「マネジメント力を向上させる」と当たり前のように耳にするけど具体的に何をするのか分からない…
マネジメントはどんな組織・企業においても大事な要素でありますが、一方で、言葉の定義や実行のために必要なポイントは、あまり理解されていない場合が多いかもしれません。
そこで、本記事では、「マネジメントの父」と称されるアメリカの経営学者P.F.ドラッカーの言葉からマネジメントの基本をご紹介していきます。
ドラッカーが提唱する考え方は現代の組織づくりにおいても重要なヒントになるでしょう。
ビジネスにおけるマネジメントの定義とは
もともとマネジメント(management)は、「経営」や「管理」、「経営力」という意味を持ちますが、ビジネスにおいてのマネジメントとは、「経営管理」や「組織運営」などを指します。
具体的には、企業が組織の成果を上げるためにヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を活用し、リスク管理の下、目標の達成を目指すことです。
このマネジメントの概念は、ドラッカーの著書『マネジメント』の中で提唱されたものです。
ドラッカーは、2010年頃大ヒットした書籍『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』略して「もしドラ」で興味を持った方も多いのではないでしょうか。
ドラッカーが定義する「マネジメント」と「マネージャー」とは
ドラッカーは著書の中で「マネジメント」と「マネージャー」を以下のように定義しています。
- マネジメント:「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」
- マネージャー:「組織の成果に責任を持つ人物」
マネジメントは、組織の成果を最大化するための要素で、マネージャーは組織の目標達成に責任を持つため、的確なマネジメント力が求められているのです。
企業において管理職がここでいう「マネージャー」の役割を担うわけですが、意義を取り違えてしまっているケースも多く見受けられます。
以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ参考になさってください。
参考記事:
マネジメントが持つ役割について
マネジメントの大きな役割は、組織の成果を最大化するため、「目標・案件・プロセス」を管理し、設定した目標を達成するために組織を運営することにあります。
また、組織は、社会や個人と相互に関係し合うことで成り立ちます。この相関関係の中でマネジメントは組織を機能させるために不可欠なものです。
そのうえでマネジメントが求められている役割として、ドラッカーは以下の3つの考え方を提示しています。
- 組織が果たすべきミッションを達成する
- 組織で働く人を活かす
- 社会に貢献する
これらは、現代の企業が取り組むべき課題として注目されている「ミッション・ビジョン・バリュー」や「パーパス」と言い換えることができます。
マネジメントの実行に必要なスキル
マネジメントは「組織の成果を最大化」するための手段ですが、マネジメントを実行するために必要なスキルについて、ドラッカーは以下の4つを提示しています。
- 意思決定のスキル
- コミュニケーションのスキル
- 管理のスキル
- 分析のスキル
これらは、マネジメントの遂行者であるマネージャーにとって、職務を行う上で何が求められるのかを知るヒントとなるでしょう。
それぞれ以下でご説明します。
意思決定のスキル
マネジメントにおける「意思決定」を行う際は、全員の意見が一致すればいいとは限りません。
ドラッカーは意思決定について
意思決定における第一の原則は、意見の対立を見ないときには決定を行わないことである
としています。
より良い決断には、多様な意見が出ることで見解が対立したり、さまざまな案が挙げられたりする中で選び抜いた意思決定が求められます。
また、多様な意見や複数の選択肢が出てこないときは、意思決定自体を見送る決断も必要になります。
さらに、マネージャーには、組織の目標に沿った明確なビジョンが求められます。方針や判断基準がブレてしまうと部下に不信感を与え、組織を統率する力も弱まってしまうことにもつながります。
コミュニケーションのスキル
複数人が働く組織で仕事をするため、コミュニケーションを図ることは不可欠です。
ドラッカーはコミュニケーションについて
コミュニケーションとは、知覚であり、期待であり、欲求であり、情報法ではない。
と定義しています。
同じ目標に向かって仕事を進めるには、チーム内の認識をひとつにしていくことが重要です。マネージャーは組織全体の目標を掲げ、向かう方向を示すことで、部下に自分の考えを理解してもらう必要があります。
また、ドラッカー曰く
コミュニケーションで最も大切なことは、相手が語らない部分を聞くことである。
とも。
コミュニケーションは一方的なものではなく双方向に形成されるものであることを意識しておきましょう。相手の意見を傾聴し、相互理解を深めることがポイントです。
管理のスキル
人を束ね、仕事で成果を出していくためには、管理のスキルも重要です。
目標の達成に向けて、生産性を高めるために組織を適切に機能させる必要があります。
一人ひとりに適切な役割・仕事を割り当て、それぞれが得意な分野で力を発揮することが理想的な形ですが、そのためには、「評価測定」を行い、定期的に評価・フィードバックをすることが有効です。
部下の理想や目的、欲求、ニーズをきちんと評価し、評価に対する具体策を管理することが、組織の一人ひとりが自らの位置付けや役割を理解していくことにつながります。
分析のスキル
ドラッカー曰く、マネジメントには長期・短期の「時間軸での視点」で動くことも重要であるとしています。
そのため、経験値や勘のみに頼り無闇に動くのではなく、長期的な目標も見据えて客観的な視点から検証し、行動していかなければなりません。
そこで役立つのが、分析のスキルです。
組織の成果を最大化するためにはヒト・モノ・カネ・情報の経営資源を活用し、これまで蓄積されてきた情報や知恵、技術などから、リスクの分析および管理が必要です。
まとめ
今回は、ドラッカーから学ぶマネジメントの基本と題し、現代にも通じるヒントを探っていきました。
ドラッカーは著書『マネジメント』の中で「マネジメントのほとんどがあらゆる資源のうち、人が最も活用されず能力も開発されていないことを知っている。だが、現実には、人のマネジメントに関するアプローチのほとんどが、人を資源としてではなく、問題、雑事、費用として扱っている」と指摘しています。
現代の企業が抱える問題に通じるような言葉は、ドラッカーの時代からその宿題は課されたままになっているように感じます。
重要な資源である人にフォーカスした経営ができる企業は、組織に所属する人たちの自己実現の場をちゃんと与えることができるため、組織の一人ひとりが「自分ゴト」として仕事に取り組む主体的な組織へと成長できるでしょう。
そこで働く人がそれぞれ自信を持っているところは結束が強く、同じ目標に向かって一人ひとりが自分の役割に応じて動くため推進力が大きくなります。
結果的に、社会へ企業の存在意義を示し、企業が持続的に発展していけるようになるのではないでしょうか。
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