人材育成の方法にはさまざまものがありますが、近年ではAIやICT(情報通信技術)といったテクノロジーを取り入れたものがトレンドになっています。
このようなIT技術を活用した人材育成に力を入れていきたい、と考えている方も多いかもしれません。
前回は、パーソナライズドラーニングと似ている言葉として「アダプティブラーニング」を取り上げ、その違いについて解説しました。
今回の記事では、アダプティブラーニングについてより詳しく、そのメリットや注意点などを解説します。
アダプティブラーニングとは?
アダプティブラーニングは、「適応性のある」という意味の「Adaptive」と「学習」を意味する「Learning」を合わせた言葉で、「適応学習」と訳されることが多いです。
文部科学省は、「すぐにでも着手すべき課題」としてアダプティブラーニングの推進を取り上げ、その中でアダプティブラーニングのことを『学習データ等を活用した学習状況の「見える化」等による個に応じた指導』と定義しています。
具体的には、アダプティブラーニングとは、個々の学習進捗や正解率などを蓄積・分析して理解度を把握し、それぞれに合った教材などを自動抽出するといった仕組みになります。
アダプティブラーニングは、これまでの「個人授業」などに代わる新しい学習方法として教育現場での活用が期待されており、さらに企業の人材育成にも効果があるとして導入する企業が増加中です。
関連する言葉として、オンライン通信で学習する「e-ラーニング」がありますが、アダプティブラーニングでは双方向でのコミュニケーションをはじめとする、より多様化されたシステムが特徴となっています。
参考:Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性|文部科学省
アダプティブラーニングのメリット
それでは、アダプティブラーニングを企業の人材育成に導入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
主な3つのメリットを下記に挙げてみます。
- 個々の習熟度に合わせた同時教育が可能になる
- 学習状況を可視化できる
- 指導のクオリティを均質化できる
それぞれ解説します。
個々の習熟度に合わせた同時教育が可能になる
アダプティブラーニングでは、社員個々の習熟度や理解度に合わせた効率的な同時教育が可能です。
それぞれのレベルに合わせた内容や課題が提供され、理解できないまま先に進んでしまうことや理解できている部分を何度も学ぶといったことがありません。
また、苦手な分野は集中的な学習で弱点をクリアしながら進めることができ、得意分野はさらにハイレベルな学習で実力を伸ばすことも可能です。
このような効率的な学習によって、同時に短期間での知識習得が可能なため、企業側としても人材を早い段階で戦力化できる点がメリットになります。
学習状況を可視化できる
アダプティブラーニングでは、システム上で学習履歴を管理することができます。
学習内容や終わるのにかかった時間、課題の得点など、一人ひとりの学習状況を可視化できるのがメリットの一つです。
こういった学習履歴をもとに、管理者は社員に対してフォローやアドバイスを的確に行えます。
指導のクオリティを均質化できる
ITによる客観的なデータの蓄積と分析に基づいた学習プログラムの提供が、アダプティブラーニングの大きな特徴です。
そのため、教える側の指導力による偏りがなくなり、指導のクオリティが均質化されます。
また、これまでの効果的な指導方法を仕組みに取り入れることで、高水準の学習が可能となります。
アダプティブラーニングの注意点
このように、メリットの多いアダプティブラーニングですが、一方、行うにあたって注意する点が主に2つあります。
- ある程度のコストがかかる
- 学習意欲の維持が難しい
それぞれについて説明します。
ある程度のコストがかかる
アダプティブラーニングを人材育成に取り入れるには、通常、ある程度のコストがかかります。
例えば、適切な学習教材がそろったe-ラーニングシステムを導入するのはもちろん、管理する人のコストが発生する可能性もあります。
また、既存のe-ラーニングシステムが適さない場合、自社のニーズに特化したプログラムの作成を外部に依頼しなくてはいけません。
これまで利用していた学習内容をアダプティブラーニングに反映させるには、費用的にも人的にもコストがかかる点に注意が必要です。
学習意欲の維持が難しい
アダプティブラーニングは、e-ラーニングを使った自発的な学習方法とも言えます。
そのため、集団での研修とは異なり、学習意欲を維持するのが難しい一面があります。
全員がしっかりと学習を進められるよう、解答提出の締め切りを設定したり、クイズ形式を取り入れたりする工夫が大切です。
まとめ
アダプティブラーニングは、IT技術を用いて学習者個々に最適な学習を行う方法であり、近年では教育現場だけでなく企業での人材育成にも活用されています。
さまざまな学習メリットがある一方、コスト面などで注意すべき点もあるので導入には検討が必要です。
自社で効率的に人材育成を行うには、アダプティブラーニングについての理解を深めておくことをおすすめします。
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