メンタルヘルスケアは、重要さを理解した上で、職場での取り組み方法についても把握しておく必要があります。
従業員のメンタルヘルスの取り組み方法や事例を知り、自社で実践したいという企業の担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、職場におけるメンタルヘルスケアの取り組み方法を解説し、企業事例を3つ紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。
職場でのメンタルヘルスケアの取り組み方法
職場におけるメンタルヘルスケアの取り組み方法として挙げられるのは、次の3つです。
- コミュニケーション促進による職場の活性化
- 定期的なストレスチェックと組織的な対応
- 専門家との連携によるサポート体制の確立
それぞれ解説します。
コミュニケーション促進による職場の活性化
職場におけるメンタルヘルス対策の基盤となるのが、従業員間のコミュニケーション活性化です。
近年、リモートワークの普及で従業員の孤立が懸念されています。
これに対してはオフィス内でのモニター設置による顔の見えるコミュニケーションが効果的です。
さらに、オフィス内での働き方についても、デスクレイアウトの工夫や定期的な面談機会などによって、従業員同士が自然に交流できる環境を整備することが大切です。
定期的なストレスチェックと組織的な対応
企業全体でメンタルヘルスケアを推進するためには、定期的なストレスチェックの実施が不可欠です。
個人の状態を把握するだけでなく、得られた結果を組織全体で共有し、職場環境の改善に活用することで、より効果的なメンタルヘルスケア体制を構築できます。
専門家との連携によるサポート体制の確立
メンタルヘルスケアの実効性を高めるためには、産業医やエリア保健師との連携が重要な役割を果たします。
特に、全国規模で事業を展開する企業では、各地域に配置されたエリア保健師が本社と連携しながら、地域の特性に応じたケアを提供することが可能です。
また、専門家による定期的な研修の実施は、従業員のメンタルヘルスに対する理解を深め、自身の心身の変化に対する気づきを促進します。
このような専門家との連携により、従業員が気軽に相談できる環境が整備され、より効果的なメンタルヘルスケアが実現できます。
メンタルヘルスケアの企業事例
ここでは、メンタルヘルスケアの3つの企業事例を紹介します。
メンタルヘルスケアの導入を検討する際は、ぜひ参考にしてみてください。
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、従業員のメンタルヘルスケアに先進的に取り組んでいる企業として知られています。
同社では、従業員の心身の健康管理を重要な経営課題と位置づけ、包括的なケアシステムを構築しています。
ヤフーが行ったことは次のとおりです。
まず、従来の健康推進センターを「グッドコンディション推進室」へと改称しました。
これは前社長が提唱した「コンディションを整える」という理念に基づいた改革です。
この部署では、産業医9名と保健師などの看護職6名を配置し、身体的な不調だけでなく、心理的な悩みやストレスまで幅広く対応する総合的な相談窓口として機能しています。
次に、マネジメント面での取り組みとして、上司と部下による「1on1」ミーティングを週1回の頻度で実施しています。
従業員の状態を定期的にモニタリングすることで、問題の早期発見と対応を可能にしている点が特徴です。
さらに、メンタルヘルス不調により休職した従業員のための「職場復帰支援プログラム」を整備しました。
上司の積極的な参加を促しているのがこのプログラムの特徴で、復職者が安心して職場に戻れる環境づくりを実現しています。
三菱電線工業株式会社
三菱電線工業株式会社では、従業員の心の健康維持と活力ある職場環境の構築を目指し、体系的なメンタルヘルスケアを実践しています。
同社が実施している取り組みは大きく3つの施策からなります。
第一に、従業員のメンタルヘルス状態を正確に把握するため、「ストレスチェック制度」を強化しました。
収集したデータを活用して効果的な対策を立案するとともに、従来は不定期だったセルフケアおよびラインケア研修を年1回の定期開催に改善しています。
第二の施策として、健康経営の一環として「職場内のコミュニケーション活性化」を重点的に推進中です。
従業員間の対話を促進することで、職場の雰囲気改善や相互理解の深化を図り、コミュニケーション不足の解消に成功しています。
さらに、従業員が主体的に参加する「ワークショップの実施」が第三の施策です。
部署や役職を超えたグループワーク形式の取り組みを通じて、従業員のエンゲージメント向上と創造性の強化が図られています。
ダイハツ工業株式会社
ダイハツ工業株式会社は、メンタルヘルスケアの取り組み方針を大きく転換し、より予防的なアプローチへと舵を切りました。
同社には3名の常勤臨床心理士が在籍し、問題が発生した後の対応(二次予防)や重症化防止(三次予防)に重点を置いていました。
しかし、問題の発生自体を防ぐ一次予防へと注力すべく、新たなストレスチェック制度の導入に踏み切ったのです。
この制度の特徴は、数値データに過度に依存することなく、各部署や従業員個々の実情に合わせた改善策を策定する点です。
具体的には、ストレスチェックで得られた分析結果を全社的な報告会で共有するとともに、各部署へ個別にフィードバックを行っています。
このように、分析結果を組織全体で共有し、それを実践的な施策へと落とし込むアプローチにより、メンタルヘルスケアを重視する企業文化の醸成に成功しています。
まとめ
職場におけるメンタルヘルスケアは、企業の持続的な発展に不可欠な要素です。
今回の記事で紹介した3社の事例からは、専門的なサポート体制の構築やコミュニケーション活性化への取り組み、予防重視型アプローチなど、それぞれの企業が特徴的な取り組みを実践していることがわかります。
ぜひ、これらの事例を参考に、自社に適したメンタルヘルスケアの施策を検討してみてください。