1. はじめに
そもそも食事って何のためにするのでしょう?
単なる栄養補給?
食べる幸せ、さらには美味しい!という幸せのため?
はたまた、お腹が空いたから食べるだけ。
いろんな価値観の人がいると思います。
それでもやっぱり食事は、ただ空腹を満たすものではありません。
食事は、ただ空腹を満たすものではなく、働くあなたの体力・集中力・回復力を支える大切な要素です。
「糖質・脂質・たんぱく質」の三大栄養素を理解し、質とバランスを整えることで、日々のパフォーマンスと健康が変わります。
今回は、前回の基礎編を踏まえて、もう一歩深く、「どう選ぶか」「どんな配分がいいか」に焦点を当ててお伝えします。
2. 日本人の食事摂取基準2025年版とは?
まず、私たちが日々の食生活を設計するうえで頼りになる指針が、厚生労働省が発表する 「日本人の食事摂取基準(Dietary Reference Intakes, DRIs)」 です。2025年版は、より実践的・柔軟性を持たせた見直しがされています。
- 個人差を重視:年齢・性別・身体活動レベル・健康目標(維持/減量/増量)に応じたエネルギー量・栄養比率を提示。
- 質の要素の強化:単なる量(kcal比率)だけでなく、炭水化物や脂質の「質(GI、飽和・不飽和、食品由来)」を重視する考え方が明記されている。
- 多様性・実践可能性の重視:食品群の組み合わせ、調理法、食習慣との調整を意識したガイドラインづくり。
- 健康リスクとの関連性に注目:生活習慣病指標(血糖、脂質、血圧など)との関連性研究を踏まえた改訂がおこなわれている。
この基準を“絶対値”と見ず、自分や社員の生活スタイルに合わせて応用する道筋を持つことがポイントです。
3. 三大栄養素、どう選び・どう配分するか
ここからは、「質」と「バランス」にフォーカスして、それぞれの栄養素をどう選ぶか・どのように日々の食事に振り分けるかを解説します。
3-1 糖質 ― 「速さ」ではなく「持続性」を選ぶ
- 質の違いに注目:白米・白パン・砂糖入り飲料は血糖を急激に上げやすく、血糖の乱高下を引き起こすリスクがあります。一方、玄米・雑穀・全粒粉・豆類・野菜・果物などはゆるやかに吸収され、血糖コントロールを助ける要素が含まれています。
- 実践の目安:主食を1/3白米+2/3全粒穀物にする、または白米を雑穀や麦入りに変えるなど、少しずつ「質を上げる」工夫がおすすめです。
- メリット:血糖値の急変動を抑える → 午後の眠気・集中低下を防ぐ助けに。
3-2 脂質 ― 質で選んで、量でコントロール
- 重視される脂質:EPA・DHA(魚油脂)やα-リノレン酸(亜麻仁油・えごま油など)、一価不飽和脂肪酸(オリーブオイル等)などが、炎症抑制・心血管系維持・認知機能サポートなどで注目されています。
- 注意したい脂質:飽和脂肪酸(バター・ラード・高脂肪肉)やトランス脂肪酸(加工食品・ファストフード)の摂りすぎに注意。
- コントロールのコツ:揚げ物の頻度を減らす、調理油は控えめに、魚・ナッツ・オリーブオイルを上手に取り入れる。
- 意識すべき点:脂質は1gあたり9kcalと高カロリーなので、「質」の高いものを選んでも「量」が多すぎれば過剰になります。
3-3 たんぱく質 ― 配分・質・タイミングが鍵
- 推奨摂取量の基準:一般成人で体重1kgあたり1.0〜1.2g目安。運動習慣(1回30分以上の運動を週2回以上行い、1年以上継続していること)がある人や筋肉維持・減量期では1.2〜1.5gを目指すこともあります。
- 質と組み合わせ:肉・魚・卵・乳製品・大豆製品をバランスよく使い、必須アミノ酸を補う。植物性+動物性の組み合わせが理想。
- 配分とタイミング:一日のうちでたんぱく質を「朝・昼・夜」に分けて摂取する方が効率的という研究成果もあります(過剰に一回でまとめるより、こまめな分配が望ましい)。
- 目的別戦略:体重維持、筋肉量維持・増加、疲労回復など、目的に応じて量・タイミングを微調整。
4. 理想的なバランスの目安と実践ルール
2025年版の日本人の食事摂取基準では、三大栄養素のエネルギー比率として以下が目安とされています(成人男女、活動レベル・健康状態に応じて調整):
| 栄養素 | 推奨エネルギー比率 | 実践上のポイント |
| 糖質 | 50〜65% | 主食の質を高めて、食物繊維をプラスする |
| 脂質 | 20〜30% | 良質な脂質を意識的に取り入れ、飽和脂肪酸を抑える |
| たんぱく質 | 13〜20% | 毎食たんぱく質源をとり入れ、配分を意識する |
ただし、これは「万人向けの目安」であり、個人差(体重・年齢・活動量・健康目標)が大きいため、一人一人に合わせて調整できると理想的です。
5. 質×バランスが変える体と働き方 — 期待できる効果
- 血糖の安定 → 午後の眠気・集中力の揺らぎ軽減
- 炎症・ホルモンバランス改善 → 疲労感・心身の調子改善
- 筋肉量維持 → 基礎代謝維持・倦怠感軽減・姿勢改善
- 安定したエネルギー供給 → 創造力・判断力の持続
これらはすべて、会社として求められる「働くパフォーマンス」を支える土台になります。
6. 忙しい人でもできる “質とバランスを整える3ルール”
- 主食を少しずつ「質アップ」:白米 → 玄米や雑穀入り、白パン → 全粒パン など
- 毎食にたんぱく源を1つ入れる:肉・魚・卵・豆腐・納豆など、量は体重や目標に応じて
- 調理油・間食を「質」で選ぶ:オリーブオイル・ナッツ・魚由来脂質を意識。ただし量に注意
7. まとめ
三大栄養素をただ「摂ろう・抑えよう」ではなく、「どう選び・どう配分するか」に目を向けることが、日々の体調・集中力・仕事の質を大きく変えます。
夕食だけは雑穀米や麦ごはんにしてみる。
毎日チョコレート菓子を食べているなら、半分をナッツに変えてみる。
毎日メインのおかずがお肉なら、まずは週に2回を魚介類に変えてみる。
できるところから、具体的な行動目標に落とし込んでチャレンジしてみてくださいね!





