2023.09.19
チームづくり
目次
プロセスマネジメントの効果的な導入を検討する場合、具体例を把握しておくことも重要です。
「実際の事例として、どのようなものがあるのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、プロセスマネジメントの2つの企業事例と失敗例を取り上げて解説していきます。
ここでは、プロセスマネジメントを実際に行っている企業の事例を2つ紹介します。
大阪府に本社を置くロイヤルホテルは、1935年の開業以来、国賓・皇室など国内外の顧客を迎えるホテルとして、感動と満足の追求を主軸とする経営を実践しています。
現在、「リーガロイヤルホテル(大阪)」を中心に、全国13のホテルを運営中です。
ロイヤルホテルでは「5S運動」の徹底を行い、作業品質向上のための業務プロセス改善を行いました。
整理、整頓、清掃、清潔、しつけの「5S」によって業務に必要なものを絞り、作業スピードが17%向上(平均値)したそうです。
また、職場環境が整うことで導線確保や作業効率アップはもちろん、ES(従業員満足度)も向上したと発表されています。
近年では基幹システムの更改を契機に、ホテルの主要業務プロセスの可視化にも取り組み、グループ全体の業務改革と標準化を図っています。
ANA(全日本空輸)では、さまざまな業務プロセス改革を行っています。
例えば、2012年4月から業務にタブレットPC(iPad)を導入し、客室乗務員、パイロット、整備士、空港係員にそれぞれ配布することで職場環境のペーパーレス化を実現しました。
これにより、紙資源による約4億円の経費削減を成功させています。
また、iPadには各種業務に必要な情報やマニュアルが入っており、いつでもどこでも検索できることで、現場でのきめ細かなサービスにつなげています。
さらに、荷物預かり業務ができるAIロボットと自動機を導入・活用することで、カウンター人員を約70%削減、乗客の待ち時間を最大80%削減しました。
数々の業務プロセス改革を行ってきたANAですが、「事業本質を侵さない改革を行う」ことを重要視して推進を図っている点が大きな特徴です。
エアライン業界の事業本質は「安全」です。
顧客・パイロット・乗務員・整備士・空港係員などの安全性を侵害してしまうような改革では、ビジネスそのものが破綻するおそれがあります。
そのため、芯の通った信念のもとで業務プロセス改革を進めているということです。
プロセスマネジメントの失敗例としてよくあるのが、下記の2点です。
それぞれ解説します。
事業本質を理解しないまま進めるプロセスマネジメントは、失敗する可能性が高いです。
上記で紹介したANAの「安全性を侵害する改革は行わない」という事例のように、本質を理解したプロセスマネジメントを行うことが重要です。
また、何がプロセスマネジメントの目的なのか、どこに向かうのかが共有されていないと、メンバーは細かい判断を行えないものです。
そのため、計画から実行に至るまで、メンバーとの密なコミュニケーションを保つ必要があります。
加えて、初めから理想だけを追い求めても、現実の結果には結びつきません。
経営層がしっかり関与し、現場の実情を考慮したプロセスマネジメント計画を立てることが大切です。
失敗例として多いのが、最初から全社的にプロセスマネジメントを導入してしまうことです。
プロセスマネジメントは、一つの業務においても、入念な課題把握や解決策の立案、実現と評価・改善を繰り返す必要があります。
規模が大きいほど効果が大きいと思われがちですが、いきなり全社的に取り入れても効率的かつ最適化された業務プロセスの改善にはつながりません。
まずは、優先度や状況に応じて改善すべき業務プロセスを決定し、慎重に実践することで継続的な成果が上げられます。
プロセスマネジメントは、さまざまな企業で取り入れられていますが、事業本質や目的、実情を明確にしておくことで成功につながりやすいと言えます。
また、一つの業務プロセスから慎重に改善していくことも重要です。
ぜひ、今回ご紹介した2つの企業事例と失敗例を参考に、プロセスマネジメントの効果的な導入を図りましょう。
この記事を書いた人
泉水 ちか
東京都在住のWEBライター。フリーランスで様々なジャンルのライティングをこなす。人のこころに興味があり、心理学・カウンセリングの資格を多数取得。マーケティングにも活かすべく奮闘中。趣味は映画鑑賞(ホラーやアクション!)と温泉・銭湯めぐり。長年、放送業界にいたため音楽に詳しい。運動嫌いのインドア派だが夏フェスは好き。ラーメンと寿司と焼肉があれば大丈夫。
2024.11.05
従業員幸福度を上げるための取り組みとは?調査方法やポイントも紹介
チームづくり「従業員幸福度」を上げることで働きやすい職場環境が整うなど、企業にはさまざまなメリットがあります。 しかし、「どのように取り入れればいいのかわからない」「具体的な取り組み方法を知りたい」という方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、従業員幸福度の調査方法や具体的な取り組み方法、ポイントを紹介します。 従業員幸福度を上げる方法を知り、自社に取り入れたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。 従業員幸福度の調査方法 従業員幸福度を高めるためには、実態を詳しく分析することが重要です。 従業員幸福度の調査方法は、主に下記の2つになります。 アンケート・インタビュー 定期的な意識調査・自己評価 それぞれ解説します。 アンケート・インタビュー 従業員幸福度を調査する方法として、アンケートやインタビューの実施が挙げられます。 質問票への回答や対話形式の聞き取りを行うことで、従業員満足度を左右する要素や働く環境への率直な思いの収集が可能です。 特にアンケートでは、無記名方式の採用によってより本音に近い意見を引き出せる効果が期待できます。 定期的な意識調査・自己評価 定期的な意識調査を通じて、従業員の幸福度がどのように推移しているかを効果的に把握できます。 この場合、調査項目として、職場の雰囲気や業務のやりがい、同僚との協力関係、上司とのコミュニケーションなど、多角的な視点を含めることが重要です。 継続的な観察により、新たな課題や向上すべき点が明確になってきます。 また、幸福度を測る自己評価を行い、自身を見つめ直してもらうのも効果的な方法です。 具体的な取り組み方法 具体的な取り組み方法は、主に下記の3つです。 コミュニケーションの促進 従業員の成長支援 組織文化・価値観の醸成 それぞれ解説します。 コミュニケーションの促進 職場での円滑なコミュニケーションは人間関係を向上させ、従業員幸福度を高めます。 コミュニケーションを促進させるには、定期的な1on1ミーティングやフリーアドレス制の導入が効果的です。 また、部門間の交流を深めるイベントを企画したり、オンライン・オフラインでのチームビルディング活動を実施したりすることで、組織全体の対話の活性化が可能です。 さらに、経営層と従業員が直接対話できる機会を設ければ、相互理解が深まり、風通しの良い職場環境の構築に役立ちます。 従業員の成長支援 ふだんの業務だけでなく、学ぶ機会があることで従業員満足度の向上につながります。 それぞれの成長をサポートできるような、体系的なキャリア開発プログラムや各種スキルアップ研修を提供することが重要です。 また、経験豊富な従業員が若手の成長を支援するメンター制度の導入で、より実践的な学びの機会を創出できます。 さらに、公平な評価制度の確立や資格取得支援などの自己啓発支援制度の整備も、成長意欲の促進に効果的です。 組織文化・価値観の醸成 従業員幸福度には組織文化や価値観も関連します。 組織の一体感を高めるには、経営理念を明確に示し、浸透させる活動を継続的に行うことが不可欠です。 たとえば、企業理念に基づく行動指針(クレド)を策定し、部門を超えた価値観共有の場を設ければ、組織としての一体感を醸成できます。 従業員の家族も含めた福利厚生の充実によっても、より深い信頼関係を築くことが可能です。 従業員幸福度を高めるポイント 従業員幸福度の向上には、組織全体による包括的な取り組みが欠かせません。 上記で取り上げた取り組みにおいて特に重要なポイントは、従業員の努力や成果に対して適切な評価と感謝を示すことです。 従業員幸福度が高まった結果として、企業全体の生産性向上と持続的な成長が実現され、従業員と組織の双方にとって望ましい好循環が生まれます。 まとめ 従業員幸福度の向上は、企業の持続的な成長と発展に欠かせない重要な要素です。 アンケートやインタビュー、定期的な意識調査といった実態把握のもと、部門を超えたコミュニケーションの活性化、そして体系的な成長支援とキャリア開発など包括的なアプローチが求められます。 幸福度向上への取り組みは一朝一夕には実現できませんが、長期的な視点で計画的に進めていけば、組織全体に変化をもたらすことができます。 自社の状況に応じた施策を検討し、着実に実施していくことが望ましいでしょう。
2025.05.31
五月病とは?なりやすい人の特徴や症状について解説
チームづくり5月に入ると新入社員や異動した社員のパフォーマンスが低下し、「なんとなく元気がない」「遅刻や欠勤が増えた」といった変化が見られる場合も多いのではないでしょうか。 これらは「五月病」の可能性があります。 担当者として、どのような社員がかかりやすいのか、どんな症状が現れるのかを把握しておくことは、早期発見・早期対応のために重要です。 そこで本記事では、五月病の概要やなりやすい人の特徴、具体的な症状について解説します。 ぜひ、参考にしてみてください。 五月病とは 「五月病」とは、4月に新しい環境での生活をスタートし、その緊張状態が続いた後、ゴールデンウィークの連休で緊張が緩み、5月初旬頃から現れる心身の不調のことです。 正式な医学用語ではなく、医学的には「適応障害」や初期の「うつ病」として診断されることがあります。 五月病は、就職や転勤、異動などで環境が変わった後に生じるストレスが原因となり、心と身体のバランスが崩れることで発症します。 主な要因として挙げられるのは、次の4つです。 新生活への適応努力によるストレスの蓄積 春から初夏への季節の変化による体調変化 連休明けの現実とのギャップ 新しい人間関係構築の負担 放っておくとうつ病へと進行するリスクもあるため、早めの対策が必要です。 五月病になりやすい人の特徴 五月病は誰にでも起こりうるものですが、特に次のような特徴を持つ人がなりやすいとされています。 几帳面で真面目なタイプ 責任感が強いタイプ 人見知りで人間関係が苦手なタイプ 悩みを一人で抱え込むタイプ それぞれ解説します。 几帳面で真面目なタイプ 几帳面で真面目、完璧を求める傾向がある人は、環境の変化に対応しようと無理をしがちです。 ミスを許せず、常に高い基準を自分に課すため、些細な失敗でも過度に落ち込んでしまいます。 「もっと頑張らなければ」という思いから自分を追い詰めて心身に負担をかけ、疲労が蓄積していきます。 責任感が強いタイプ 責任感が強いタイプの人は、周囲の期待に応えようとするあまり、自分の限界を超えて無理する傾向があります。 「嫌」と言えずに仕事を引き受け、ストレスが溜まりやすくなっているかもしれません。 人見知りで人間関係が苦手なタイプ 新しい環境では人間関係の構築が必要ですが、人見知りや対人関係に不安を感じる人は、この過程でより大きなストレスを抱えやすくなります。 雑談や初対面の会話に緊張し、毎日の人間関係がエネルギーを消耗する大きな要因となります。 悩みを一人で抱え込むタイプ 「こんなことで相談してはいけない」「迷惑をかけたくない」と考え、悩みを一人で抱え込む人は、心の中にストレスが蓄積しやすくなります。 特に新しい環境では「弱みを見せたくない」「自分だけができていないと思われたくない」という思いが強く、問題を表面化させず内側に溜め込んでしまいます。 結果として、小さな悩みも大きなストレスに発展しやすくなるのです。 五月病の症状 五月病の症状は、「身体」「こころ」「行動」の3つの側面に現れ、それぞれが複雑に絡み合いながら、「自分でも理由がわからないつらさ」として表れます。 ここでは、それぞれの側面の症状について解説します。 身体的不調 身体的な症状は、自律神経のバランスが崩れることで引き起こされます。 睡眠障害:寝つきが悪い、途中で目が覚める、熟睡感がない 疲労感・倦怠感:十分休んでも疲れが取れない、朝起きるのがつらい 頭痛やめまい:慢性的な頭痛や立ちくらみを感じる 食欲不振:食事がおいしく感じられない、胃が重く感じる ストレスによって交感神経(活動モード)が過剰に働き、副交感神経(休息モード)がうまく機能しなくなることで身体が常に緊張状態となり、疲れが蓄積していきます。 精神的不調 心の面での不調も顕著に現れます。 気分の落ち込み:理由なく気分が沈む、何をしても楽しくない 無気力感:やる気が出ない、何もする気になれない 集中力の低下:仕事や勉強に集中できない、ミスが増える 不安感:漠然とした不安を感じる、落ち着かない 自己否定感:「自分はダメだ」という思いが強まる これらの精神症状は、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスが崩れることも関係していると言われています。 行動変容 五月病は日常の行動パターンにも変化をもたらします。 遅刻・欠勤の増加:朝起きられない、学校や会社に行くのが億劫になる 対人関係の回避:人との交流が面倒に感じられ、一人でいる時間が増える 生活リズムの乱れ:夜更かしが増える、食事時間が不規則になる 趣味への興味喪失:これまで楽しんでいた活動にも関心が持てなくなる 行動変化は心身の不調が表面化したサインであり、気づきやすい変化でもあります。 早期発見・対応のきっかけになることもあるため、自分や周りの人の変化に注意を払うことが大切です。 まとめ 五月病は、環境変化などによるストレスが原因で起こる心と身体の不調です。 几帳面で真面目、責任感が強い、人見知りなどの特徴を持つ人がなりやすく、睡眠障害や疲労感などの身体的不調、気分の落ち込みや無気力感などの精神的不調、遅刻・欠勤の増加などの行動変化として現れます。 放っておくとうつ病に進行するリスクもあるため、早めの対処が必要です。 今回の記事を参考に、五月病の兆候に早めに気づき、社員の健康維持と組織の生産性向上につなげていきましょう。
2024.11.12
「人材定着」とは?概要やメリット、定着しない原因を紹介
チームづくり「人材定着」は、昨今の企業における最重要課題の一つです。 人を採用しても早期退職が相次いだり、なかなか定着に結びつかなかったりと、人材定着に関する悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。 今回の記事では、人材定着の概要やメリットを解説し、定着しない原因についても紹介します。 人材定着について正しく理解し、従業員が定着しない原因を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。 人材定着の概要 「人材定着」とは、従業員がとどまり、長期的に働き続けることです。 人材を「保持」「維持」するという意味で「リテンション」と呼ばれる場合もあります。 効果的な人材定着は、業務効率の向上や従業員のモチベーション維持、採用コストの削減など、企業に多面的な価値をもたらします。 日本企業における人材定着の課題は、従来の雇用慣行との関係で理解するとよいです。 これまで日本では、年功序列や終身雇用を前提とした新卒一括採用のメンバーシップ型雇用が主流でした。 一方、欧米ではスキルや成果を重視したジョブ型雇用が一般的です。 グローバル化の進展に伴い、日本でも人材の流動化が加速しています。 その結果、企業は従来の雇用慣行だけでは対応できない人材獲得競争に直面しており、戦略的な人材定着施策の重要性が増しているといえます。 人材定着のメリット 人材定着のメリットは、下記の3つです。 業務効率と組織力の向上 コストと採用負担の軽減 業績と経営の安定化 それぞれ解説します。 業務効率と組織力の向上 長期的に働く従業員が増えることで、業務効率と生産性が大きく向上するのがメリットの一つです。 豊富な経験と深い業務理解を持つ従業員は、効率的に仕事を進められるだけでなく、部署内のチームワーク強化や業務改善にも貢献します。 また、企業文化やノウハウが確実に継承され、組織としての競争力も高まっていきます。 コストと採用負担の軽減 人材定着率が高まると、新規採用や教育研修にかかるコストを大幅に削減できます。 また、継続的な採用活動が不要となり、新人教育の負担も最小限に抑えることが可能です。 人事部門の担当者は、戦略的な人材育成など、より付加価値の高い業務に注力できるようになります。 業績と経営の安定化 人材定着は企業の経営基盤を強化し、持続的な業績の安定をもたらします。 長期にわたって働く人材が確保できることで、一貫した事業戦略の立案と実行が可能となるからです。 また、人材定着は顧客との信頼関係構築にも役立ちます。 一定の品質とスピードでサービスを提供し続けることで、顧客満足度の向上と長期的な取引関係の維持が実現します。 人材が定着しない原因 人材が定着しない原因として挙げられるのは、次の3点です。 業務負荷の偏重 提案や意見が通りにくい組織文化 自分の希望とのミスマッチ それぞれ解説します。 業務負荷の偏重 優秀な人材ほど仕事の処理能力が高く、結果として過度な業務が集中しがちです。 通常業務に加えて重要プロジェクトへの参加要請も増え、徐々に負担が蓄積していきます。 このような状況が続くと、心身の健康を損なうリスクが高まり、やむを得ず退職を選択するケースが少なくありません。 提案や意見が通りにくい組織文化 意欲的な従業員は、業務改善や新規施策について積極的に提案を行います。 しかし、特に若手社員の場合、経験不足や在籍期間の短さを理由に建設的な提案・意見が十分に検討されないことがあります。 ベテラン社員が多い組織ではこの傾向が強く、新しいアイデアが採用されにくい環境が有能な人材の離職につながる可能性が高いです。 自分の希望とのミスマッチ 適性や希望を考慮しない業務の割り当ては、従業員の不満を招きます。 自身のキャリアプランと異なる業務が継続的に課されると、受動的な業務姿勢となり、最終的には離職を検討するきっかけとなります。 このようなミスマッチは、個人の成長機会を損なうだけでなく、組織全体の生産性低下にもつながる重要な課題です。 まとめ 人材定着は、企業の持続的な成長と競争力維持に不可欠な経営課題です。 優秀な人材が長期的に活躍できる環境を整備することで、業務効率の向上、コストの削減、そして組織力の強化が実現します。 ただし、業務負荷の偏重や提案が活かされない組織文化、キャリア希望とのミスマッチなどが、人材定着を阻害する要因となっています。 今後の企業成長のためにも、これらの課題に適切に対応し、従業員が活き活きと働ける職場づくりを進めることが重要です。
ワンネス経営®プログラムは、インナーブランディング強化というアプローチを通して、 お客様企業が求める成果を達成していくという「新しいチームビルディングのプログラム」です。 イメージが持ちづらい点があるかもしれませんが、どうぞお気軽にご質問、ご相談ください。