サーバントリーダーシップは、「奉仕の精神で部下に接し、導く」という考えをもとにした、従来のリーダーシップとは全く異なる理論です。
そのため、サーバントリーダーシップの導入を検討する際、どのように取り入れればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、サーバントリーダーシップを効果的に活用している企業事例を4つ取り上げて解説します。
実際の事例にはどのようなものがあるのか知りたい場合、ぜひ参考にしてみてください。
資生堂
化粧品メーカーである「資生堂」は、経営改革においてサーバントリーダーシップの理念を取り入れ、これによって業績向上や組織の変革を達成しています。
このサーバントリーダーシップの実践者として知られるのが、「資生堂の再生」をミッションとして抜擢された池田守男氏です。
彼は社長在任中、顧客をピラミッドの頂点に据え、顧客に接する機会が多いビューティーコンサルタントや営業職の従業員の声に重点を置きました。
社長をはじめとするリーダーの使命はそのサポートを行うこととし、結果として売上向上と満足度の高いサービスの提供が実現しました。
良品計画
無印良品で知られる「良品計画」は、業績急落時にサーバントリーダーシップを導入し、その成果として業績の回復と拡大を達成しています。
当時の社長である松井忠三氏は、業績低下が著しかった際、全国の店舗に自ら足を運び、現場の声に耳を傾けました。
この傾聴の結果、課題が浮かび上がり、解決に向けて「MUJIGRAM」と呼ばれる業務可視化のためのマニュアルとシステムが開発されました。
「MUJIGRAM」の特徴は、初めての人でもわかるような具体的な内容から明確な作業目的までが網羅されており、絶えず更新が行われている点です。
従業員の声を大切にしつつ、業務の透明性を確保する手段を講じたことで、サーバントリーダーシップの要素である「傾聴」「概念化」「先見力」が具現化されています。
ダイエー
全国でスーパーを展開する「ダイエー」は、トップダウン経営で成長を続けてきましたが、業績不振の際にサーバントリーダーシップの導入を図りました。
特に生鮮食品の鮮度に関する課題があったことから、当時の社長、樋口泰行氏のもとで結成されたのが、「鮮度向上プロジェクトチーム」です。
樋口氏が全ミーティングに参加し、従業員の意見を積極的に取り入れるなどの取り組みを行い、結果として顧客からの信頼を回復することに成功しました。
また、ダイエーは赤字店舗の売上低下に対処するため、50店舗の閉鎖を決断しています。
樋口氏はこれらの店舗すべてに出向き、従業員に閉鎖の理由と感謝の気持ちを伝えました。
この働きかけにより従業員のモチベーションが向上し、「閉店売りつくしセール」は成功を収めたということです。
同時に異動先の従業員にも働きかけを行い、前年比プラスの売上を達成するなど、積極的な経営戦略が業績向上に寄与しました。
スターバックスコーヒー
有名な世界的コーヒーチェーン、「スターバックスコーヒー」もサーバントリーダーシップの手法を採用しています。
例えば、「人々の心に活力と栄養を与えるブランドとして、世界で最も知られ、尊敬される企業になる」という企業目標は、組織の上層部から一方的に決められたものではありません。
従業員の考えが次第に洗練され、全世界の店舗で共有されるプロセスを経て生まれたものです。
このボトムアップ型のビジョンがあってこそ、世界的なコーヒーチェーンに成長したということができます。
まとめ
今回紹介したサーバントリーダーシップの4つの事例は、企業の経営において経営者が現場の声を尊重し、積極的に活用する重要性を示しています。
従来のトップダウン型思考を変えることで、業績向上につながるといえるでしょう。
ぜひ、事例を参考にして、サーバントリーダーシップを効果的に取り入れてみることをおすすめします。