近年、リーダーとメンバーとの信頼関係を構築するための手法として、「サーバントリーダーシップ」に注目が集まっています。
メンバーの自主性をより促すためトップダウン型からの変革を考えた場合、サーバントリーダーシップの導入は大変有効です。
また、シェアドリーダシップとの関連で興味を持っているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、サーバントリーダーシップの概要や従来の支配型リーダーシップとの違いを解説し、今注目されている背景をご紹介します。
サーバントリーダーシップの概要
「サーバントリーダーシップ」は、「奉仕の精神で部下に接し、導く」という考え方をもとにしたリーダーシップ理論です。
1970年、ベトナム戦争の泥沼化やウォーターゲート事件などを時代背景に、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ氏がヘルマン・ヘッセの短編小説「東方巡礼」から着想を得て提唱しました。
「サーバント(servant)」という言葉には、召使いや奉仕する人という意味があり、サーバントリーダーシップは「奉仕型」のリーダーシップと言うことができます。
リーダーが部下に対する傾聴の姿勢を持ち、自主性を認めながらそれぞれの能力の最大化を図ることで、目的を達成するというスタイルが特徴と言えます。
そのため、組織において協力し合う関係が生まれやすい点がメリットです。
従来の支配型リーダーシップとの違い
従来の「支配型リーダーシップ」は、明確な上下関係と強い統率力に基づくリーダーシップで、リーダーがトップダウンで指示や命令を出し、それに部下が従うことで目標を達成してきました。
一方、サーバントリーダーシップでは、リーダーが部下の話をしっかり傾聴することで関係を築き、ともに協力し合いながら目標を達成します。
また、リーダーが部下に対して支援を行うことで信頼が得られる点もサーバントリーダーシップの特徴です。
サーバントリーダーシップの発揮によって、部下の強みや自主性を引き出し、積極的な行動へ導くことが可能です。
従来の支配型リーダーシップは恐怖心や義務感で部下を行動させるという点が大きな特徴ですが、サーバントリーダーシップでは部下との信頼関係を大事にすることで部下自身が考えて行動するようになります。
このように、サーバントリーダーシップは、これまでの支配型リーダーシップとは正反対の考え方と言えます。
注目されている背景とは?
経済成長が著しかった時代では、リーダーが強い意志や価値観を貫くことで部下を強力にけん引していくスタイルが主流でした。
しかし、現在は、不確実で予測が困難な「VUCA時代」に突入しており、ビジネス環境が大きく変化し、顧客ニーズも多様化しています。
このような時代の中で企業が成長していくためには、不測の事態に柔軟に対応できる組織づくりが欠かせません。
リーダーがすべてを管理して意思決定していく従来のスタイルでは対応が遅れてしまうため、メンバー一人ひとりが主体性を持った組織にしていく必要があります。
また、必ずしも一人のリーダーの意見が正しいとも言えないことから、さまざまな経験や知識を持った人材の活用が求められます。
そのため、サーバントリーダーシップによって、個性を発揮しながら行動できる人材を育成することが重要です。
まとめ
サーバントリーダーシップは、「奉仕の精神で部下に接し、導く」という考え方をもとにした「奉仕型」のリーダーシップ理論です。
傾聴などを行って部下との信頼関係を築き、部下自身が考えて行動するように促すのが特徴で、リーダーが部下に命令や指示を出して統率する、従来の支配型リーダーシップとは大きく異なります。
不確実で先が読みにくいVUCA時代において、サーバントリーダーシップは企業の成長に不可欠な考え方だと言えます。
ぜひ、自社へのサーバントリーダーシップの導入を検討してみてはいかがでしょうか。