢が求められます。 そのため、同じビジョンや目標をチーム全体で共有しておく必要があります。 公式リーダーがメンバーに対し、チームにおけるリーダーシップの定義や理想の組織イメージをしっかり伝えると良いです。 全社的な理解の促進 シェアドリーダーシップを効果的に取り入れるには、経営陣を含めた全社的な理解が必要です。 シェアドリーダーシップの導入で得られるメリットや従来のリーダーシップとの違いを伝え、理解を求めます。 メンバー全員がリーダーシップを発揮して業務に取り組みやすい環境をつくることが重要です。 エンパワーメントの推進 各メンバーに権限を与えて自律性を高める「エンパワーメント」の実施も効果的です。 エンパワーメントを取り入れることで一人ひとりに当事者意識が生まれ、自主性を持って業務に取り組めるようになります。 適切な振り返り リーダーとしての役割を自覚してもらうには、実行後に行う適切な振り返りが重要です。 振り返りにおすすめなのは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の「PDCAサイクル」です。 また、場合に応じて、Observe(観察)・Orient(状況判断)・Decide(意思決定)・Act(実行)・ループの「OODAループ」の活用も効果があります。 シェアドリーダーシップを導入する際の注意点 シェアドリーダーシップを取り入れる際の注意点は下記の2つです。 目的・ビジョンの理解と確認 フォロワーシップの発揮 それぞれ解説します。 目的やビジョンの確認 シェアドリーダーシップでは、リーダーシップを発揮するメンバー全員がチームや企業全体の目的・ビジョンを把握し、理解しておく必要があります。 そのため、研修やワークショップ、定期的なミーティングを行い、方向性を随時確認することが大切です。 フォロワーシップの発揮 シェアドリーダーシップでは、リーダーシップだけでなく、フォロワーとしてメンバーをサポートする「フォロワーシップ」の発揮も大事なポイントです。 チームが最高のパフォーマンスを上げるには、メンバーそれぞれがリーダーとフォロワー両方の役割を持つ必要があります。 研修などでフォロワーシップについての理解も深めておくことが重要です。 まとめ シェアドリーダーシップは、公式リーダーの選出やシェアドリーダーシップへの理解などのポイントを押さえておくことでスムーズな取り組みが可能です。 また、目的・ビジョンの理解と確認、リーダーシップだけでなくフォロワーシップを発揮することに注意すると良いでしょう。 ぜひ、今回の記事を参考にしてシェアドリーダーシップの導入を検討してみてください。
2023.10.17
メンバー全員がリーダーシップを発揮する「シェアドリーダーシップ」とは?概要や3つのメリットなどを紹介
チームづくり近年、メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮できる組織づくりとして、「シェアドリーダーシップ」に注目が集まっています。 シェアドリーダーシップでは、誰か一人がリーダーになるのではなく、チームメンバー全員がリーダーとなってリーダーシップを発揮します。 取り入れることでメリットも多いため、シェアドリーダーシップへの取り組みを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は、シェアドリーダーシップの概要や類似する用語との違いを解説し、シェアドリーダーシップの3つのメリットを紹介します。 ぜひ、参考にしてみてください。 シェアドリーダーシップの概要 「シェアドリーダーシップ」とは、チームのメンバー全員がリーダーの役割を担い、影響力を持ってリーダーシップを発揮している状態を指します。 分担するという意味の「シェア」と、指導力や統率力を意味する「リーダーシップ」を組み合わせた言葉が、シェアドリーダーシップです。 「リーダーシップをシェアする」、つまり一人ひとりがリーダーシップを持つことでチーム全体のパフォーマンスが高まり、結果として生産性・業績の向上につながります。 類似用語との違い シェアドリーダーシップについて理解するには、類似する用語との違いを把握しておくことが重要です。 シェアドリーダーシップに似ている言葉として、下記の2つがあります。 サーバントリーダーシップ オーセンティックリーダーシップ それぞれ解説します。 サーバントリーダーシップ 「サーバントリーダーシップ」は、チームの一人がリーダーを担い、他のメンバーにサポートや助言を行うスタイルのリーダーシップです。 「サーバント」とは「奉仕者」のことで、その言葉どおり、メンバーに奉仕し、牽引していきます。 メンバー全員がリーダーシップを発揮するのがシェアドリーダーシップの特徴ですが、サーバントリーダーシップでは、一人のリーダーがリーダーシップを発揮し、チームの中心となって他のメンバーをサポートするという違いがあります。 オーセンティックリーダーシップ 「オーセンティックリーダーシップ」は、価値観や信念を自分らしく大事にしながら活躍するリーダーシップです。 「オーセンティック」は「本物の」という意味の言葉で、自身のマネジメントから倫理観に基づいた行動まで独自の視点でリーダーシップを発揮します。 シェアドリーダーシップではメンバー全員がリーダーですが、オーセンティックリーダーシップにおいては、チーム内の一人がオーセンティックなリーダーとしてチームを引率します。 シェアドリーダーシップの3つのメリット シェアドリーダーシップに取り組むことで得られるメリットは次の3つです。 生産性向上につながる 新たなアイデアが生まれやすい 次世代リーダーの育成に役立つ それぞれ解説します。 生産性向上につながる シェアドリーダーシップを実践することで、メンバー同士でサポートし合いながら業務に取り組めます。 このような環境下では全体のパフォーマンスが上がりやすいため、生産性の向上につながるのがメリットの一つです。 新たなアイデアが生まれやすい メンバー全員がリーダーになれば対等な立場になり、自主性が養われるため、意見交換の活発化が見込めます。 役割を超えて積極的に意見を出し合えば、新しいアイデアが生まれやすくなるものです。 また、アイデアが生まれやすい風土ができることでイノベーションの促進にもつながり、新たなビジネスモデルや事業のきっかけにもなります。 次世代リーダーの育成に役立つ シェアドリーダーシップは、次世代リーダーの育成にも役立ちます。 年齢や経験にかかわらず、すべてのメンバーがリーダーシップを発揮できる点がシェアドリーダーシップの大きな特徴です。 そのため、リーダーシップについて学べる機会を業務の中で持つことができ、特に若手社員は実践を通してリーダーに必要なスキル・知識の習得が可能です。 まとめ 「シェアドリーダーシップ」は、チームのメンバー全員がリーダーの役割を担うことでリーダーシップを発揮している組織の状態を指します。 類似している言葉として「サーバントリーダーシップ」や「オーセンティックリーダーシップ」が挙げられますが、メンバー一人ひとりがリーダーになるシェアドリーダーシップとの違いを把握しておくとよいでしょう。 シェアドリーダーシップのメリットには、生産性向上や新たなアイデアの創出、次世代リーダーの育成などがあり、従来のリーダーシップでは難しかった組織づくりが可能になります。 メンバー全員がリーダーシップを発揮できる環境を目指すなら、シェアドリーダーシップの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
2023.10.05
インクルーシブ・リーダーシップに求められるリーダーの資質とは?高めるためのヒントも紹介
チームづくりメンバーが持つリーダーとしての資質を引き出しながら組織全体の力を向上させる手法として、インクルーシブ・リーダーシップに注目が集まっています。 そのため、インクルーシブ・リーダーシップを自社に取り入れて活用したいという方も多いのではないでしょうか。 インクルーシブ・リーダーシップを導入する際は、求められるリーダーの資質などについて把握しておくことが重要です。 今回は、インクルーシブ・リーダーシップに求められるリーダーの資質について解説し、インクルーシブ・リーダーシップを高めるためのヒントも紹介します。 インクルーシブ・リーダーシップへの取り組みを前向きに考えている場合、ぜひ参考にしてみてください。 インクルーシブ・リーダーシップに求められるリーダーの資質 インクルーシブ・リーダーシップに求められるリーダーの資質は、下記の6つです。 コミットメントする力 謙虚な心 バイアスに対する認識 旺盛な好奇心 異文化への適応能力 協働促進する力 それぞれ解説します。 1.コミットメントする力 インクルーシブ・リーダーの資質として、コミットメントする力が挙げられます。 具体的には、多様性への本気の取り組みを明言し、現状に対する疑問の投げかけや説明責任を課すことなどを通して問題を解決する能力です。 また、組織のビジョンと価値観を共有し、それを推進するための行動を優先します。 2.謙虚な心 インクルーシブ・リーダーは、自分自身の能力の限界や弱点を認識しています。 そのため、謙虚な心を持っており、素直に過ちを認めたり、部下に丁寧な対応をしたりすることができます。 3. バイアスに対する認識 自分自身が持ち合わせるバイアス(偏見)を認識し、それが他人への評価や意思決定に影響を及ぼさないようにすることもインクルーシブ・リーダーの資質の一つです。 また、一人ひとりやシステムには欠点があることを認めた上で、実力主義の徹底に尽力します。 4.旺盛な好奇心 インクルーシブ・リーダーには、新しいアイデアや異なる視点に対する旺盛な好奇心を持ち、それらについて学び続けられるという資質があります。 さらに、他者に対しても深い好奇心を持つため、人の言葉にしっかり耳を傾けて共感し、理解しようと努力します。 5. 異文化への適応能力 インクルーシブ・リーダーは、異文化への適応能力を持ち、異なる文化背景を持つメンバーと効果的に協働することが可能です。 そのためには、それぞれの文化の知識を学ぶのはもちろん、社会情勢などをアップデートする必要もあります。 6. 協働促進する力 チーム内での協働を促進し、メンバー全員が貢献できる環境を作り出すこともインクルーシブ・リーダーの資質と言えます。 メンバー一人ひとりを尊重してさまざまな価値観を認め、心理的安全性に配慮し、組織の団結力向上に努めます。 インクルーシブ・リーダーシップを高めるためのヒント インクルーシブ・リーダーシップを高めるには、次の3つのヒントが参考になります。 多様性に基づくビジョンを持つ コミュニケーションやフィードバックを行う メンバーの多様性を活用する それぞれ解説します。 多様性に基づくビジョンを持つ インクルーシブ・リーダーシップを高めるために重要なのは、リーダーが明確なビジョンを持つことです。 また、多様性の重要性を深く理解し、その意識を持つ必要もあります。 リーダー自身が多様性を尊重し、それを組織全体に浸透させるための基盤作りが大切です。 コミュニケーションやフィードバックを行う オープンで透明なコミュニケーションもインクルーシブ・リーダーシップを高めるために必要です。 これにより、メンバー全員が情報にアクセスし、意思決定プロセスに参加できるようになります。 また、フィードバックは成長と改善のために欠かせないプロセスです。 リーダーはフィードバックを適切に行うことでメンバーのパフォーマンスを向上させることができます。 メンバーの多様性を活用する リーダーがメンバーの多様性を活かす努力をすることも、インクルーシブ・リーダーシップを高めるヒントの一つです。 メンバー一人ひとりが持つ独自のスキルや視点を認識し、最大限に活用することが求められます。 さらに、リーダーは多様性を促進するための取り組みを率先して進め、組織全体の意識を変える必要もあります。 まとめ インクルーシブ・リーダーには、コミットメントする力、謙虚な心、バイアスに対する認識、旺盛な好奇心、異文化への適応能力、協働促進する力の6つの資質が必要です。 また、多様性に基づくビジョンを持つ、コミュニケーション・フィードバックを行う、メンバーの多様性を活用するといったヒントに基づいて高めると良いでしょう。 今回の記事を参考に、インクルーシブ・リーダーシップを積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
2023.09.26
インクルーシブ・リーダーシップとは?注目されている背景と期待できる効果を解説
チームづくり近年、個々の強みを活かしながらチーム力を高める手法として「インクルーシブ・リーダーシップ」に注目が集まっています。 多様な人材が能力を発揮することにより企業の成果を上げたい場合、インクルーシブ・リーダーシップの導入が有効です。 しかし、インクルーシブ・リーダーシップという言葉を聞いたことがあっても、詳しい内容がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、インクルーシブ・リーダーシップについて、その概要や背景、期待できる効果を紹介します。 ぜひ、参考にしてみてください。 インクルーシブ・リーダーシップとは インクルーシブ・リーダーシップとは、メンバー一人ひとりが持つリーダーとしての資質を引き出しながら組織全体の力を向上させる手法を指します。 トップダウン式で指示を出す従来型のリーダーシップとは異なり、リーダーはメンバーと対等な立場で個々の可能性を引き出すのがインクルーシブ・リーダーシップの特徴です。 インクルーシブ・リーダーシップが注目されている背景 インクルーシブ・リーダーシップはどのような社会背景によって注目されているのでしょうか。 主な背景として次の2つが挙げられます。 ダイバーシティ&インクルージョンの推進 VUCA時代への適応 それぞれ解説します。 ダイバーシティ&インクルージョンの推進 インクルーシブ・リーダーシップが注目される背景として、「ダイバーシティ&インクルージョン」という考え方の推進が挙げられます。 「ダイバーシティ」は、性別や年齢、国籍など「目に見える違い」、能力や経験、考え方など「目に見えない違い」といった、人の多様性のことです。 また、このような多様なメンバー同士で認め合うことを「インクルージョン」と言います。 つまり、ダイバーシティ&インクルージョンとは、さまざまな人材が組織に属し、多様性の受容・尊重によって能力を発揮できている状態を指します。 近年、多様な人材の能力を活かし、成果に結びつけることを目標に、多くの企業がダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。 そのため、インクルーシブ・リーダーシップを取り入れて、柔軟に仕事を進めることが重要です。 VUCA時代への適応 「VUCA時代」に適応しなければならないという社会状況も、インクルーシブ・リーダーシップが注目される背景の一つです。 VUCAとは、英語の「Volatility」「Uncertainty」「Complexity」「Ambiguity」の頭文字を取った言葉で、「先行きが見えず、将来の予測が困難な状態」を意味します。 もともとはアメリカの軍事用語ですが、従来の常識が通用しないような大きい変化が起きはじめた2010年代から一般に広がり始めました。 VUCA時代では、ビジネス環境が猛スピードで前例のない状態に変化していきます。 従来のトップダウン型のリーダーシップを期待するのではなく、対等な立場で柔軟なリーダーシップを発揮できるかどうかが求められているのです。 インクルーシブ・リーダーシップで期待できる効果 インクルーシブ・リーダーシップでは、下記のような効果が期待できます。 ダイバーシティ&インクルージョン推進のメッセージ 組織の一員としての自覚 個々の自信と積極性の向上 それぞれ解説します。 ダイバーシティ&インクルージョン推進のメッセージ インクルーシブ・リーダーシップは、企業にとってダイバーシティ&インクルージョンの推進における強力なメッセージとなります。 インクルーシブ・リーダーの存在は、企業がダイバーシティ&インクルージョンに真剣に取り組んでいることを意味するからです。 これによって、ダイバーシティへの理解の浸透はもちろん、平等な機会を提供する環境の整備にもつながりやすくなります。 組織の一員としての自覚 従来型のリーダーシップのスタイルでは、リーダーが優れているほど、メンバーは指示待ちの傾向がありました。 しかし、インクルーシブ・リーダーシップの下では、メンバーは単なる従業員ではなく、組織を共に築いていく一員としての自覚を持ちやすいです。 リーダーとメンバーとの間に存在する壁が低くなるため、一人ひとりが責任感を醸成しやすくなり、組織全体の大きな成果につながります。 個々の自信と積極性の向上 インクルーシブ・リーダーシップには、メンバーの自信や積極性を向上させる効果があります。 意見を許容されることで、自分を理解してくれる環境で働いていると感じられるからです。 また、このような環境においては、より積極的に事業に参加する傾向があります。 まとめ インクルーシブ・リーダーシップは、ダイバーシティ&インクルージョンの推進やVUCA時代への適応といった社会背景をもとに注目を浴びている手法です。 一人ひとりが持つリーダーとしての資質を活かして組織全体の力を向上させるのが特徴で、リーダーはメンバーと対等な立場で個々の可能性を引き出します。 インクルーシブ・リーダーシップの導入で、ダイバーシティ&インクルージョン推進のメッセージを示すことができるのはもちろん、メンバーは組織の一員としての自覚を持ちやすくなります。 また、自信や積極性が向上するといった効果も期待できます。 ぜひ、インクルーシブ・リーダーシップについて理解を深め、導入を検討してみましょう。
2023.09.19
プロセスマネジメントを効果的に導入するには?企業事例や失敗例を紹介!
チームづくりプロセスマネジメントの効果的な導入を検討する場合、具体例を把握しておくことも重要です。 「実際の事例として、どのようなものがあるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。 今回は、プロセスマネジメントの2つの企業事例と失敗例を取り上げて解説していきます。 プロセスマネジメントの企業事例 ここでは、プロセスマネジメントを実際に行っている企業の事例を2つ紹介します。 ロイヤルホテル 大阪府に本社を置くロイヤルホテルは、1935年の開業以来、国賓・皇室など国内外の顧客を迎えるホテルとして、感動と満足の追求を主軸とする経営を実践しています。 現在、「リーガロイヤルホテル(大阪)」を中心に、全国13のホテルを運営中です。 ロイヤルホテルでは「5S運動」の徹底を行い、作業品質向上のための業務プロセス改善を行いました。 整理、整頓、清掃、清潔、しつけの「5S」によって業務に必要なものを絞り、作業スピードが17%向上(平均値)したそうです。 また、職場環境が整うことで導線確保や作業効率アップはもちろん、ES(従業員満足度)も向上したと発表されています。 近年では基幹システムの更改を契機に、ホテルの主要業務プロセスの可視化にも取り組み、グループ全体の業務改革と標準化を図っています。 ANA(全日本空輸) ANA(全日本空輸)では、さまざまな業務プロセス改革を行っています。 例えば、2012年4月から業務にタブレットPC(iPad)を導入し、客室乗務員、パイロット、整備士、空港係員にそれぞれ配布することで職場環境のペーパーレス化を実現しました。 これにより、紙資源による約4億円の経費削減を成功させています。 また、iPadには各種業務に必要な情報やマニュアルが入っており、いつでもどこでも検索できることで、現場でのきめ細かなサービスにつなげています。 さらに、荷物預かり業務ができるAIロボットと自動機を導入・活用することで、カウンター人員を約70%削減、乗客の待ち時間を最大80%削減しました。 数々の業務プロセス改革を行ってきたANAですが、「事業本質を侵さない改革を行う」ことを重要視して推進を図っている点が大きな特徴です。 エアライン業界の事業本質は「安全」です。 顧客・パイロット・乗務員・整備士・空港係員などの安全性を侵害してしまうような改革では、ビジネスそのものが破綻するおそれがあります。 そのため、芯の通った信念のもとで業務プロセス改革を進めているということです。 プロセスマネジメントの失敗例 プロセスマネジメントの失敗例としてよくあるのが、下記の2点です。 事業本質や目的、実情が理解されていない 全社的な導入から始めてしまう それぞれ解説します。 事業本質や目的、実情が理解されていない 事業本質を理解しないまま進めるプロセスマネジメントは、失敗する可能性が高いです。 上記で紹介したANAの「安全性を侵害する改革は行わない」という事例のように、本質を理解したプロセスマネジメントを行うことが重要です。 また、何がプロセスマネジメントの目的なのか、どこに向かうのかが共有されていないと、メンバーは細かい判断を行えないものです。 そのため、計画から実行に至るまで、メンバーとの密なコミュニケーションを保つ必要があります。 加えて、初めから理想だけを追い求めても、現実の結果には結びつきません。 経営層がしっかり関与し、現場の実情を考慮したプロセスマネジメント計画を立てることが大切です。 全社的な導入から始めてしまう 失敗例として多いのが、最初から全社的にプロセスマネジメントを導入してしまうことです。 プロセスマネジメントは、一つの業務においても、入念な課題把握や解決策の立案、実現と評価・改善を繰り返す必要があります。 規模が大きいほど効果が大きいと思われがちですが、いきなり全社的に取り入れても効率的かつ最適化された業務プロセスの改善にはつながりません。 まずは、優先度や状況に応じて改善すべき業務プロセスを決定し、慎重に実践することで継続的な成果が上げられます。 まとめ プロセスマネジメントは、さまざまな企業で取り入れられていますが、事業本質や目的、実情を明確にしておくことで成功につながりやすいと言えます。 また、一つの業務プロセスから慎重に改善していくことも重要です。 ぜひ、今回ご紹介した2つの企業事例と失敗例を参考に、プロセスマネジメントの効果的な導入を図りましょう。
2023.09.12
プロセスマネジメントの進め方と注意点について解説
チームづくり業務効率化や生産性アップを目的とし、「プロセスマネジメント」の導入を検討している方も多いのではないでしょうか。 この場合、具体的な実践手順や注意点を知っておくことで導入がスムーズに進みます。 今回の記事では、プロセスマネジメントの進め方と注意点を解説します。 「プロセスマネジメントを取り入れる手順を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。 プロセスマネジメントの進め方 プロセスマネジメントを導入する場合、次の手順で進めるのがおすすめです。 業務プロセスを洗い出す 業務プロセスを可視化する プロセスを実行する プロセスを分析・改善する それぞれ解説します。 1.業務プロセスを洗い出す プロセスマネジメントを開始するにあたり、業務プロセスを詳細に把握することが必要です。 現場を実際に観察したり、担当者への聞き取りや議論を行ったりしながら、業務プロセスを洗い出していきます。 ただし、業務が特定の担当者に依存している場合、その業務内容は外部から理解しにくいことも多いものです。 このようなケースでは、継続的なコミュニケーションを取りながらプロセスを解明する必要があります。 2.業務プロセスを可視化する 次に、洗い出した業務プロセスを可視化していきます。 業務を可視化するには、「作業手順書」や「フローチャート」の作成が欠かせません。 この場合、誰でも業務内容が把握・実践できるよう、わかりやすくまとめるのがポイントです。 また、それぞれのプロセスごとに「目標値」を設定することも重要です。 目標を設定することで社員の意識向上につながるのはもちろん、生産性の確認・分析がしやすくなります。 負荷が大き過ぎない、無理のない範囲での目標値設定がおすすめです。 3.プロセスを実行する できあがった作業手順書やフローチャートを使って、プロセスを実行していきます。 業務の内容や作業手順が標準化されて明確になっているため、誰でもスムーズに進められるはずです。 特に、プロセスごとに設定した目標値を達成するよう心がけると良いです。 4.プロセスを分析・改善する プロセスマネジメントでは、定期的なプロセスの分析と改善を行う必要があります。 各プロセスでの目標達成度を含め、全体の生産性を確認することで、プロセスマネジメントの最適化が図れます。 また、分析によって明らかになった課題を解決するには、新たな業務プロセスを設計しなければいけないケースもあります。 例えば、業務の順番変更や不要な業務の廃止、工数が多い業務の自動化、といった方法の検討が必要です。 プロセスマネジメントで意識するべき3つの注意点 プロセスマネジメントを導入する場合、下記の3つの注意点を意識すると良いです。 時間がかかる 向いていない業務もある 負担が増える それぞれについて解説します。 時間がかかる プロセスマネジメントの実行にはある程度の時間がかかる点に、注意が必要です。 特に、初めて取り組む場合は、担当者に業務の詳細をヒアリングしたり、現場や使用ツールなどを調査したりするため、かなりの時間を要します。 そのため、事前に「プロセスマネジメントに時間をかける価値があるかどうか」という点についても考慮しておく必要があります。 向いていない業務もある プロセスマネジメントは、例えば、システム管理や検品作業、営業活動、総務人事など、パターンがある程度決まっている上、繰り返すことが多い業務に向いています。 一方、単発でしか行わないプロジェクトや、毎回業務プロセスが異なるような業務には向いていません。 プロセスを整理しても、作業の流れがある程度固定化されていなければ役に立ちにくいと言えます。 負担が増える プロセスマネジメントで重要なのは、実施後の分析・改善です。 プロセスごとに確認を行い、場合によっては効果検証を行わなくてはいけないため、管理職やマネジメント職の業務負担が増える可能性があります。 管理職・マネジメント職の負担を軽くするためには、業務管理ツールの活用などで業務効率化を図ることが重要です。 まとめ プロセスマネジメントを導入する際は、手順や注意点を把握しておくとスムーズに進められます。 進め方としては、「業務プロセスの洗い出し」、「可視化」、「実行」、「分析・改善」の手順で行うのがおすすめです。 また、時間がかかったり、向いていない業務があったり、負担が増えたりする点に注意が必要です。 ぜひ、今回の記事を参考にして、プロセスマネジメントを具体的に取り入れてみてください。
ワンネス経営®プログラムは、インナーブランディング強化というアプローチを通して、 お客様企業が求める成果を達成していくという「新しいチームビルディングのプログラム」です。 イメージが持ちづらい点があるかもしれませんが、どうぞお気軽にご質問、ご相談ください。