コンプライアンス研修を実施する際はテーマや内容を決める必要がありますが、「なかなか決まらない」「ネタが尽きてきていて困っている」という方も多いかもしれません。
研修に使えるネタを見つけるには、いくつかのポイントを押さえておき、さまざまなテーマを把握しておくとスムーズに進められます。
今回は、コンプライアンス研修についておさらいをした上で、ネタ探しのポイントや活用できるテーマを紹介します。
コンプライアンス研修のおさらい
企業の不祥事防止や価値向上のため、仕事に関する法律や規律、コンプライアンスの重要性などを学ぶ研修のことをコンプライアンス研修と言います。
社員一人ひとりがコンプライアンスについて学ぶことで全体の意識も向上することから、今やコンプライアンス研修の実施は企業にとって欠かせないものとなっています。
コンプライアンス研修を実施する際は、まず目的を明確にしてからテーマや内容を決定し、対象社員と研修形式を決めていくことが一般的です。
そのため、目的を明確にした段階でネタを探しておく必要があります。
ネタ探しのポイント
研修内容・テーマのネタを探すためにはポイントを押さえておくと良いです。
ネタ探しのポイントとしては、主に下記の2つがあります。
- 事例から探す
- 公的な情報から探す
それぞれ説明していきます。
事例から探す
コンプライアンス研修は具体的な事例を交えながら行うことで、受講者の知識習得や学習意欲に大きな効果があります。
よって、研修のネタは事例から収集すると効率的です。
主な事例を紹介します。
同業種の事例
ネタ探しに最もおすすめなのが、同業種の他社による事例を集めることです。
同業種の事例をネタにすることで、コンプライアンスの問題やリスクがイメージしやすくなります。
また、仕事の状況とコンプライアンス違反が容易に結び付けられるため、自分の意識が高まるのはもちろん、今後の対策を考え出すきっかけにもなります。
メディアで取り上げられた有名企業の事例
近年、メディアで取り上げられた有名企業の事例をネタにするのも効果的です。
世間の関心が集まったニュースは受講者も関心が高い場合が多く、興味を持って研修に取り組めます。
自分の行動がどのように社会に影響を与えるのか、理解しやすくなる点もメリットです。
公的な情報から探す
省庁や関係団体のホームページでは、コンプライアンスに関する情報が公開されています。
最新の情報を確認できるだけでなく、違反事例が掲載されている場合も多いため、効率的なネタ収集が可能です。
コンプライアンスに関わる主な省庁として下記が挙げられます。
- 厚生労働省
- 法務省
- 経済産業省
- 消費者庁
それぞれについて説明します。
厚生労働省
ハラスメント防止の旗振り役として、各種ハラスメントや労働基準法、労働安全衛生法などの労務関連を取り扱っています。
ホームページには、ハラスメントを防ぐ方法や労働基準法の適用方法などが掲載されているため、目を通しておくことが大切です。
法務省
法令を扱う法務省では、企業の人権に関する研修について資料や動画を公開しています。
参考:企業における人権研修~企業の人権研修担当の方々へ~|法務省
経済産業省
外国為替や輸出入といった対外取引の管理や不正競争防止法に基づく違反の取り締まりなどを行っています。
ホームページには、外国企業との取引や為替取引の不正に関するコンプライアンス違反の事例が取り上げられています。
消費者庁
消費者庁のホームページには、景品表示法に基づく不当表示や、消費者が商品を購入したり営業を受けた際にトラブルになったりした事例が掲載されています。
ネタ探しの参考になりやすい、身近で起こり得る事例が多い点が特徴です。
コンプライアンス研修のテーマ
次に、ネタ探しに使えるコンプライアンス研修のテーマを紹介します。
主なテーマは下記の4つです。
- ハラスメント
- 情報漏洩
- 著作権・意匠権・商標権
- 社内の不祥事
それぞれ解説します。
ハラスメント
「ハラスメント」は、コンプライアンス研修で最も取り上げられやすいテーマです。
2020年6月、通称パワハラ防止法と呼ばれる「改正労働施策総合推進法」が施行され、パワハラを防止する措置を取ることが中小・大手企業すべてに義務付けられています。
起こりやすい主なハラスメントは下記の4つです。
- セクシュアルハラスメント
- パワーハラスメント
- マタニティハラスメント
- リモートハラスメント
罰則は適用されないものの、必要に応じて厚生労働省から企業に対し助言・指導・勧告が行われます。
企業名が公表されることでイメージを大きく損なう恐れもあるため、社員全員が認識しておく必要があります。
情報漏洩
情報漏洩や情報セキュリティに関するテーマもコンプライアンス研修のネタとして活用可能です。
情報セキュリティの知識が不足した状態で業務を行うと、ウイルスの感染、顧客の機密情報や個人情報の漏洩、システム障害など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
特に、社員のミスや不正による個人情報の漏洩は企業に大きなダメージを与えます。
そのため、事例を用いた研修で危機感を持ってもらうことが重要です。
著作権・意匠権・商標権
コンプライアンス研修のネタとして、著作権や意匠権、商標権などの知的財産権に関するテーマも使えます。
例えば、第三者が書いた文章の安易なコピペ使用、商標登録されているロゴマークの無断使用などは知的財産権の侵害にあたります。
発覚すれば莫大な損害賠償金を請求されるおそれがあるため、知識の習得が必要です。
社内の不祥事
社内の不祥事もコンプライアンス研修のテーマとして使いやすいものの一つです。
社内で起こり得る不祥事として主に次の5つがあります。
- 横領
- 背任
- 窃盗
- 誹謗中傷
- サボり
これらは注意喚起だけでなく、管理職の部下との関わりにも関連するため、研修の良い題材になります。
まとめ
コンプライアンス研修を準備する際は、ネタ探しのポイントを押さえ、活用できるテーマを把握しておくことが大切です。
コンプライアンス研修のネタにはさまざまなものがあり、これまでと違った視点からも収集することができます。
ぜひ、今回の記事を参考にしてネタを見つけ、自社に最適なテーマ・内容の研修を実施しましょう。